スタイルのノーツ
ヲノ(乃亜)の衝撃的事実が明かされる話。(そこまで衝撃的ではない。というか明かす必要もあるかすら謎)
「そういえばみんなはこれからどうするの?」
「私とルインさんはスキルを見に行く予定ですわ。」
「やっぱりスキルがあれば楽じゃからな。」
「なるほど。カミナは?」
「私は特には決めてないよー。欲しいスキルとかも揃ってるしね!」
「だったらカミナにお願いがあるんだけど……」
「ん?」
そう言ってヲノはカミナにあるお願いをする。
「あー、なるほど。うん、確かに教えてなかったね!いいよ!」
「ありがとう。」
それから"天の音"は2人ずつで分かれ、それぞれの目的のために行動を始める。
「で、どうすればいいの?」
「まずはメニューを開いて。」
「メニュー。」
ヲノはカミナの指示通りに画面を操作する。
「で、ここまで来たら自分のイメージ通りに作ればいいの?」
「そうそう!」
「じゃあ……。こんな感じで!」
ヲノが確定をすると、ヲノの衣装が変化する。
「おー、こっちの世界でその衣装を見ることになるとは……」
ヲノがカミナに教わったのはプレイヤーアバターの見た目の変更である。今回ヲノがテーマにしたのは巫女である。実はヲノはリアルでは実家が神社を持っている。両親が土曜日で帰りが遅くなるのはそのためでもある。また、特に参拝客の多い年末年始になるとヲノも駆り出される。親友という縁もありカミナは初詣はその神社で行い、その度に巫女姿のヲノを見てきたのである。
「他にいいの思い浮かばなくて。」
「でもこれで装備が使えなくても気を落とすことはないでしょ?」
「うん、ありがとう。」
「じゃあフリーネたちのところに向かおうか!」
早く目的を達成したヲノたちはルーテン工房店へと向かう。
「おっ、ヲノとカミナ……っと、また姿が変わっておるな。」
「本当ですわね。こんな短時間で何したんですの?」
「実は見た目を変えたくて……」
「なるほどの。」
「あれ?テンザさんは?」
店内にテンザの姿がないことに気がついたカミナが尋ねる。
「それが最初からいないんですわよね。」
「扉が開くということはログインはしとるはずなんじゃが……」
「しばらく待ってみる?」
「そうだね。
ヲノたちが待つこと5分。テンザはある1人のプレイヤーと一緒に店内へと入ってきた。
「おー、いらっしゃい!待たせてわりぃって、ヲノとカミナとそのパーティーメンバーじゃねーか!」
「へぇ、この子達が。」
「お久しぶりです、テンザさん。」
「テンザ久しぶりー!」
「おう。あー、そうだ!こいつが前に話してたルーガ。」
「よろしくねぇ。」
ヲノたちはフリーネとルインを2人紹介し、スキルを漁る。
「ふむ、なかなかいいのがあるの。とりあえずこれを頼む。」
「【雪花】か。使いこなすのはなかなか骨が折れるやつを選ぶな。」
「我は雪が好きじゃからな。」
「そういえばルインって大体氷とか雪とかそういうのだよね。その流れだとフリーネは炎系かな?」
「流石、正解ですわ。」
「【極炎】。みんな難しいの好きだねぇ。」
「あっ、そういえばテンザさんすみません。せっかくの【鏡対】が……」
「あー、やっぱり【鏡対】だっのか!その反応だと消されたんだな。まぁ気にするな!もとを言えば運営のミスだしな!」
「でもいい機会じゃない?」
「え?」
「さっきも言ったけどフリーネとルインはある程度スタイルがある。私もちょっと特殊だけど一応あるし。ヲノもそろそろ慣れてきただろうからお試しじゃなくて本格的にスキルを選ぶのはアリだよってこと。」
「確かに【天奏】、【浮遊】、【刻線界】は普通にまだ売られてますし、特定の強みとかは欲しいですね。」
「うーん、私の強み……。ゆっくり考えてみる。」
「いやぁ、ヲノはどういうスタイルになるんだろうねー。」
「私みたいな派手なタイプか、ルインさんみたいに落ち着いたタイプか。」
「はたまたカミナのようなタイプかもしれぬな。」
ヲノの今後の方向性について話しながらフリーネとルインも最終的にそれぞれいくつかのスキルを購入し、目的を達成する。ヲノは結局考えがまとまらず、今は気にせずリアルの時間で考えることにし、その日の残りの時間は4人でゲームを楽しんで終えた。
果たしてヲノのスタイルはどうなるんでしょうなぁ。




