トッププレイヤーのノーツII
間に合わなかったー……。最近土曜日が思いの外忙しいので、こういう時は日曜日に2話分上げます!
「さてどうする?フリーネとルインは一旦ひとりでやってみる?」
「だがイベントとやらまではあまり時間がないからのー。」
なんだかんだあり、イベントが始まるまで残り2時間を切っている。いくら個人個人が突出していても、イベント次第では、バラバラのチームだと負ける可能性も否定できない。
「あっそれなら問題ないよ!ここ一応1度に何人でも挑戦できるから!それに協力の練習って言っても、まずはソロこの世界で一回はこういうのやっておいた方がいいでしょ!」
「それならそうですわね。一回ソロでやってみましょう。」
「そうだな。」
「ヲノはどうする?無理しないならひとりでやってみてもいいよ。」
「うーん……。じゃあ程々にやってみる。」
ここでやめるのはなんとなく嫌だったヲノは、渋々ではあるがソロで挑戦することにする。
「うん、おっけー。私も久しぶりにやろうかなー!」
「ふむ、ではまたあとでな。」
それから4人はそれぞれのタイミングで〈星密の教会〉の中へと入り、攻略を始める。
草原でヲノから最低限の情報を得ていたルインは迷うことなく最初に入る。
「これを押せばよいのじゃな。」
教会の中央の開始ボタンを押し、曲が始まる。時間差はあるものの、フリーネ、カミナ、ヲノもそれぞれダンジョンに挑む。
「終わったー!おっ、ルインとフリーネは戻ってきてる。けどヲノは……、もしかしてまた無理してる……?」
「おーカミナよ。ヲノがまた戻ってきてないんじゃが?」
「うーん、そうなんだよねー。」
「そういえば先程無理しなければと言っておりましたが、それと関係しているのでは?」
「無理はしてないと思うんだけど、一応もう少し待って……」
「転移ってこんな感じになるんだ。」
今まで転移らしい転移を体験していないヲノは、そのシステムに興奮する。
「ヲ、ヲノ!大丈夫!?」
「えっと……、なにが?」
「失礼ですが今のヲノさんではクリアできないと思っていたので、無理をしたのではないかと。」
「あっ、なるほど。それなんだけど私同じ譜面はダメかも……。全部頭に入っちゃってる……」
「えっ……」
「「……」」
〈星密の教会〉はカミナたちにとって簡単ではあるものの、ノーツの並びを完全に記憶するのは困難である。大体の並びであれば体が覚えているということはあるが、寸分違わず覚えているというのは、記憶力がいいといった次元ではない。だが、日頃からそういう過ごし方をしているヲノは、その困難を容易に実現したのだ。
「まぁヲノはリアルでも記憶力は異常だからねー。」
「けどそれだけでできるものですの?ノーツの並びを完全に把握するなんて……」
「じゃがそれが真実ということじゃろう。っと、例のリプレイが始まったようじゃぞ。」
辺りが騒めき出したことでルインはモニターに自身の姿が映ったことを確認する。
「とりあえず話は後にしようか。ヲノは特にリプレイ見ておきたいだろし。」
「えぇ、そうね。」
「うん。」
そのリプレイでヲノが見たものは、以前のカミナとは比べ物にならない映像だった。スキルや装備は元々ないため使わないのはもちろんだが、1番の問題は目を瞑った状態でひとつのノーツも落とさなかったことである。
「なんで見てないで……」
「まぁあれがルインっていうプレイヤーなんだよ、ヲノ。」
ヲノと違い、ルインは初見である。本来なら知らないはずの譜面であるにも関わらず、ルインは知っているかのようにコンボを繋げる。それはもはや同じ人間とは思えないものだった。
「ね?言ったでしょ。ルインには勝てる気がしないって。」
「う、うん……」
その後、フリーネ、カミナのリプレイが流れ、最後にヲノのリプレイが流れる。ヲノはフルコンではないものの、確かに次のノーツがわかる動きをしている。ある意味その様子はルインに近いものだった。
「本当に、覚えているんですのね……」
「そうじゃな……」
周囲から見れば2人も充分異常ではあるものの、自分たちにはない才能をもつヲノに驚愕する。
「さて、ここまでを踏まえて、残り時間は協力の練習にしようか!」
ヲノの脅威的な記憶力やルインたちの圧倒的な実力が認識されたところで、イベントに向けた短い練習が始まる。
文量は少なくても分かるルインの異常さ。初見で目瞑ってやるって……。実際にできる人がいるなら見てみたい……!




