プロローグ
どうぞよろしくお願いいたします♪
王都から東に300キロ離れた小さな田舎の村、トロド村ではいつものように一人の少年が家の庭で体を鍛えていた。彼の名前はソーマ。この村の人気者だ。
今年で12歳となる少年ソーマは朝からずっとウズウズしていた。
なぜなら今日は待ちに待ったスキル鑑定の日!
朝から朝食の目玉焼きを焦がすわ、何度も椅子から転げ落ちるわで常に心ここに非ずの状態。
もともとそそっかしく、こんな行動もあまり珍しくはないソーマではあったが、今日は一段と拍車がかかっていた。「あ~~緊張するなぁ」
そうして、家の中にいても何もすることがないので(本当は落ち着かないソーマを妹が家から追い出したのだが)外に出て日課の筋トレをしている今に至る。
村の人は見慣れている光景であるが故、邪魔しないようにいつもは声をかけないのだが、今日は普段とは違ってみんな彼の家に寄って彼に励ましの言葉をかけていく。
一際目立つのが、、、
「鑑定の議がんばれよ!!!といっても結果は生まれつき決まってるから、今更神様に祈るくらいの努力しか出来ないがな!ガハハハハハ」と朝から平気で軽口を叩いてくる隣の家のゴベロさん、ひどく鬱陶しい。
ゴベロさんはソーマが小さいころから面倒を見てくれている優しい!!!(嫌味) 独身の!!!(煽り)
おじさんだ。幼いころに父ロッドを亡くしているソーマにとってゴベロおじさんは冗談を言い合えるような心を許し合える仲だ。父親の代わりといってもいいかもしれない。
「なんだぁぁぁー???(プフッ)おまえさん、もしかしてひどく緊張してるんじゃないかーwww」
口から吹き出す音が聞こえた。やっぱり前言撤回だ。
「当たりめぇーだ!こっちは人生かかってるんだよ。緊張するに決まってるじゃないか!!!」
俺も負けじと言い返す。
そうなのだ、今日は人生を左右させる日といっても過言ではない。
もし、魔術師の才能があれば、王立魔術師学園に通うことができ、学校を卒業することができればそのまま王の直接の部隊である魔術師団に入隊することができるのだ。
まあ、卒業できるのが全体の5分の1だが、、、
魔術師団は民衆からも尊敬され、収入もいいと聞く。
ずっと母ベルンと9歳の妹ナーサの3人家族であったソーマにとって将来魔術師団に入って家族に少しでも生活を楽にさせてあげたいと思い、魔術師団に入隊したいと願うのは当然のことだと言える。
彼にとって今日はその足掛かりとなる王立魔術師学園に通うことができるか、できないかが決まる大事な大事な日だ。
「でもよぉー、魔術師の才能って確か2分の1だったよなぁー。くれぐれも俺みたいにはなるなってことだ!
ガハハハハ」
ゴベロよ、完全なる自虐である。見ていて痛々しい。
2分の1という割合は低くないが、決して高いというわけでもない。
実際、ゴベロおじさんのように魔術師の才能はなくても別のスキルで活躍する人も多いし、
(彼の場合はスキル剛力である。農作業の手伝いで助かっている)
魔力は基本的に人間生まれながら全員持っているものなので(極たまーに魔力なしもいるようだが、)
初期魔法くらいであれば、魔術師でなくとも使える。
俺自身、もし魔術師の才能がなくても普通の冒険者になって初期魔法をマスターしようと考えている。
でも、ここで魔術師にならなかったら男じゃないよなー!
「よしっ!緊張が吹っ切れた。ありがとうゴベロおじさん、俺頑張るよ!!!」
「おう、いつでも応援してるからな!がんばれよ」
うん、やっぱりおじさんいい人だわ。
おじさんと別れた後、家に入り身支度をしながらいつものように母と妹と他愛ない話をしていよいよ出発!
妹には出発直前、行かないでーと泣きつかれたが、戦争に行くわけでもあるまいし。
母親はいつもの笑顔で一言、「いってらっしゃい、頑張ってね!」
これが一番安心するんだよなぁー
そうして、俺は大きな希望を胸に最初の一歩を踏み出したのであった。
母親と妹の台詞はまだまだ先です笑
ゴベロおじさんいい人だなぁー
次回はまだ出発しません!
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