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幼稚園での雑談タイム

「なぁ、成宮」


『なんだ瀬川』


「俺たち幼稚園児だよな」


『そうだ、さっきも粘土で工作をしたろ』


「俺の隣の奴、団子作って本当に食ってたけど、薬でもやってんのかな?」


『幼稚園児ってのはな、みんな薬やってんだよ』


「マジかよ……知らなかった。成宮お前もやってるのか?」


『やるわけないだろ違法だぞバカか』


「お前ってあれだよな、人を下に見る事にだけは長けてるよな」


『まぁ、本音を言うと。鼻水とヨダレを垂らして走り回る無邪気なあいつらのようになれる薬があるなら、今すぐ欲しいけどな』


「お前、コ○ンでもリスペクトしてんのか?あれは体だけ幼児退行するんであって精神はそのままだぞ」


『僕思ったんだけどさ、子供になる薬ができたとして、その使い道の先にエロい事しか思い付かないのは、ヤバいのかな?』


「男としては正解だ、幼稚園児としては最低だ」


『幼少期ってのは人格を構成する一番大事な時期らしいぞ………僕はこの先自分のこの考え方が変わるとは思えない』


「………粘土食ったら、変わるのかな?」


『………やってみろよ、お前がなったら僕も食うから』


「この前たまたま職員室の前通ったらな、先生たちが言ってたぞ」


『なんて』


「幼稚園児は言葉が通じない化け物だって」


『突然、粘土食いだしたらそう思うわな』


「まぁ粘土は後で食うとして」


『食うのは決まったんだな』


「成宮、お前のあの粘土作品はなんだ」


『なにが』


「今回の粘土作品の題材は食べ物だ、お前が作ったこの皿にのった食品サンプルなみの作品はいったいなんだ」


『ビーフストロガノフ、ロシアの代表的な牛肉料理だ。我ながらうまく作れたものだな』


「どうなってんだこれ、粘土でビーフストロガノフって作れるのか」


『牛肉の繊維とそこにかかるソースのとろみを表現するのは大変だった』


「とろみ!?とろみってのは粘土では表現できないと思うんですけど」


『できてるじゃないか』


「あぁ、製作時間15分と限られたなかでこれに取り組もうと思ったお前の思考が怖い。先生ドン引きだったぞ」


『まぁ、お前を含めた庶民の家には中々ビーフストロガノフは出てこないものな、作れなくて当然だ』


「俺もドン引きなんだぞ」


『瀬川、貴様は何を作ったんだ?』


「俺は等身大のスカイツリーだ」


『まだ粘土食べてないのにイカれたのか?』


「間違えた、等身大のスイカだ」


『なるほど、このボーリング玉か』


「スイカだ、丸めて柄を書くだけで出来上がりだ。簡単だろ?」


『お前はやればできる子なのにすぐ手を抜く』


「常々上目線だな。それに手を抜いた訳じゃない」


『じゃあなんだ』


「………幼稚園児らしいだろ」


『………すまない。』


「いいんだ」


『僕のビーフストロガノフ食うか?』


「いただきます」


『………どうだ、子供みたいになれたか』


「………まずい」


『泣くなよ』

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