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第3話:この世界で生きる為に・Ⅰ


「さて、と・・・ユイちゃん?私と一緒に魔法のお勉強をしましょう?」

「はい、よろしくお願いします」




病院から帰って来た私は、

午後から早速マリナさんから、魔法について教わっていた。

この世界で生きていくためには、魔法は絶対に必要な技術。

一切合切、何にも知らない私は、マリナさんと、一から、いや、ゼロから教えてもらわないと・・・




私の最終目標は依然変わらない。けれど、一朝一夕で何とかなる物じゃない事は何度も思い知らされたし、

マリナさんからは、

「あんまり俯きっぱなしだと、あなたも私も悲しくなっちゃうわよ?辛いのはわかるけど、あなたも笑顔ででいたり、楽しんだりしないと、精神が持たないわよ?」


と、言いたいことはわかるけれど、こんな状況で笑顔でいろってのも中々キツイ。


「聖堂教会の教えの一つに、"幸福である事が、目標達成の一番の近道である"って言うのがあるの。今のユイちゃんに伝えたい言葉よ」

忘れる必要はないけど、あんまり引きずり過ぎるのはよくないわよね。

なんて、


幸福である事が、目標達成の一番の近道である・・・かぁ・・・

・・・まだ割り切れはしないけど、すこしずつ考えを改めていった方がいいのかもしれない。




家族の事とか、暴走体質の事とか、

悩みの種は尽きないけれど、いつまでもくよくよしてても何も始まらないよね。










リビングの壁には、黒板がかけられていた。それをマリナさんに聞いてみたところ、子供たちに色々教えてあげる事も多いらしく、用意したのだという。なのでそれを使って、私も授業を受けている。



「ユイちゃんは、どこまで教育を受けているのかしら?」

「えっと・・・一応義務教育は受けきりました・・・」

その時の記憶はほとんど残ってはいないけど、高校に合格できるだけの学力はある。

そう言う意味では一般的な教養はあると言ってもいいよね。



「そう、じゃあ安心ねー」

マリナさんは、にっこりと笑顔で微笑みながら、何冊かの本を取り出した。


「それ、なんですか?」

「これは魔法の本よ。魔法について色々書いてあるわ。ある程度魔法の事が理解出来たら教科書代わりに使えると思うわ」


マリナさんがテーブルの上にドスンとその本を置く。

ためしに手に取って中身を見てみたが、


"A型特殊複合魔法の構築理論"・・・あ、うん。わかんないや。



「・・・まだわかんないでしょ?」

「・・・・・・はい」

「これからいろいろ勉強していけば、わかるようになるわよ」

「わかりました」

「生徒はユイちゃんだけだから、わからない所はいつでも聞いてね?」

「はいっ」





そうして、私の魔法の勉強が始まった。





「まず、魔法、とは何なのか、ってところから始めましょうか」

「はい」

「魔法って言うのは、"魔力を代償に、結果を出力する不等価交換"のことなのよ」





・・・・・・?





「えっと・・・すいません・・・もうわかりません・・・」

「・・・あ、やっぱり?」

「やっぱりって・・・」

「こんな事唐突に言われて分かれって言う方が無理よね」

とぼけるようにマリナさんははにかんでいる。


「マリナさん・・・」

「ごめんね?これを理解してくれたら、すごく話が早くなるから・・・」

「はぁ・・・」

「じゃあ、もっと細かく説明するね」


この二日間見てきたけどマリナさんは優しいし、とっても心強いんだけど

ちょいちょい入るお茶目が、まだまだこの世界になれてない私には心臓に悪い。









「例えば、火って、あるでしょ?」

「ありますね」

「火が燃えるには、薪とか、紙とか、何か燃えるものが必要でしょう?」



なんだっけな・・・炭素がどうとか・・・文系だから、よくわかんないや。


「火が燃えると、それは灰になって、小さく、軽くなっちゃうでしょう?つまり、火は、燃える何かを対価にして燃えているって、そう考えられないかしら?」

「・・・・・・確かに・・・」

「他にも、氷が解けると、水が出てくるでしょう?それは氷を対価に水が生まれてるって考え方が出来るわね」



今のマリナさんの言っている事は、私にも理解は出来た。

授業ではやらない考え方だ。



「つまり、火は、何かを対価に燃える、という過程を通じて、火が起こる、という結果が起きているのよ。ここまではわかる?」

「はい。一応は・・・」

「うん。ユイちゃんが理解力のある子で助かるわー」

「あ、ありがとうございます」



「じゃあ、肝心の魔法の話なんだけど、魔法って言うのは、魔力を対価にするっていう過程を通じて、ありとあらゆる結果を作り出す技術なの。魔力を使って火を起こす。魔力を使って水を出す。魔力を作って光を発する、そんな感じよ」

「それがさっき言ってた、魔力を代償に、結果を出力するって事なんですね」

「ええ、そうよ。これで、魔法が何なのかが分かったかしら?」

「はい。大丈夫です」



要するに、何にでも使える万能の材料って事でいいのかな?



「じゃ、いったん休憩にしましょうか」

「もうですか?」

「ここから、もっと複雑になっちゃうから、一旦ね?」

「うへぇ・・・」


あんまり難しいのは好きじゃない。

まだまだ初歩中の初歩なんだろうと思うと先が思いやられる。

っていうか、まだ、魔法って一体何なの?って所しかやってないし・・・


これだけでノートの1ページ使っちゃったけど、大丈夫かな・・・?








少し待ってから、私の個人教室は再開された。



「魔法については、ちゃんと理解できたわよね?」

「はい。魔力を使って、自然現象の一部の結果を生み出す技術・・・ですよね?」

「ええ、そんなところね。そのくらい理解できているなら十分よ」

「ならよかったです」



初めて触れるモノだけど、概要はちゃんと理解できたようでよかった。



「じゃあ次は、魔力についてのお勉強をしましょう?」

「はい・・・」


いつか私も魔法、使えるようになるのかな・・・?

今の所、概要しか理解していないし、使えそうになる気がしない。




「まずね、魔力って言うのは、二種類あるの」

「二種類?」

「そう、一つは、この世界中にどこにでもある通常の魔力。ミストと呼ばれているわ。これは言わば原料よ。世界中何処にでも大量にあるけど、そのままでは私たちは使えないの」

「・・・」

「もう一つは、個人用の魔力。こちらはエーテルと呼んでる。これは、ミストを私達が使えるように感応器で加工した魔力の事。これを使って、私たちは魔法を使うのよ」

「へぇ・・・」


魔力にも加工前と加工後があるんだ・・・



「昨日、魔力生成量とか言っていたのは、このエーテルのことね。つまり、ユイちゃんが600倍生み出しているのはエーテルなの」

「私・・・魔法使えないですけどね・・・」

「まぁ、それは勉強していけば使えるようになるわよ」

「あ、じゃあ私の魔力は、マリナさんが使ってください。ダダ漏れになってるらしいですし」


私が使えないなら、マリナさんが使えばいいんだよ。

そうすればマリナさんは600倍の魔力が使えるしね。

どうせ私にはその、エーテル?を作るのを止められないんだし・・・


「・・・残念だけど、それはできないわ」

「え?」

「エーテルってね、本当に個人用なのよ。ユイちゃんが作った魔力は、ユイちゃんにしか使えないの」

「そ、そうなんですか?」

「ええ、理由には、属性が関係してるんだけど・・・それは追々説明するわね」

「・・・じゃあやっぱり、私が作ってる魔力は、今はただ垂れ流しになってるんですね・・・」


なんかもったいないな・・・


「・・・・・・ええ、そうなるわね・・・エーテルは、使わないでいると、徐々に風化して、ミストに戻っちゃうわ」

「うーん・・・なんとかならないんですか・・・?」

「それは・・・難しいわね・・・前にも言ったけど、属性の問題があるの」

「属性・・・ですか・・・」



属性って・・・なんだろう・・・?



「じゃあ、次の授業は、属性についてにしましょう?」

「はい。わかりました」




また授業は中断し、休憩に入った。

時間で言えば、まだ全然経っていないけれど


休憩中、マリナさんはせかせかと棚からいろんな紙を取り出して集めている。


その間に、今まで教えてもらった事を、私はノートに書き留める。


・・・魔法は、魔力を使って、結果を生み出す物・・・

・・・魔力は、原料となるミストと、加工済みのエーテルがある・・・


こう考えると、意外と魔法って、そんなにファンタジーな物じゃないのかもしれない。





「じゃあ、次は属性についてのお勉強よ」

「はい」

「属性って言うのは魔力の性質を表すもので、簡単に言えば、その魔力が、どんな力を持っているかを示すバロメータの事よ」

「魔力は、二種類じゃないんですか?」

「ええ、二種類よ。でもそれは、私達人間が、魔法を使えるかどうかで区別してるだけなのよ」

「・・・それは・・・?」

「本当は、魔力は、様々な属性の強弱で、無限に存在するの」


・・・おっと?よくわからなくなってきちゃったぞ?

本当は・・・二種類じゃない・・・?


「あ・・・もしかして混乱しちゃってるかしら・・・」

「はい・・・すこし・・・」

おろおろしているマリナさんに、正直に言う。


「・・・ごめんね。もっと詳しく説明してあげるから・・・」

「お願いします・・・」

「まず、属性にはいくつかあってね、例えば、火と雷の力が強い魔力、水と氷の力が強い魔力・・・みたいに、いろんな魔力があるの」

「へぇ・・・」

「そのうち、どの属性も強くも弱くもない魔力を、私たちはミストと呼んでいるわ」

「なるほど・・・」


・・・って事は、なんの特徴もない魔力と、何かの特徴を持った魔力の2種類・・・って感じなのかな。




「そんな特徴のない魔力を私たちは感応器で個人個人の特性に合わせた魔力に変換していくのよ」

「特性?」

「そう、私たちは、皆、得意な属性、苦手な属性があるのよ」

「・・・そうなんですか?」

「例えば私は、土・水・風・木・霊属性が得意で、私が生み出す魔力もその属性に偏っているわ」

「え・・・えぇ?」


土・・・と、水・・・と・・・え?


「属性の一覧はあとで教えてあげるから、今は聞き流してもいいわ」

「え・・・あ、はい・・・」

「今は、あなたにも得意な属性があって、あなたが生み出していた魔力は、あなたの得意な属性に偏ってるって、そう思ってくれればいいわよ」

「わかりました」

「こういう理由があるから、ユイちゃんの魔力を私は使えないのよね。一重にエーテルとは言っても、中身は全くの別物だから」



なんか、色みたいだなぁ・・・魔力って。


無色の物があって、それにいろんな人がいろんな色をつけていく。

同じ色付きでも、その中身は全然違う色になってる・・・みたいな?



多分、そう考えるのが今私が一番理解しやすいと思う。

私の色・・・どんな色なんだろう?



「ところで、私の得意な属性って、何なんですか?」

「ユイちゃんの属性ね?うーん。まずは属性の種類について説明しなきゃね」


そういってマリナさんは、さっき集めていた資料の内、何枚かを私に差しだして来た。





それは、"属性・特性一覧"と書かれている。



そこに書かれていたものは、

属性の一覧だった。



    陽界

 乾・熱系

  火属性

    特性:拡散・伝導

    際限なく広く広がり、全てを覆いつくし、多少の壁をもろともしない攻撃的な属性。

  雷属性

    特性:指向・滞留

    一点を狙う雷撃と、広い雲に留まり、帯電する特徴を持つ、二面性を持つ属性。

湿・熱系

  風属性

    特性:自由・隠伏

    何処にでも存在し、けれども目で捉えることの無い属性。

  木属性

    特性:成長・生命

    数多の命を、そしてその成長と繁栄を司る属性。

乾・冷系

  土属性

    特性:基礎・破砕

    全ての基礎となり、安定を司る一方、時に全てを破壊する攻防一体の属性。

  金属性

    特性:錬成・拒絶

    人により作り出され、敵対するものを拒む堅牢な金属の属性。

湿・冷系

  水属性

    特性:流動・浸食

    流れに任せ摩擦無く受け流す清流と、触れるものを少しづつ染み込み削る表裏一体の属性。

  氷属性

    特性:固定・減衰

    凝固し、動きを止め、活動そのものを衰えさせる冷徹な属性。 


    陰界

  光属性

   特性:創造

   万物を照らし、存在を示す正の力を司る属性。

  闇属性

   特性:虚無

   万物を塗りつぶし、存在を否定する負の力を司る属性。

  識属性

   特性:真実

   事実を知り、世を探求せし正の知たる属性。

  幻属性

   特性:虚構

   事実を欺き、世を手中に収める負の知たる属性。

  重属性

   特性:依存

   生命全てが縛られし引力の力を司り、存在に圧力をかける属性。

  霊属性

   特性:別離

   生命全てが抱え持つ精神の力を司り、精神に圧力をかける属性。

  空属性

   特性:空間

   世の礎の内、横の繋がりである空間を司る属性。

  時属性

   特性:時間

   世の礎の内、縦の繋がりである時間を司る属性。





・・・・・・・・・多い・・・





思っていたよりも、倍以上多かった。

属性って、こんなに多いの?


しかも一つ一つに特性とかあるし!




「これ、全部覚えないとダメなんですか・・・?」

恐る恐るマリナさんに聞いてみた。


「高度な魔法を扱うなら、必須技能よ?」

「うえぇぇぇ・・・」


もうすでに挫折しそう・・・

初めて見るものの情報量が多いと心折れそうになる。


「ま、初めの内は特性とかは覚えて無くてもいいし、最悪自分の属性だけ知っていればなんとかなるわ」

「じゃあ、そろそろ自分の属性を教えてください」

「ええ、わかったわ・・・ちょっと待ってね」


マリナさんは、またどこかから一枚紙を持ってくる。

どうやら、昨日病院でもらったカルテのようだ。




「えーっと・・・ユイちゃんの属性は、雷属性、金属性、水属性、氷属性、光属性、だったわ」



・・・それって・・・いい色なのかな?


特性と照らし合わせても、よくわからない。

指向、とか、拒絶、とか書いてある・・・私、何か拒絶してるかな?



「えっと・・・・・・その、よくわからないんですけど・・・この属性って・・・いい方なんですか?」

「うーん・・・いいかどうかは、あなた次第ね・・・どの属性にも長所と短所があるから・・・いい使い方が思いつくかどうかの方が重要ね」

「良い使い方・・・ですか・・・」

「ええ、とは言っても、応用は基礎がちゃんとできてからじゃないとどうにもならないわよね」

「まぁ・・・そうですね・・・」

「だから、ここからはちゃんと実際に魔法を使いながらの授業に切り替えていくわ」

「はい。よろしくおねがいします」



魔法って、ファンタジーなものだと思っていたけど、意外と現実的なものなのかもしれない。



・・・でも、属性はちょっと複雑でヤだなぁ。


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