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第12話:いざ反抗作戦!・Ⅲ

目の前に広がる美しい庭園。

私たちが入って来た扉から、緩やかに曲がる道が広がり、反対側の扉へと続いている。

その間にある、木々が風に揺れる音、小鳥たちの囁き、噴水が生み出す水のせせらぎ・・・

それもヒーリング効果たっぷりで、先の戦いの精神的な疲労が抜けていくようだ。


でも、ここにずっといてゆっくりしたいなぁ、とは思わない。

だってここは、敵の本拠地なのだから。


「実際、ここがこんなに平和なのも、罠かもしれないですよね・・・」


レウン君が、噴水の透き通った水を、怪訝な顔をして見つめている。


「ああ、その水も実は毒かもしれないし、俺たちを油断させる為にあえて騎士が出てきていない可能性だってある」


そんなレイル君の発言にちょっとドキッとする。

ちょっと、噴水から出てる水で手とか洗おうかな、とか思ってたから・・・

危機管理能力の甘さが露呈してる。


・・・だってさ、水道に毒とか、普通考えないじゃん。

流石に魚も泳いでる噴水の水を飲もうとは思わないけど・・・


「そうね。この平穏な雰囲気に流されず、気を引き締めて先へ進みましょう」


マリナさんもレイル君達の意見と同意見だったようで、私たちはもう一つの扉へと向かう事にした。

噴水とか、木になっている果実とかには気を取られること無く。


そして、その扉に手を掛けたその時、


『あーあ、あんなに沢山の騎士を倒しやがってさぁ』


重く、脳にダイレクトに届くような声が、背後から響く。


「えっ!?」「っ!」


4人は扉を開ける手を止め振り返る。

振り返った先、庭園の中心部には、騎士では無い、今まで見た事の無い怪物が居た。


「お前は・・・!」


それは、2メートルを超えていた騎士よりも大きく、

屈強、なんてものではない不自然な位の筋骨隆々な真っ黒の体、人間ではない、狼とかその辺りに近い顔。

当然、そんな手や口には鋭い牙とか爪が並んでいるし、頭にはそれ1本が騎士の大剣ほどのサイズの角が1対。

そして、そんな圧倒的な体すらちゃんと飛ばせそうなほど巨大な蝙蝠のような翼。


それはあまりにも、あまりにも"悪魔"と呼ぶべき怪物の姿だった。


「・・・貴方も魔族ね」


マリナさんが、本気の時の声で問いかけつつ、十字架を構える。

もう臨戦態勢だ。


『ああ、俺はあいつらと違って正体なんざ隠す必要は無いからな』


「「・・・」」


レイル君とレウン君も、静かにお互いの武器を構えている。

開いた手に、ペンダントが握られているのも見える。

武器が無い私も、体内の魔力を意識する。


『俺はあんなショボい鎧で力をごまかしてるような雑魚とはレベルが違うぞ?』


悪魔は相変わらず、余裕癪癪に挑発してくる。

けれど、言っていることは多分本当なのだろうという説得力が、その見た目にはある。

騎士の非じゃないくらい強そうだもん。


「相手が魔族なら、やる事は変わらないわ」


マリナさんはそう言いつつ、いきなり光の剣を撃ち放った。

それも、今までの騎士に使っていたものの2倍の大きさはある特大の剣を。


しかし、


『奴は面白い事を考える。それを邪魔されるのは俺としても気にくわないんだわ』


目の前の悪魔は、その場から微動だにせず、黒い煙を残し消え去り、

飛んだ光の剣が、その煙のど真ん中を通り抜け、丸い穴を開けた。


「消えた・・・!?」

「ま、幻・・・とか?」


兄弟にも、姿が消えたように見えているみたい。

私が見てた幻覚じゃなさそう・・・


と思った途端、また全身にピリっと何かを感じる。


・・・これは!!


「ユイちゃん!」

「バリアーっ!」


マリナさんが叫ぶのと、私が咄嗟に周囲にバリアを張るのは同時だった。

そして次の瞬間、


ガアアアアァァンッッッッッ!!


なんて、今まで一番大きい衝撃音が鳴り響く。

普通に生きていれば絶対に聞かないような音。


「!?」


目で追えはしなかったけれど、私が張っているバリアの目の前には悪魔が居て、その右の拳がバリアに突き刺さっている。

その一撃で、バリアに簡単にヒビが入っている。


『ほう、俺の拳を受け止めたか』


悪魔は、舌なめずりのようなものをしながら、私の方を見て来る。

実際に視線が向いている訳じゃないけど、感性で分かる。こっちを見てる。

そんな視線と、もしバリアの展開が一瞬でも遅かったら、このパンチが私たちの誰かに直撃していたと思うと震えが止まらない。


「か、間一髪・・・」

「ユイちゃんナイスよ」

「あ、ありがとうございます・・・」


マリナさんのフォローで少し心が落ち着く。

魔力を多めに流し、バリアのヒビは滑らかに修復されてゆく。

少なくとも、このバリアが維持できている内はなんとかなる筈・・・


『・・・フン』


バキィッ!


「きゃぁ!?」


そう思った矢先、悪魔は右の拳をバリアに叩きつけたまま、左手を振りかぶって、爪をバリアに突き刺してきた。

それに私のバリアは、あっさりと突き破られた。


「嘘ぉ!?」


完全に破られた訳じゃないけど、バリアには穴が開き、鋭い爪が内側に食い込んでいる。

もう少し爪が入り込んでいたら、私の頭に到達していたかもしれない。


「え・・・あ、あの・・・うぇ」


声も出ないし、もうどうしていいかもわからない。

このバリアが安全圏であったからこそ、ここまで戦えて来ているようなもので、その安全神話が崩れたら、どうすればいいの!?

一歩後ずさりすると、すぐに扉に背がぶつかる。

扉を開ければ逃げられる?


そんなわけないよ。


腰が抜けそうになって、入らず力なくへたり込みそうになった時、


「「魔族との契約の破棄を宣言する!」」


兄弟の声が横で響く。


「「魔界へと帰還せよ!」」


あっ、反故の宣誓!

魔族を無理やり元の世界に帰す道具!


『・・・』

「・・・お、おい・・・?」


しかし、悪魔は爪をバリアに突き立てたまま。


『・・・契約破棄か。そんなもの、俺には効かない』

「なっ!?」

「何ですって!」

「嘘!?」


ドヤ顔で語る悪魔に、全員が固まってしまう。


『俺は契約でこっちに来ている訳では無いからな』


ちょっと、そんなのアリなの?

魔族は契約が云々って言ってたじゃん!?

でも、実際ペンダントは効いてないし・・・


『残念だったな』


私たちの混乱をよそに、悪魔は左腕を引き抜いて、大きく振りかぶりながら拳を握りしめる。

その拳には、騎士も纏っていた禍々しい紫色のエネルギーが集まっていく。


・・・死んだ。


今度こそバリアは破られる。

そうなれば生身の私にそれを防ぐ防御なんて無くて・・・


危機を察知したマリナさんが私を庇うように前に立つけど、なんとなくわかる。

あのバリアを破るような1撃じゃあ、マリナさんが居たって防げない。


私の人生、ここで終わり?


いや、



嫌だ、


こんなところで終わりたくない、


死にたくない、



死ぬくらいなら、いっそ、


「もう・・・」

『・・・では、死ね』

「どうにでもなれぇぇぇぇ!!!」


全身全霊の力で、バリアを私の方からぶっ飛ばした。

城壁を粉々にした時と同じ、防ぐ拒絶の力じゃなくて、吹っ飛ばす拒絶の力。


『むぅ!?』


ドオオオオォォォンッ!


と、色々な物がなぎ倒されて吹き飛ぶ音が聞こえる。

・・・私は死んで無い。


辺りは破壊しつくされて、美しい庭園の木々は根元から消え去り、噴水も粉々になり、辺りを水浸しにしている。

しかし、その真ん中には、両腕を前に、防御姿勢を取っている悪魔が立っている。


「はぁ・・・はぁ・・・」


流石にこのレベルの急激な魔力放出を行うと全身力んだ感じになって、緊張と合わさって息が切れる。

対する悪魔はと言うと、


『まだそんな力があったか』


その腕こそ強烈な力で引き裂かれたのか、紫の煙が噴き出て気持ち悪い感じになっているけれど、

それ以外は無事そうで、声にも余裕がある。


「・・・うっ・・・」


唾が飲み込めず軽く咽る。

至近距離であれだけの力で吹き飛ばしたのに、本当に場繋ぎというか、命拾いにしかなってない。


「なんつぅ化け物だよ!」


レイル君がその傷ついた両腕に対魔族用に調整した光の弾丸を撃ちこむけど、その弾丸も、悪魔にはあまり効いていないようで防御姿勢から、一切揺らぎもしない。


『対策は考えてあるようだな』


悪魔は、防御態勢を解いたその瞬間、


『だが、甘い』


私達4人の間に居た。


「え?」


一言、その一言を発した瞬間、目の前に黒い何かが迫り、全身に鋭い衝撃が走り、視界と意識が揺れた。





--------------------------------------------



まさか、こんな大物が居るなんて。。


敵が魔族であるという事は分かっていたし、その対策として光属性の魔法、兵装を整えてきたし、

反故の宣誓という、対魔族用の道具も手に入れた。

でも、この可能性は実際には無いと思っていたわ。


上級魔族。


人間との契約により現世に顕現し力を振るう魔族とは違い、単独で現れ、人知を遥かに超える魔力と膂力を持つ人類の敵。

数年に1度程度のペースでしか現れず、その際は教会のビショップ級のエリート達が集まり集団の討滅作戦として実行される。それほどの相手。

龍族とか対等以上に渡り合える者たちも居るけれど、少なくとも人間にとっては強敵、いやそれ以上の存在。


間違っても戦闘のプロでない人を交えて4人そこらで戦っていい相手じゃないわ。


幸い、ユイちゃんの魔力ならその一撃をなんとか防ぐ事は出来ているけれど、綱渡りなのは間違いないし、その度にユイちゃんのメンタルに負担がかかって危ない状況になる可能性は増えていく。

でも、一体どうすれば。


次の一手を打つために、十字架に手をかけたその時、

目の前にいた魔族が消える。


当然実際に消えたわけじゃない。

張り巡らせておいた探査用の光が、魔族の気配を捕らえ・・・!!


真横!?


察知した時にはもう遅く、振り向くと同時に、そこに漆黒の影が出現する。

今すぐにでもあの渾身の一撃が入りそうな振りかぶりをしている。

誰を狙うとかではない、4人の真ん中に降り立って、全員を一気に仕留めるつもり!?


もう回避は間に合わない!

だったら!


私は手にした十字架を滑らして、周囲に光の粒子をばら撒く。

せめてその衝撃が和らぐように、

体格に不安のあるユイちゃんには少し厚めに。


その次の瞬間、魔族の一撃が入る。


「くっ・・・!」


粒子で多少の軽減はなされている、とは思えないほどの衝撃で体が浮き上がる。

骨が軋むような痛みが走るけれど、それに顔を歪めている暇は無いわ。


飛んだ身体を風魔法で調整して、衝撃を和らげつつ脚から着地して体勢を即座に整える。

おそらく安全な着地をしている余裕は無い。

貴重な貸与品である天の十字架を地面に擦らせてでも体制の立て直しを優先した。

次の瞬間にはもう目の前に魔族が接近している可能性もある。


全身から上がる悲鳴を堪えて顔を上げ、周囲の状況を確かめる。

ユイちゃんは・・・!!


庭園の生垣に突き刺さって、動いていない。

幸い生垣がクッションになってくれてはいるけれど、容態は知れない。

けど、様子の確認に向かえばそこを狩られるのは確実・・・無事を祈るしかないわね・・・


ユーリト兄弟の二人は・・・

お兄ちゃんのレイル君は体勢を整えられている。

一方弟のレウン君は尻もちをついてる。

けど、それをかばうようにレイル君が立っているから、最悪の事態は避けられそうね。


・・・


であれば私がやる事は一つ。


なるべく魔族の目がユイちゃんに向かわないように牽制と攪乱をしながら、ユイちゃんが態勢を整えるまで気を引くこと。


「上級魔族と言えど、私が引くことは許されないわ」


十字架を地面に突き立て、身体強化魔法を使いつつ啖呵を切る。


「聖堂教会、ビショップ級シスターとして、必ず貴様を討つ」


十字架の力を最大に開放し、聖者の剣を展開する。

本数は8本。

今の私が同時に精密操作をさせられる最大の本数。


相手を睨めつつ、展開した剣の切っ先を向ける。

ユイちゃんも、兄妹も、この自治区も、そして私も、


ここで死ぬわけにはいかないのよ。





--------------------------------------------



「・・・ん・・・」


頭が痛い。

まるで3日寝て無いような鈍痛が襲う。

3徹なんてしたこと無いけど。


私は何を・・・


・・・そうだ、ヴェルス侯爵を倒すために城に突入して、化け物と遭遇して・・・!


そこまで記憶が戻って来たところで、周囲の音が聞こえてくる。


「レイフィールさん、後ろ!!」

「ええ、わかったわ!!」

『あぁ、遅い遅い!!そんなんで俺が倒せるとでも?』

「あ"っ・・・!」


必死そうな皆の声と、邪悪で余裕綽々な声、そして鋭い金属音や、破壊音、魔法が飛び交う音が聞こえる。


そんな中、私の状況が段々ハッキリしてくる。

周囲の視界は草に覆われていて、全身枝に擦れて擦り傷切り傷だらけだ。

少し身を動かしただけでもどこかが擦れて鋭い痛みが襲う。


「・・・くっ」


でも、動かさなくても痛いものは痛い。

なんとかこの状況を脱そうと足を動かしたとき、何か固いものが手に触れる。

場所はスカートのポケット。


・・・そうだ、これはリズちゃんの魔女結晶・・・

うん。そうだよね。


ここでやられるのを待つわけにはいかないよね。


・・・


痛い。


でも、


こんなところで受けてる切り傷なんかよりも、重苦しそうな声が聞こえてくる。

私自身死にたくないし、もう大切な人に死んで欲しくない。

そのためにはまずここから抜け出さないと。


「・・・っつぅ!」


多少の痛みをこらえて、草木の中から這い出す。

どうやら私は庭園の生垣に突っ込んでしまったようだ。丁度皆が戦っている戦場からは死角になっていて、自分の状態を確認するくらいの余裕はある。

抜け出すと、私の身体はまあまあ無惨な感じになっている。

前々から小さな古傷はあったけど、そう言うレベルでは無い。


とはいえ、這い出した私に何が出来るだろうか。

加勢したとして、あの化け物をなんとかできるだろうか?

あれは私の渾身のバリアを貫き、そこら一体を吹き飛ばす力を耐えた。


もはや生半可な魔法では決め手にならない。

戦闘経験の少ない私じゃ、下手に戦場に出ても足を引っ張るだけかもしれない。

実際他3人は戦ってるのに私だけ気絶してたし。


何か無いか・・・!


勿論、周囲を見渡しても、何もない。

あるのは庭園の残骸と、苦しい戦いを繰り広げている皆だけ。


当然、上を見ても立派な城の屋根しかない。

下は・・・


下は・・・!


ふと庭園からしらを見下ろすと、そこには砕かれた城壁と、そこに広がる一階の庭園、そして、

突入に使ったボコボコの鉄の杭が捨ててある。


・・・あれだ!!

城壁を破れる威力のアレをぶつけるくらいすれば、結構な威力になるんじゃない?


幸い、化け物の目はこっちに向いていない。

階下の庭園の鉄杭に向けて手を伸ばす。

勿論、直接掴める大きさでも距離でもない。

でも、あれは元々私が生み出した物で私が操作していもの。


だったらと、あれに向けて雷の魔力を飛ばしてみる。


・・・感じる。


あの鉄杭に雷の魔力が集まっていくのが。

念じていくうちに、その鉄杭は、紐で括られた棒のように、ズズッ、と動き出した。


・・・行ける・・・!


「ぐあっ!!」

「兄ちゃん!!」


後ろで悲鳴が聞こえる。

もうちょっと、もうちょっと待ってて!!


鉄杭は少しずつ動いて壁に到達し、そこからさらに今の庭園目指しづるづると白の壁を登ってくる。

1秒1秒が無限に感じる程もどかしい。

もっと、もっと早く登れないの!?


とはいえやっぱり鉄の塊、簡単に持ち上がる訳はない。

ちょっと大きすぎたかな。

でも、大きさが無いと威力は出ないし・・・!


ああ、もどかしい!


こうしている間にも他の皆が傷ついていく。


「くっ・・・」

『まあ、人間にしてはよくやった方か』


マリナさんの声。

振り向くと、膝をついて息も絶え絶えなマリナさんと、その前に立ち、拳を握りしめる化け物の姿が。


・・・ダメ!!


それを見るのと行動を起こすのは同時だった。杭を引き上げている左手とは反対。

右手をポケットに突っ込んで、以前貰った携帯用の銃を発射していた。


しかし、発射された氷の弾は化け物の肩に当たり、それで終わった。


『ああ、なんだ、まだ生きてたのか』

「ゆ、ユイちゃん!?」


マリナさんが、驚きと安堵の混じる凄く絶妙な顔で振り向いて来るけれど、

同時にバケモノは弾が当たった場所を軽く払いのけると、こちらに向き直ってくる。

・・・ヤバイ。


完全に悪手だった。

咄嗟に撃てるのが利点だったけど、威力が不足しすぎてる。


護身用じゃダメか!


『はぁー・・・』


化け物はため息のようなものを吐いて、両手を広げる。

それに対し、私はヤケクソ気味に叫ぶ、


「もうちょっと、もうちょっとだけ時間を稼いで!!」


ヤケクソというか、ダメ元。

マリナさんも、レイル君も、レウン君も疲れ果てて満身創痍だった。

でも、それに答えてくれた人が一人だけ。


「ちょっとで良いんだな!?」


それはレイル君。

床に這いつくばった姿勢のまま銃は放していない。

そう答えるや否や、レイル君の銃身が光る。


「とっておきだ!喰らえ!」

『何!?』


余りのレスポンスの速さに、化け物は反応が一歩遅れたように見えた。

レイル君の発射したそれは化け物に命中し、

化け物の全身をスライム状の何かが覆う。


「麻痺毒を仕込んだ粘着弾だ!」

『こんな、子供だましの物がとっておきか?』


化け物は、纏わりついたスライム状のものを、一息で吹き飛ばしてしまう。

その間、僅か2秒。


でも、


その2秒あれば十分。

鉄杭を庭園の高さまで持って行くことが出来た。

中に浮かぶ鉄杭は、既に帯電し黄色い閃光を纏っている。


「エクスプロ―シヴッ!!」


一々技名を叫んでいる暇はない。

けど、ちゃんと言う事で技が技としてちゃんと動作する側面もある。

なので、言い切る前に操作に使っている右手を振り下ろし、鉄杭を飛ばす。


「パイル!」


巨大な鉄杭は、私の目で追う事が出来ないほどのスピードで、化け物の元へとカッ飛んいき、

その余波で、傷だらけの私の服と髪が揺れる。

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