表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/63

第20話

「もう!ルークのバカっ!」


「なんでカードもらったのよ?!ばかっ!!せっかく19だったのにっ!」


 ルークの両サイドで口々に文句を言う茶色の髪の女性とブロンドの少女。真ん中のルークは抱えていた頭から手を放し、


「やかましー!!」


 と、一喝。


「次に2が来たらブラック・ジャックだろーがっ!それにかけるのが男ってもんなんだよっ!」


「ばかみたい。それで何回やられてんの?」


「これじゃあディランより稼げないんじゃないの?」


「ぐっ・・・・」


 言葉に詰まるルーク。ディーラーはその光景を面白そうにカードを切りながら見ている。


「どうです?お嬢様方もいかがですか?もうルールは分かったでしょう?」


「私、やる!」


 シャンヌがルークの横の椅子にちょこんと腰掛けた。


「それじゃ、私も」


 リビアもルークの左隣に腰掛ける。


「ではコインを賭けてください」


 シャンヌは2枚、ルークは3枚、リビアは2枚をそれぞれかけた。

 <ブラック・ジャック>は『21』に近づけば勝ちというゲームである。絵札を10とし、エースは1又は11とカウントする。初めに2枚が配られ、その時点で『21』になっていたら、その人の勝ち。またプレイヤーは『21』になるまでカードをもらうことが出来るが、『21』を超えてしまうと先程のルークのように負けとなる。掛け金は2倍のみ。

 ディーラーがカードをオープンの状態で配っていく。2枚ずつ配り終えたところでシャンヌが13、ルークが9、リビアが15、ディーラーが14だった。


「カードを引きますか?」


 シャンヌは一枚カードをもらった。ハートのクイーン。


「あ〜あ。ドボンしちゃった〜。運がないなぁ〜!」


 ルークは2枚もらった。クローバーのジャックとダイヤの9。


「げ〜〜〜!1枚にすればよかった〜〜!!」


 リビアも1枚もらった。出た数は5。


「あ!やった!20になった!!」


 ディーラーも結局19で終わり、リビアの元に掛け金の2倍のコインが置かれた。 


「お前、運強いな!」


「ルークがマヌケすぎるだけじゃない?」


 クスクスと笑っていると、「リビア」という低い声。振り返るまでもない。


「ディラン!もう、遅かったじゃない」


 口を開きかけたリビアより先に、シャンヌがその手を引っ張っていった。


「あのね、ブラック・ジャックしてるの。今、リビアが勝ったとこ。ディランもしよ?」


 上目遣いに言われ、普通の男ならここでくらくらとするものなのだろうが、ディランはいたって平然と答える。


「別に、いいけど・・・。それより夕飯はどうするんだ?ルーク、お前、文無しになってたら・・・」


「まだなってねーよ!」


 じとっと睨みつけるディランに、ルークは半ば憤慨して叫んだ。そこにポツリとリビアが付け加える。


「・・・まだ、ね。まだ」


「うあ・・・その言い方って・・・・」


 嘘泣きを始めるルーク。それを見て、シャンヌがくすくすと笑っている。


「それじゃあ、ご飯を誰におごってもらうかで勝負をしてみない?これに負けた人が奢ること!」


「あ!それ、おもしろそう」


「よっしゃ!のった!ディランもやろうぜ!」


「分かった」


 リビアの提案に、ディランも頷き椅子に座る。

 かくて、夕飯を賭けた戦いは白熱し、ルークの『泣きの1回』を含めた全10回戦は―――ルークの全敗で幕を閉じた。

  


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ