プロローグ② 神書の管理人、かく語れり
「で、あんた誰?」
とりあえず、現状の把握はできた。
死んでしまったということなら、それは騒いだって仕方がない。
お気に入りの小説の続きが読めなくなるのは、かなりショックではあるが…。
「あぁ、そういえば自己紹介まだだったね。
僕の名前は、メタトロン。職業は神書の管理人さ。」
「神書の管理人…?」
こいつ、頭大丈夫か?
「君、今物凄く失礼な事思わなかった?」
「……いや?」
「間が怪しいんだけど?」
「そ、そんな事よりここ物凄く目が痛いし、白フードのおかげでお前が物凄く識別しにくいんだが」
とりあえず、話題を変えてみよう。
「あ、あぁ。気がつかなかったよ。
ごめん、ごめん」
そういうとメタトロンは白フードを脱いだ。
出てきたのは、身長140㎝くらいの幼女だ。
綺麗というより可愛い系。
桃色の髪が背中まで伸びている。
ん、つるぺたボディだし、はっきり言って落胆ものだ…。
「君、明からさまな落胆って失礼過ぎやしないかい?」
「いや、俺が知っている異世界転生ものの場合、最初に会う女性キャラってのはボッ、キュ、ボンの美人のはずだ。
それが、つるぺた幼女であればがっかりするのも仕方ないと思うが?」
「し、知らないよそんなの。
君が勝手に想像して、勝手に落胆してるだけじゃないか!」
それもそうか。
だが、考えてみて欲しい。
いきなり訳も解ら無い所で目覚めて、死んだとか言われた場合、真っ先に思いつくのは異世界転生もののはず。
この場合、最初に出会うのはケモミミ美女かグラマー冒険者、美人女神のはず。
それが、つるぺた幼女となれば…。落胆するのも仕方がないと思わないか?
「で、俺を異世界に転生させるのか?」
「え?転生したいの?」
「いや、特には?
仕事するくらいなら本を読んでいたいしな。
それに、転生先が識字率低かったり、そもそも本が無いとかだと発狂できる自信がある。」
「あんまり、自慢にならないと思うよ。」
呆れられた…。
「ま、順を追って説明するよ。
まず、君に集めて欲しい詩篇っていうのは様々な世界の英雄、英霊などの冒険譚や、死者の怨念みたいな死霊譚。簡単にいえばホラーだね。そういった世界に住む人々の人生を書物にしたものを言う。
とは言っても、なんでも集めれば良いって物じゃない。
世界レベルでの偉業や、偉業を成す前に非業の死を遂げた、みたいなものじゃないと面白く無い。」
「お前が読みたいだけかよ?」
「そうだけど?」
あっさり肯定された。
しかも、さも何を当然な事を聞いてるの?みたいな雰囲気で首を傾げられた。
納得できん…。
「続けるよ?
君には色んな世界を旅して、冒険譚や悲恋譚を集めて欲しいんだよ。
あ、神様の代理としてね。」
「神の代理…?」
「そ、神様代理として、ね。」
「どういうことだ?」
「君が考えている、異世界転生ものでは無いって事だよ。
ぼくが持ってる詩篇は、もう全て読み終えてるし内容が空で言えるほど読み込んでる。
新しい詩篇が無いと暇で、暇で…。」
「つまり、お前の代わりに色んな異世界に行って詩篇を集めてくるのが仕事ってことか。
報酬は?」
「現実的だね〜。
報酬はぼくが管理している神書、禁書、詩篇の閲覧許可と死な無い体。
正確には、準神としての活動許可かな。
因みに、蔵書数は約500万冊強だよ。」
な、500万冊強の蔵書だと!
しかも、読み放題。なんとお得な。
「やってくれるよね?」
ん〜、仕事はしたくないが、報酬には凄く惹かれるものがある…。
さて、どうしようか…。
2話目です。
稚拙な文章で申し訳ありません。
誤字脱字についてはご指摘頂けると幸いです。