プロローグ① いきなり死亡?
初投稿です。
楽しんで頂けたら幸いです。
「君には、ぼくの代わりに詩篇を集めて欲しいんだ!」
「……はぁ?」
こいつはいきなり何を言い出すのか…。
訳のわからん奴は放っておいて、とりあえず現状を確認してみよう。
なんか、妙に冷静だな俺。
俺の名前は?…小鳥遊康佑。
大丈夫、ちゃんと憶えている。
年齢32歳、恋人いない暦=年齢。…確認作業だが、結構くるな…。
職業 システムエンジニア。
趣味 読書 ジャンル不問。
今居る場所…。真っ白な空間。
目が痛くなる…。
気が付けばここに居たが、その前の記憶は…。
ダンプカーのヘッドライト…。
ここはどう見ても病院という感じではないし…。
と、いうことは?
「俺は…、死んだのか…?」
「そうだよ?」
目の前に居る白フードが、自問に答えてくれた。
そう、目の前に居るには白いフードを被った人物。
目深にフードを被っているため表情は解らないが、わずかに覗く口元は楽しそうに笑っている。
白い背景に白フードのため、物凄く見ずらい。
「なるほど、死んだのか。
ん、大した事のない人生だったがあっけないもんだ。
…何て思えるかぁぁ!!」
「うるさいなぁ。」
「うるさい?うるさいって言ったか、お前?
俺にとっては重要な事だ!
まだ、読みかけの小説が5冊もあったんだぞ!
明日にはお気に入り作家の最新巻が出るし!」
「重要なの、そこ?」
「当たり前だ!
読みかけの推理小説はまだ犯人に辿り着いてないし、好きな作家の最新作は内容が気になる。
ソー◯アート・オン◯インもまだ読み終わってない。
あぁ、今日買った本も最初の出だし位しかまだ読んでない…。」
まじか…なんてこった…。
もう続きが読めないのか…。
「君、変わってるねぇ〜。
普通親とか恋人とかの名前は呼んで、もう少しパニックになるもんだけど?
間違いなく、本の続きとかが最初に出てくることは無いだろうね〜。」
白フードは、そう言いながら笑っている。
いや、俺の中ではかなり重要だ。
両親は健在だが、優秀すぎる姉と妹のおかげで盆と正月さえ帰れば文句も言われない。
恋人も居ないし、そもそも仕事場は真っ黒企業だ。
死んだところで、そんなに悲しまれることはないだろう。
きっと…多分…。
「悲しいねぇ…。」
同情されてしまった…。