黒猫、問い詰める。
ご無沙汰投稿です。
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わたしは目の前の奴に手をかざし、心臓近くの肌に触れ魔法を使う。
浄化と再生の“水”、癒しの“光”、生命の繁栄“大地”の魔法を掛け合わせた混合魔法。
複数の要素を使うのはバランスの関係で難しいかったが、使ってる最中に馴染んだから良しとしよう。
魔法によって淡く発光した身体をみながら、傷が癒えて行くのを最後まで見届けゆっくりと距離をとったーー…
『ん。完了。』
わたしが距離をとると、目の前のやつは自分に起きたことに驚き目を見開いて身体の状態を確かめているようだった。
まぁここで補足すると、わたしが使った回復魔法は身体が治癒力を上げる様に働きかけるような物。傷とか痛みとかの見た目・痛覚は治せても、血を失い過ぎてる場合1日くらいは安静にしておかないと回復しないと思う。要は貧血的なやつだからね。
『見た目は治ってるけど、中身は完全じゃないから立ったら転ぶ。』
「…おぉ、そうなのか…?」
立とうとしたやつに忠告すると疑問符を浮かべながらも大人しく座り直した。なんか犬みたいだな…
『ん。1日安静。』
わたしはそう言い残してフードを被り直しながら踵を返す。どうやら妖精達が仕事を終えたようだ。
「…あっ、おい!お前何する気だ…?」
わたしが妖精に指定した場所に歩きはじめると慌てた声で後ろから質問された。
『ん?話し合い。』
「…、」
肩越しに顔だけ振り返り無表情で答えると、なんとも言えない顔をされたが気にしないことにする。
わたしは改めて歩みを進めたー…
『おつかれ様。ありがとね?』
妖精達に声をかけるとニコニコと笑いながら応えてくれた。そして目の前には折り重なるようにして集められた怪しいやつらがいる。
『…で?内容は穏やかじゃないみたいだがあいつに何の用?』
「あぁ?…おめぇ何者だぁ…?」
一番上にいた目つきの悪い、明らかに悪役面したやつに質問するも、質問で返してきた。
『通りすがりの一般人。んで用件は?』
とりあえず質問に答えてもう一度同じ問いかけをした。
「「「「「はぁ?おめぇのどこか一般人だぁ?!」」」」」
『……(うるさい)、どうでもいいから用件言え。因みに質問以外の言葉は水攻めな。』
「は?どういうっ…ゴボッ!?」
仏の顔も三度までってことで、無言で魔法を使い無駄口叩いたやつの顔を水で覆った。いい具合に溺れてる←
『ってことだから早く質問に答えろ。』
「ッゲホッ、ゴホッ」
「「「「「っ!」」」」」
わたしは気絶するギリギリで魔法を解き、少しの殺気を漂わせながら残りの奴らに声をかけた。
「…お、俺らはただ雇われてアイツを始末しろと、命令されただけだ!」
『雇い主は?』
「し、しらねぇ!俺達は仲介役のやつから依頼されただけだ!」
『そお…仲介役の名前はわかるか?』
「ほんとの名前かしらねぇが、“ファクティス”っていう野郎だ。薄紫髪の長髪糸目野郎だったはずだ。」
そいつらは怯えながらもわたしの質問に答えていく。
『……(ファクティス…ね、)そう、他に知ってる事は?』
「後はしらねぇ!基本、依頼と金の話ししかしてねぇからな!?」
そう言った男に他の男達は激しく同意していた。
『ん。わかった。とりあえず、これ以上手出ししないならあんたら帰っていいぞ。』
「「「「「「…は?いいのか?」」」」」」
私の発言に男達は唖然。間抜けな顔をした。
『あぁ、いいけど。危害加えるようなら容赦しないから自己責任で。』
「「「「「「(コクコクコクコク)」」」」」」
私が妖精達に魔法を解かせると男達は脱兎の如く走り去って行ったーー……
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