表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
5章 青の領域と赤の領域(続)
82/172

勢力戦勃発17

「当たるか!!」


「くそ!ちょこまか動きやがって!!」


「もっとだ!もっと弾幕を張ってあいつの動きを制限させるんだ!」


「で、でもあいつの動きが速すぎて目で追えねえよ!」


「いいからばら撒け!!」



颯太を含む北側の拠点でも作戦が開始されていた。颯太の部隊は機動部隊として部隊の前に立ち、ひたすらに敵陣へ斬り込んでいく部隊となっている。


その中でも飛び抜けて敏捷値が高い颯太はクレアと伊澄すらも置き去りにする速度で敵のど真ん中に降り立ち、敵部隊の陣形を無茶苦茶にして敵陣に混乱を招いていた。



「レーナ、デコイだ」


『うん』



元気のないレーナが短く颯太の声に応じる。



「………」



そんな彼女に颯太は何か声をかけようかと思ったが、今のレーナには時間が必要だと思い至って戦いに集中する事にした。


色々な銃弾やら光の弾が降り注ぐなか、颯太は疾走しながら大剣を引きずりながらタイミングを窺う。



『ワン…ツー……ツリー…!!』



飛ぶように走る颯太は一際大きく飛ぶと地面の砂を大剣で思いっきり巻き上げた。



「げほっ!げほっ!!み、皆気を付けろ!!」


「くっそ!なんだあいつ!マップにアイコンが表示されないぞ!」


「そういう能力を持ってんだろ!?そういう時は肉眼を使え!」



そして颯太を狙うプレイヤー達が砂煙に目を凝らしていると――――



「い、いたぞ!!撃て!!」



砂煙を突き抜けるように飛び出してきた颯太を見つけたプレイヤーが声を上げ、それに反応したプレイヤー達がこぞって颯太を蜂の巣にすべく己の神器を構えて攻撃を開始する。



「よ、よし!当たったぞ!皆打ち込め!!今がチャンスだ!」



誰かの神器の攻撃が颯太の足に当たり、颯太の動きが鈍った瞬間プレイヤー達は歓喜のような声を上げて銃を乱射した。



「へへ…!なぁんだ、2世代目っていうのも案外大したことないんだな。もちっと手こずるかと思ったが……歯ごたえがなかったな。くく…!やっぱ戦争は数なんだよ!!」



リーダー格と思わしき男が高笑いを挙げた瞬間、男の上半身がなくなった。いや、男の上半身は地面に落ちている。



「――――あ?」


「うぐッ!?」



リーダー格の男は終始何が起きたのか分からないままポリゴンをその場に散らし、その隣にいた男も一瞬で首を切り刻まれる。



「レーナの抱き枕を見て思いついたが、デコイはどのゲームでも優秀だな」



カマイタチのように次々と急所を的確に抉りながら切り抜ける颯太の表情はどこか笑っていた。



『デコイをここまで操れるのは私だけ』


「はは、感謝しているよ、レーナ」


『うん……颯太のこと一番理解しているからね…』



本物の颯太と見間違うほどの完成度で出来たデコイを操作していたのはレーナだった。彼の行動パターンを常に把握している彼女だからこそ出来た芸当であり、神器とプレイヤーの絆の証でもあった。

まぁレーナの場合絆と言うよりも『愛』の方があっているかもしれないが。



「やぁ颯太。私がいなくて寂しかったかい?」


「クレアさん」


「颯太ばかりにいいところはさせないぞ」



遥か天空から巨大な氷塊と共に落ちてきたクレアは颯太に軽くウィンクすると、両手を地面に叩きつけた。


その瞬間森は一瞬にして氷の森へと化し、その氷からドラゴンやらゴーレムやら色々なモンスターが次々と現れて敵のプレイヤーへ襲い掛かり始めた。



「うお!?これは!?」


「ふふ、私の数あるスキルの中の一つ『ラグナロク』というものだ。さ、このまま混乱に乗じて敵陣を切り崩すぞ!」


「はい!」





「おうおう、やるねえ」


「銀二さんも戦ってくれよ!」


「そう…わたし達ばかり戦わせてあなたは高みの見物…?」



颯太とクレアから少し離れて最前線へ立つ竜也たち。竜也も2丁の長銃を撃ちながら隣で腕を組んで棒立ちしている銀二に思わず声を荒げる。伊澄も無表情ながらもどこか怒っている様子で銀二に行動を咎めている。



「あ~お前ら俺の神器のスキルを知らないのか」



鬱陶しいように銀二は耳をほじくりながら答え、どう言うべきか考えるように顎をさする。



「俺の神器はよぉ。攻撃しない時間が長ければ長いほど威力が増すんだよ。だから今も攻撃しないで突っ立っているわけ。分かったかな~?」


「んじゃ、いつになったら攻撃すんだよ!こっちだって辛いんだぞ!」


「ん~……もうちょい待ってろ。敵の拠点が見えたら攻撃すっからよ。それまで頑張れ」


「あぁ、分かったよ!やってやるさ!」


「むぅ……竜也がそれで納得したのならわたしも頑張る…」



伊澄は虚空から巨大なランチャーを取り出し、肩に背負い膝を地面につけて身体を固定する。



「竜也……」


「おう!ボルケーノ!行くぜ!」


『うむ!』



長銃を勢いよく合わせれば銃から荒れ狂う真紅の炎が噴き出し始め、2つの銃口に炎が収束して行く。



「ギガブラスター……発射…ッ!」


「ネオ・プロミネンスレーザー!!」



青と赤の軌跡が戦場を駆け抜け、敵側のプレイヤー達の陣形を滅茶苦茶に破壊する。





「ははッ!張り切っているな、あの2人も!」


「当然だ。これは負けられない戦いだからな」



クレアが手をかざすだけで敵陣に巨大な氷塊が何度も何度も降り注ぎ、颯太の刃に触れるだけでプレイヤー達は動けなくなってしまう。



「1世代目と2世代目っていうのはここまで強いものなのか……」



颯太に切り刻まれ、ポリゴンを散らす瞬間そのプレイヤーは自分が戦った敵の強さをようやく把握する。


黒い稲妻が次々と敵を屠り、氷の女帝が陣形を破壊する。たった2人の神器使いによって赤側は壊滅的な被害を受けていた。もう赤側に防衛能力などなく、もうヤケクソ気味に戦っている状態だった。



蹂躙、という言葉が酷く似合うこの戦いは数と強力な神器の暴力によって終結することとなる。



「お、やっと見えたか。よーし、お前ら離れていろ。あぁ、前にいる混沌と氷帝にも離れろって言っておけ」


「わたしが言ってくる……1分頂戴…」


「駄目だ。30秒で済ましてこい」


「了解…」



伊澄は一瞬でガンドレアを纏い、鋼のヒョウと化すと背中のイオンブースターを発動させて颯太とクレアの元に向かった。



「一著に派手にやりますかねえ!」


「なにするつもりなんだ…?」


「あ?んなもん決まっているだろ?ここから敵拠点ごと攻撃すんだよ」


「え!?マジで?!」


「あぁ、大マジだ」



銀二は首を鳴らしながら気怠そうに前へ出る。



「お前、俺の神器のことは知ってんだろ?」


「あ、あぁ……確か名は『ゲオルギウス』だったか…」


「おう、上出来だ。ならよ、炎龍使いのお前ならこの先のことは既にお察しなんじゃないか?」


「まさかここからあのブレスを!?つか、アンタ覚醒能力が使えて―――」


「行くぜオラァ!ゲオルギウスウウウウウ!」



銀二の足元に巨大な白い魔法陣が浮かび上がり、次の瞬間銀二を囲むように白い炎が立ち上る。

白い炎が一際激しく燃えると、中から巨大なドラゴンの足と手が飛び出し、炎が消えるとそこには白銀の聖龍が顕現していた。



「グオオオオオオオン――――!!!」


『竜也、よく見ておけ。これが最強の神器と謳われた聖龍ゲオルギウスの真の姿だ』


「あ、あぁ……」



ゲオルギウスは大地を揺るがす咆哮を挙げると、大きな翼を広げた。すると翼に光の粒子が集まりだし、口先に青白く輝く光の弾が生成されていく。



『竜也が成長すれば我もいずれ竜也に真の姿を見せる日も来るであろう』


「ああ……」


『ふふ、心ここに非ず、と言ったところか』



ゲオルギウスは太陽の光すら喰らい、ランゲージバトルの戦場に夜が訪れる。



「あれがゲオルギウスか……とんでもない神器だ」


「颯太が頂点を目指すとなればやがてあれと戦うことになるだろう」


「怖い神器……」



既に退避していた颯太、クレア、伊澄の3人は木に背を預けながら光を喰らうゲオルギウスの様子を見ていた。



あれを撃たせてはならないと躍起になってゲオルギウスに襲い掛かるプレイヤーもいるが、銀二の優秀なギルドメンバーの守りに阻まれ、どうしようもなくなってただ悔しげな雄叫びの声をあげる。



「さぁ、来るぞ」


「はい…」



ランゲージバトルの世界に完全な闇が訪れ、翼に集まる光がなくなった瞬間――――



キン―――――!!!!!!



一筋の眩い光が颯太の目に焼き付けた。そして――――



ドオオオオオオオオオオオオオオオン―――――――!!!!!!!



大地が揺れ、大地が火を吹き、その光の一撃が向かった先は敵の拠点。颯太達が敵の拠点に目を向けた時には既に敵の拠点は激しく燃え、MAPに表示される拠点の耐久値はゼロパーセントになっていた。



「え……い、一撃で拠点を破壊した…!?」


「これは驚いたな……銀二め…一体いつから力を蓄えていた…」


「……あぁ………一撃なの…?」


「おいおいおい、拠点っていうもんは何千人が攻撃してやっと破壊出来るもんじゃなかったんですか!?」


「そのはずだが、あのゲオルギウスの攻撃が何よりの証拠だな」


「………」



颯太は絶句した。正直ゲオルギウスの攻撃で拠点を全て破壊出来るとは毛ほどにも思っていなかった。せいぜい半分削れればいい程度だと思っていたのだが、ゲオルギウスの攻撃は颯太の予想の範疇を遥かに超えて行った。



「オオオオオオオン――――!!!」



ゲオルギウスは天高く勝利の雄叫びを上げ、それに連なって銀二のギルドメンバーが声を上げた。

ただ、その他のプレイヤー達は想像を絶する光景にただただ言葉を失っていた。敵も、味方も。

どーもー!また太びです!


風邪も治り、完全に復活しました!いや~ホント風邪で悩んだのは久しぶりですよ。

風邪~?wwwそんなん大丈夫やろwwwって草生やしていたらこれですよ。全くどうしようもないですね、自分。


さてと、今回は銀二の強さに絶句する回でした。それと銀二の神器が判明した回でもありましたね。

銀二は前回のアリーナでは3位という結果でしたが、実は小手調べということで全然本気も出さないであっさりレギュンに負けたというエピソードがあったりします。

えっと、ゲオルギウスの能力は龍化です。覚醒能力でもある龍化ですが、これに変身するとパラメーターがとんでも状態になるのと龍化専用スキルもあるという破格の神器になっています。

え?これ颯太くん勝てるの?いや~www分からんじゃろwww

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ