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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
5章 青の領域と赤の領域(続)
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勢力戦勃発13

「流石と言ったところか…」



何事もなく無事に北の拠点についた颯太達は余りの人数に驚愕していた。


拠点の作りは中央の拠点と何ら変わらないが、北の拠点の施設は中央と比べて攻撃寄りだった。

守りの要となるストーンゴーレムの数が少なく、逆に岩石砲の数が圧倒的に勝っている。恐らく開戦と同時にこの拠点から無数の岩石が敵領域に常時降り注ぐ事になるのだろう。



「颯太、まずは受付けを済ませよう。拠点の見学は後だ」


「あ、そうですね。行きましょう」



キョロキョロと見渡している颯太に気付いたクレアが、拠点の入り口で受付けをしている銀二のギルドメンバーを指差す。



「はい、中央拠点の颯太さん、クレアさん、竜也さん、伊澄さんですね。1世代目と2世代目の神器の方はこのまま銀二さんがいる作戦室へ行ってください」



長い行列からやっと解放された颯太達は受付けをしていたプレイヤーにそう言われる。



「拠点の作りは他と変わらないので道に迷うという事はないと思いますが、一応地図です」


「ありがとうございます」


「ふむ、確かに中央と全然変わらないようだな」


「これで変わっていたりなんかしたら大変っすよ。俺未だに迷いますもん」


「わたしも拠点の中は複雑で嫌い……だから、いつも外にいる…」



颯太が早速地図を広げると3人が横から顔を覗かせて一緒に地図を見る。



「マップ構造の把握はRPGの基本なんだが、いい加減竜也も慣れろよ」


「おいおい、こういうのは得手不得手ってもんがあるだろ?」


「便利な言葉だな…」


「ゲームの中の地図と実際に見る地図は結構違って見えるよ……」


「ゲームの中の地図とこっちの地図をどうやって置き換えるかが問題だな」



地図をストレージにしまった颯太はいつも通り加山がいる作戦室の道順を歩き始め、クレア達はその後に続く。



「よーく集まってくれた!久しぶりの奴もいればいっつも顔を合わせている奴らもいる」



作戦室はうちの所よりも結構スペースが取ってあり、30人ほど入れそうなくらい広い。

その中でいつもの作業着のような服を着ている銀二が集まったプレイヤーにそう声をかけた。



「んで、1世代目と2世代目の神器使いを集めたところ、俺を合わせて15人いるってことなんだわ。まぁその中でも一際ぶっ壊れている奴らが数人いるが、ホント味方で良かったなー!」



言われなくとも分かっているが、そのぶっ壊れているというのは間違いなく颯太達の事だろう。



「さて、お前らを呼んだのは他でもない。昨日、お前らも知っての通り南側の拠点が落とされた。そこで俺達は明日北側を赤側の野郎共にやられた全く同じ方法でやり返す。んで、お前らには攻撃の要となる1世代目と2世代目だけで組まれた部隊を編成することになった」



その言葉に作戦室はざわめきに満たされ始めた。



「静かーに!!」



そして銀二の一喝で再び静まり返る。



「どうせ適当に組めって言ってもコミュ症のお前らには無理だと思うからよ。ほら、俺様が編成しておいたから各自目を通しおけ。見たらさっさと出て行けよ?俺だって忙しいんだ」



ぽいっとゴミを捨てるようにテーブルに投げられた編成表にプレイヤー達は群がった。



「私たちは最後でいいだろう。しかし、勝手に編成されたとなれば散りじりになる可能性もあるな」


「ん~そうなると挟撃作戦が……」


「戦闘途中で勝手に抜けられない…」


「ま、そうなるよな~」


「加山が私達のために手配をしてくれているのであれば、それが理想的なのだが…」



やがて人もいなくなりやっと編成表に目を通した颯太達は思わず目を見開いた。



「なッ…!?」


「そう来たか…!」


「へえ……」


「マジで!?」



4人は一緒だった。しかし、最後の5人目が――――



「よろしくな、颯太さんよ」



銀二は口元を吊り上げてニヤリと笑った。



「加山がどうしてもこの4人は一緒にしてくれと頼むもんだから仕方なく一緒にしてやったが、お前ら一体何を企んでいる」



銀二の目が鋭くなり、その瞳には颯太が映る。



「企むなんて、そんな物騒なもんじゃない。ただ北の拠点攻略後そのまま中央を攻め落としに行くだけだ」



今までどこか飄々としていた銀二の表情に初めて綻びが生じた。



「そいつはどういうことだ?」


「今回の北の拠点攻略は間違いなく成功する。その理由として今夜と明日を使って南側の拠点はストーンゴーレムの配置など時間を存分に使って守りを固めることになる。だって、取ったばかりの拠点を取り返されたくないだろう?」


「なるほど……確かに一理ある。でもよ、攻撃するって言ってもお前ら4人でか?それとも中央から連れてきたプレイヤーも合わせて100人でか?いくらなんでもその人数じゃ落とせねえだろ。たとえ凶悪な神器を持つお前らでもだ。相手が誰なのか分かってんのか?ヘルヘイムとウォータナトスだぞ。守りに入られたらおしまいだ」


「だろうな。普通に攻めたんじゃまず落とせない――――そこでこちらから提案がある」


「ほう?言ってみ」


「アンタの力を借りたい」


「お前……おもしれえな…」



銀二は一瞬きょとんとしたような顔をしてから椅子に深く腰掛け、にやりと笑う。



「アンタの神器は先ほどクレアさんから聞いた。きっとアンタの力なら要塞に風穴を開けられる」


「ああん?お前、俺の神器が何なのか知らずに今まで過ごしていたってのかよ」


「その件については申し訳ないと思っている……―――それで、返事を聴きたい」


「あぁ、いいぜ」


「へ?」


「いいって言ってんだろ。何アホずら見せてやがんだ」


「あ、いや、まさか二つ返事で答えてくれると思わなかったものだから」


「なに、こっちもさっさと赤側を追い返してやりたいと思っていたんだ。それに加山の野郎もいつまでも泥沼が続くと思うなって言ってるしよ」


「あぁ、その通りだ。今はお互い牽制し合っている状況だが、戦闘狂のレギュンと双子のことだ。すぐに部隊を引き連れて戦いを始める事だろう」


「そうなったらレギュンと双子は止まらないよ……それに今中央には十分な戦力が残っていない…」


「わーってるって!だからこの俺様が手伝ってやるって言っているんだろ!?」



銀二は両耳を手の平で塞ぎ、クレアと伊澄の言葉を断ち切る。



「いいか、おめえらが連れてきた96人とうちの拠点の人数を合わせたごちゃまぜの部隊を編制することになっている」



身体を起こした銀二は腕を組んで考える素振りを見せる。



「んで、気になる数だが、俺達の部隊は司令塔になる事から約1200人で編制される」



銀二は颯太に鋭い眼光を向けた。その瞳には『本当にやれるのか?』という意味が込められており、颯太は銀二の視線に頷く。



「りょ~かい。んじゃお前らは出て行け。俺は書類をまとめなきゃならねえ」



と言って銀二がストレージから取り出したのはいかにも高級そうな瓶に入ったウィスキー。氷の入ったグラスにウィスキーを注ぎながら書類作業を始めたこの男は、本当にこんなのでトップが勤まるのだろうかと純粋に気になった。



「ほら、出てけ。同じ事2度も言わせんな!」



今にも神器で攻撃されそうな剣幕で『出て行け』と言った銀二の言葉を背に受けて颯太達は急いで退出した。



「何とか銀二を説得出来たな…」


「うむ、お手柄だ」


「いや~良かった良かった」


「これからだね…」



作戦室を出た颯太は全身から汗がどっと噴き出すのを肌で感じた。余程緊張していたらしい。



「それよりこれからどうする…?」


「そうだな……――――明日はきっと辛い連戦になる。だから、その前に最後の仕上げをしよう」


「仕上げ?なんのことだ?」


「レギュンと双子との決戦の前の仕上げだ。クレアさん、お願い出来ますか」


「あぁ、いくらでも付き合おう」


「そういうことか。よし!伊澄ちゃん、俺もお願いするぜ!」


「うん……頑張ろうね…」


「それじゃ、2人とも明日また会おう」


「おう!お前より強くなってやるからな!」


「1日じゃ無理だろ…」


「いや分からんぞ?竜也の成長速度は目を張るものがあると伊澄が言っていたからな」


「竜也は今までゲームに触れる機会がなかっただけで、結構才能はある……」


「なん…だと…」


「あははは!さて、竜也に抜かれないように我々も特訓に熱を入れるとしよう」


「お、お手柔らかに…」


「颯太は1日休んだからな、今日はハードに行くとしよう」



クレアは笑ってそう言ったが、颯太自身全然笑えなかった。

久しぶり?の更新です!どうもまた太びです。


えっと、なんで投稿が遅れてしまったかと言うと現在かなり忙しい状況でして、家に帰ってきてもすぐ寝てしまうんです。それで起きたら夕食も食べずに午前4時とかを迎えてしまい、そこから風呂に入って少し休憩したら7時にはバイトに出かけます。

そこから17時までバイトしていまして……(工場の系のバイト怖いでしょう…

あとはそのサイクルをずっと繰り返していました。。。

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