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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
5章 青の領域と赤の領域(続)
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勢力戦勃発1

そして迎えた決戦の木曜日。時刻は20時を丁度を回ったところ。


拠点の中の各グループに与えられたブリーフィングルームに颯太達全員が集まっていた。



「さて颯太、我々はどう動こうか」


「ん?前で前線を維持出来ればいいんじゃねえの?」


「兄さん……確かにそれも大事だけれどひたすら守っていればいいって話じゃないのよ…?」


「まぁ竜也の言う事も最もだが、隙があれば最前線のラインを上げるように加山さんから言われている」


「ラインを上げて行って徐々に相手を自軍の拠点に押し込んでいくわけだな」



滉介の言葉に颯太は頷く。



「だがそれは一般の戦争の話しだ。我々がこれから戦う相手はゲーム盤をひっくり返すようなバランスブレイカーが数多く存在する者達だ。常識が通用すると思わない方がいいと思うがね」


「ガイエンは厄介だと思うな~。多分岩で壁作って拠点を守っているよ」


「そうね。四神の2人があっちにいるもの。既に1世代目だけで2人いるわ」


「セイリュウってどんな能力使うの?ユキナちゃんは分かる?」


「あ~……確か水どばー!って流したりしてたかな」


「セイリュウは津波起こせるよ。まぁ私の紫電砲で相殺できるけど」


「1対1ならそこまで脅威にならないが、今回は戦争だ。範囲攻撃に長けた神器は恐ろしい」


「かー!俺もなんかねえのかよ!」


「覚醒能力を引きだせればこのような戦争……すぐ終わらせられるものを…」


「そだね。ボルケーノの覚醒能力があれば1人で拠点守れるよ」


「な、なんだと…!?お、お前…そんなに凄かったのか…!」



欠伸をしながら語るレーナの言葉に竜也は口元をワナワナと震わせながらボルケーノに目を向ける。



「ふむ、まぁ我の力を余り頼りにしないことだ。今あるだけの力で戦ってみせよ」


「ま、ボルケーノの言うとおりだね。それで颯太、誰か死んだらどうする?」


「蘇生時間は―――」


「1時間よ」


「だから、その間は一度全員固まって防御に徹しよう。あくまで俺達は前線の維持なんだ。無駄に突っ込んで部隊が壊滅するような最悪のケースだけは避けなくちゃならない」


「1世代目、2世代目の神器が現れた場合はどうする?」


「その時はクレアさん、お願いできますか」


「颯太の頼みとあれば」


「わたくしたちの世代ならわたくしと滉介に任せてもいいのよ」


「そうだな。同じ世代に製造された神器ならお前達が一番詳しいはずだ。滉介、任せたぞ」


「了解した」


「ユキナはユキナは~?」


「ユキナはその速さで敵をかく乱するんだ。そしてティアは罠を設置しまくれ」


「りょーかい!」


「俺と香織はどうするよ?」


「香織さんと竜也はその場で俺が指示を出す。だがまぁ、恐らく前衛のクレアさん達が逃した敵の処理になることだろうな」



颯太達が話を進めていると部屋の扉をノックする音が聞こえてきた。



「輝光の騎士団の皆さん、そろそろ配置についてください」


「分かりました」


「どうやらそろそろ時間のようだな」



颯太が加山の部下にそう答え、クレアはゆっくり腰を上げる。そしてクレアに続いて皆も椅子を立って部屋を出て行く。



「行こう?颯太くん」


「あぁ、行こう」



部屋に残ったのは香織と颯太。既に彼と彼女の手には巨大な大剣と光り輝く緑色の弓が握られており、二人も戦いの地へと歩き出した。



何も最前線に配置されたのが颯太達だけではない。

もちろん颯太達の他にも最前線を維持するため相当な人数が送り込まれているのだが、力を入れているのは言わずともわかると思うが最終防衛ラインだ。

颯太達は自分たちの力を過信しているわけではないが、他の者はそう思っていない。

1世代目の中でも極めて危険な神器であるビャッコとニヴルヘイム。それに加え四神を1人で相手する事が出来るレーナ。この3人が最前線で共に戦ってくれるのだ。颯太達の肩に重い期待がある事は3人とも重々承知していた。いや、ユキナは何とも思っていないかもしれない。



前衛で戦うクレア達から300m離れた位置にある窪みに颯太、竜也、香織の3人は隠れていた。



「俺の左目と香織さんの鷹の目でどこから神器がやってくるか大体の位置を知る事が出来る。それでも竜也は出来るだけ自分で見つけることを心掛けてくれ」


「分かったぜ」


「颯太くん、そろそろ」


「始まるか」



時刻が丁度21時を示した瞬間、今まで暗闇で何も見えなかった相手のエリアが見え始めた。



「なッ!?」


「えっ!?あ、あれって!」


「ん?どうしたんだ?」


「クレアさん!」



颯太と香織が見たものは、もちろんクレア達も見ていた。



「なに!?壁役のストーンゴーレムをここに配置していただと!?」


「クレアさん!来るよ!」


「全員散開だ!蜂の巣にされるぞ!」



クレア達がその場を素早く離れると同時に光の弾やら火の矢やら色々な飛び道具が一斉に降り注ぐ。



「ぎゃあああ!」


「お、おい!嘘だろおおお!?」



突然のことで何も分からず敵の餌食となった仲間の悲鳴がクレアの耳にも届く。



「クレア、どうする?」



走っているクレアの隣に並んだユキナが虎の爪で弾を弾きながら話しかけてきた。



「ユキナ、私と共に蹴散らすぞ」


「いいよ」



にやりとユキナは1つ笑うと彼女の姿は掻き消え、クレアはその場で剣を地面に突き刺す。

剣を地面に突き刺したと同時にクレアがいる位置から少し離れたところで竜巻が発生する。



「おお、派手にやっているな」



文字通り蹴散らしているユキナに構わずクレアは手の平に氷風を生み出し、それを氷の大剣に纏わせる。



「さて、今度はこちらが驚かせる番だ」



引き抜かれた大剣には激しい氷風が纏わりつき、そしてクレアは大剣を振り抜いた。



「ノールンスマッシャー!!」



戦場を覆っていた弾幕が一瞬で凍りつき、そして砕け散る。それは壁役のストーンゴーレムも例外ではない。



「すげえ………これがクレアさんの本気かよ…」


『少し抑え目だね』


「竜也!香織さん!ラインを上げて行くぞ!」


「ええ!分かったわ!」



弓を射る香織は機関銃を握る颯太の声に頷き、予め作っておいた次の地面の窪みを目指して飛び出した。



「くそ!なんだこいつ!」


「ビャッコだ!全員でかかれ!!」


「遅い遅い!それじゃユキナには当たらないよ~!」



颯太、詩織の敏捷を超える神速の虎は爪を振るうだけで真空波を生み出し、敵のプレイヤー達を引き裂いて行く。



「颯太がラインを上げたか。ティア!ユキナ!滉介!我々も前進するぞ!」


「あたし達だけ前進していいの!?」


「構わん!私とユキナの連撃で敵は怯んでいる!今のうちに少しでも遠距離に長けた神器を減らせ!」


「なるほどな!リーナ!突っ込むぞ!」


「ユキナちゃん!一緒に行こう!」


「いいよ!」


「では、私が道を作ろう」



クレアが両手を強く前に突きだす。すると次の瞬間彼女の視界に映る全てが凍りついた。

燃え盛る木も詩織達の道を防ごうと慌てて出てきたプレイヤー達も全て。



「蹴散らせ!」


『了解!』



苦無を握った詩織が、虎の爪を構えたユキナの2人が嵐のように戦場を掻き乱し、滉介の絶対切断能力を持つ物体が凍りついて動けないプレイヤー達を確実に葬って行く。



「はは……なんつう世界だよ…」


「凄いわ……他の前線は拮抗しているけれど…ここだけ明らかに敵陣営を切り崩している…」



それを後ろで援護しながら見ていた竜也は大砲を握りながら、そして香織も弓を握りしめながら震え声で呟く。



『レーナ、左目の視界から神器反応を調べてくれ。ちなみに俺達のグループが一番敵陣に突っ込んでいるみたいだから、俺達より前の神器だ』


『あいあいー!ちょーっと待ってね』



颯太は現在左目を閉じて右目だけ使って戦っていた。何故そんな事をしているのかと言うと、少し気がかりなことがあったからだ。

自分は肉体共有されていない右目を使い、そしてレーナが颯太の視界を通して周りの神器を調べ上げる。



『解析したよ』


『どうだ?』


『基本3世代目を中心としたグループばっかだね。これ、完全に私達分析されているよ』


『やっぱりか』



そう、先ほどからすんなり敵が倒されすぎているのだ。

全く手ごたえを感じないことに颯太は違和感を覚えていた。



『どうする?颯太』


『俺とティアが拠点に戻って加山さんに判断を仰ぐ』


『うん、それがいいね』


「香織さん、竜也。今から言う事をよく聞いてくれ」



レーナとの会話を終え、颯太は2人を伏せさせながら自分の考えを口に出す。

今もクレアの氷の壁を突き破って飛んでくる砲弾が3人の近くに落ちて頭から砂を被る。



「なんだ!?ドンパチやっているから少し大きな声で言ってくれよ!」


「俺は一度ここを離れる」


「はぁ!?おいおい!どこ行くつもりだよ!?」


「どういうこと?」


「変に思わないか?先ほどから敵が全く攻めてこないことに」


「え?そいつはあれだろ?クレアさん達が強すぎてびびっているんじゃ?」


「それもあると思うが、何より近接系統の神器が全く出てこない。ほら、さっきからずっと弾幕を張っているだけじゃないか」


「確かにそうね……もしかして私達の力量を…?」


「流石香織さんだ。そこで俺はティアを連れて一度拠点に戻って加山さんの判断を仰いでくる」


「なるほど……うん、了解したわ」


「それならしゃーねえな」


「2人は戦線を維持するだけでいい。それじゃ少しの間指揮権を香織さんに任せる」


「ええ、指揮権。確かに預かったわ」


「よし、行ってくる」


「気を付けてな!!」



地面の窪みから飛び出した颯太は心配そうな竜也に少しだけ手を振って銃を大剣に戻す。


颯太が走る脇を矢、レーザー、銃弾というありとあらゆる飛び道具が通り抜けて行く。



「クレアさん!俺はティアを連れて一度下がります!」


「あぁ、ここは任せておけ!私も今ティアを加山のところへ送ろうとしていたところだ!」



四方八方から飛んでくる弾幕をクレアは氷を生み出して防ぐどころか、銃弾なら氷で包み込んでそのまま撃ったプレイヤーの下へ反射。レーザーやエレメント系なら鏡のような氷の壁で反射。それをクレアは颯太と会話しながら行っているのである。



『全く、この人はどこまで俺の上を行く人なんだ……』


「あ、あれ!?なんで颯太がここに!?」


「どうやら颯太は私と同じことを考えていたらしい。颯太、女性のエスコートは任せたぞ」


「任せてください!行くぞ!ティア!」



颯太は素早くアイテムストレージを操作してソードタイガーのアイコンのアイテムを取り出す。

そして颯太の手の平に出現した紺色の丸いクリスタルのようなオーブを彼は握りつぶした。



「来い!シーザー!」


「ガアアアアアッ!!!」


「おお!これが颯太のテイムモンスターなんだね!」



凄まじい雷撃と共に現れたシーザーを見て口笛を吹くクレアと目を輝かせている詩織。



「カーッ!!」


「こ、こらレックス張り合わないの!」


「ティア、乗れ!」


「え!?あ、あたしも乗れるの!?」


「あぁ!青の領域にいるメンバーなら全員パーティー扱いだ!」



鎧から紫電を散らすシーザーに颯太は跨り、詩織も恐る恐るシーザーの背中に乗ると―――……



「行け!!」


「オオオオオオオオオオッ!!」



地を揺るがす雄叫びを天に吠え、シーザーは稲妻の如く戦場を駆けだした。



「颯太、クレアさんと同じ考えって…」


「あぁ、敵は下級プレイヤーをぶつけて俺達の力を測っている。それとどんな神器が相手にいるか、とかな」


「それじゃやっぱりあの手応えのなさは…」


「ティアが思っている通りであっていると思うぞ。あれは捨て駒だ。多分本人たちは知らされていないだろうけど…」


「酷い……」


「あれも立派な戦術なんだろうが、人としてどうかと思う」


「相手の大将は相当性格が捻じ曲がっているようだね」


「………早くこの事を他のグループにも知らせないとな…」


「そうだね……」


「シーザー。先を急いでくれ」


「ガルウ…」



嫌そうな顔をしながらもシーザーは主の言うとおり速度を上げた。

あけましておめでとうございます!という時間帯に投稿しました。

でも、24時から4時間も過ぎてしまっていますが、まぁそんなこと些末なことでしょう。

私、ある賞に応募してみました………なんかすっごいドキドキしながらキーワードを打ち込んだ思い出があります。11月末締め切りということでしたので、今出来上がっている分のランゲージバトルのみの応募となりましたが、結果が気になります………もちろん私のような弱小作家が受賞出来るとは思っていません。しかし、第一選考でも通れば私は応募したかいがあったというものです。

まぁ第一選考も凄い鬼門だと思うんですけどね。あれって落ちた理由とか、アドバイスはいただけるのでしょうかね…w

今後の参考にしたいのですが…………あぁ!皆さんのコメント、感想、ご意見お待ちしていますよ!なんだかお二人に面白いと言っていただけで本当に嬉しかったです。

ここでは名前を明かせませんが、本当に本当にどんな些細なコメントでも貰えると大喜びしますよ!皆さんのコメント、ご感想、ご意見が私の活力を生み出していると言っても過言ではありません!

では、これくらいでドロンです!

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