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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
1章 ランゲージバトル
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初めての友達

「ちなみにさっきランチャーっぽいの使ってたよな?ソウタの武器は大剣じゃなかったのか?」


「あぁ、それはレーナの能力だな。レーナが理解出来るものならどんな武器にでも変形できる」


『混沌ならではの千変万化だな。元々全てを呑み込む者として作られた神器だ。我々とは違うスペシャルなのだよ』


「へえ、レーナは特別なんだ」


『扱える人はいなかったけどね』


『扱う以前に、気に入らなかったら殺していただろうが』


『ふん。私と話してくれない人なんていらないもん』


「二人とも仲がいいんだな」


『何せ封印されていた順番が最後だからな』


『私とボルケーノは神器の中でもとても古いの。だから、顔見知りだし、封印されていても話をしていたんだよね』


『貴様が一方的に話しかけていただけだ』



洞窟をそんな話をしながら歩いて行く。



「そう言えばタツヤはフレンドとかと参加しなかったんだな」


「いや、俺も友達はいないもんでさ……」


「もしかしてこういうゲームは初めてか?」


「面目ない……友達の作り方が分からなくて、前組んだ人とは散々だった……」


「最初は戸惑うよな。ボルケーノは何か助言をしなかったのか?」


『我はそういうモノは自然と出来ると信じている』


『つまり二人とも友達を作るのが苦手って事だよ』



隣にいるタツヤはともかく、見えないボルケーノもガックリと肩を落とした気がした。



「ん?」


「どうかしたか?」


『颯太、敵だよ』


「分かっている」


『10時の曲がり角にジュエリークラブが2体』


「敵か!」



タツヤが気付いた時には既に颯太は駆け出していた。



『隠れていても無駄だよ~』


「何せ岩ごと砕くからな!」



鍔についた斧を壁に打ち付けて砕くと、剣を寝かせて横一閃に薙ぎ払った。



「パワフルな戦い方をするよな~」


「まぁな。レーナがオブジェクトを軽々破壊する力を持っているからつい」



クエストを確認すると現在の報酬金は5万Gまで膨れ上がっていた。

一般のクエストの大体報酬金が良くて2千Gだとすると破格の報酬金である。



「良い感じだな」


「正直最初のフロアを抜けてしまえば後は短いもんよ。さっさと奥にいるカニ倒して上がろうぜ」


「そうしよう」



颯太は大剣を背中のホルターにしまう。



「ちなみに状態異常は効かないみたいだから、お得意の即死は無理なんじゃねえかな?」


「まぁボスだしな。即死が効いたらつまらない」



少し歩いていると開けた場所に出た。



「ここか?」


「あぁ、来るぜ」



辺りを見渡している颯太の前に巨大な宝石を背負ったカニが落ちてきた。

名前はグレートジュエリークラブ。



「こいつは熱に弱い!俺が動きを鈍らせるからどんどん削って行ってくれ!」


「分かった!」



火炎放射は確かに有効だった。グレートジュエリークラブの動きが一気に鈍くなり、必死にハサミで炎を防いでいた。



「関節を狙うか」



グレートジュエリークラブから吐きだされる毒の泡を回避しながら颯太は考えていた。

タツヤの援護はボスの一番武器であるハサミを抑えている事が最高の援護だった。

実際ハサミの真下を走っても攻撃されない。



「まずはそのハサミを貰う!」



閃光の如く動いた颯太は瞬く間にハサミを切り落とした。



「一発かよ!」


「タツヤ!がら空きだ!」


「お、おう!よっしゃ!一斉射撃だぜ!」


「なかなかの腕だな」



走りながらボスの顔を正確に狙うタツヤの射撃の腕に颯太は少しだけ驚く。



「足も邪魔だな!」


『颯太、足は少し硬いよ。切断力のある刃に変えるね』



二つに裂けた刀身から顔を出した黒い刃。

レーナの的確なサポートに感謝しつつ颯太は流れるように足を切り落として行った。


足を失ったグレートジュエリークラブはもう泡を出すことしか出来ない砲台。



「俺も加勢する。流石にあの泡の中を突っ込むのは危険だ」


「んじゃ!このまま顔を狙ってHPバー全部もらっちまおうぜ!」



タツヤの隣に戻ってきた颯太は剣を変形させてガトリングを撃ち始めた。

颯太のガトリングが泡を撃ち落とし、タツヤの火炎玉が弱点の頭にどんどん着弾して行く。



「押し切れ!タツヤ!」


「いっけえええ!」



一際大きな火炎玉が撃ちだされた。

その火炎玉は途中の泡を全て弾いてグレートジュエリークラブに当たると凄まじい爆発を引き起こした。



「撃破完了。お疲れ様、タツヤ」


「おう!お疲れさん。ソウタ」



バーが真っ黒に染まったグレートジュエリークラブは派手なエフェクトでその身体を崩壊させた。

二人はそれを確認すると握手を交わした。



「いや~一括千金だ!それも殲滅ボーナス付き!」


「凄い。一気に15万Gも稼げるとは思わなかった」



ストレージの金額を確認して思わず口元が緩む。



「これもソウタのおかげだ。ありがとよ」


「あぁ、最後のフィニッシュはなかなかだった」



噴水がある広場で休んでいるとタツヤが急に頭を忙しく掻きだした。



「あの、よ…」


「ん?どうかした?」


「よ、よければ俺とフレンドになってくれないか!」


「あ………あぁ、喜んで」



颯太は心の底から驚いた顔をしてからタツヤのフレンドパス交換を承諾した。

フレンドパスをタツヤと交換した瞬間、颯太の手元に携帯のようなデバイスが現れた。



「なんだこれ?」


「私にも分からない。今までフレンドなんて出来たことなかったし」


「それはフレンドデバイスっていう奴だ。略称はFDとか言われているけど、つまりはいつでも友達と連絡が取れるっていう優れものだ」


「あぁ、携帯みたいなもんか。あれ?でも、パネルからでもメッセージ送信なら出来るよな?」


「えっと、このFDはリアル専用だ。フレンドと連絡を取るだけじゃなく、イベント情報なども見れるんだ」


「そう言うのはチュートリアルの時に渡すべきだろう……」


「そこが運営さんの意地悪なところだ」



颯太はしばらくレーナと一緒にFDを操作の仕方を覚えていると、ふと疑問に思った事があった。



「タツヤがこのFDを知っているという事はもうフレンドが他に?」


「まぁ一応いる。妹も何故だか選ばれてさ、右も左も分からない同士いつでも連絡出来るようにフレンドパスだけ交換しておいたんだ。だから、実際本当のフレンドが出来たのはソウタが初めてだ」


「妹か。その妹さんはどこに?」


「何だか今日は学校で嫌な事があったらしくて絶賛部屋に引きこもり中だ」


「それは気の毒に……」


「颯太、これ面白いね。私も颯太が持っているような機械に触れた」


「おう、どんどん俺の代わりに覚えてくれ。そして後で教えてな」


「うん。教えてあげるね」



レーナは笑顔で颯太の言葉に答えた。



「あいつクラスで委員長なんかやっててよ。少し気が張りすぎなんじゃねえかなぁってさ」


「委員長か。俺のクラスにもいたな。自分の事よりも他人を気にする委員長が」


「お?もしかして学生さんかい?」


「まぁね。高校2年生だ」


「俺は高3!妹は高2だな」


「あれ?一つ上か。ってことは―――」


「あぁ!今更敬語とか逆にダルいからいいって!それにせっかくのゲームだろ?リアルの年齢は抜きで行こうぜ」


「そうだな」



敬語を使うべきか悩んだ颯太を見たタツヤは手を振って嫌そうにする。



「妹さんは俺と同い年か」


「いや~厳しい妹でね。もう親父の会社に就職先は決まっているんだけど、少しは勉強しておけー!しておけー!ってうるさいんだよね」


「なんだか俺の知っている委員長そっくりだな」



颯太はどこにでもいる委員長タイプか、と片づけており、苦笑する。



「あれでも中身が繊細だからよ。何とかして元気づけてやりたいんだが、どうすればいいと思う?」


「どうするって……引き籠っている理由は分からないんだろう?」


「あ……そうだった…」


「おいおい……まずは話してみる事が大事なんじゃないかな。よく事情は分からないけど、兄妹同士仲が悪いわけじゃないんだろ?なら、話してくれる可能性もある」


「そうか……まずは話し合いをしてみるべきか…」



タツヤは顎に手を当てて考える素振りを見せる。

そのまま数分考えていたのか、颯太が欠伸をした瞬間彼は勢いよく立ち上がった。



「よし!俺聞きだしてみるわ!相談に乗ってくれてありがとよ!後は妹と話してみるから、今日はもうログアウトするぜ!」


「了解だ。頑張れよ」


「おう!何かあったらすぐ連絡する!それとログインしたら絶対呼ぶからな!」


「あぁ、待っている」


「お~い!ボルケーノ!寝てないでそろそろ帰るぞ~!」


「む、もう帰るのか。貴様、何をしている」


「ボルケーノの身体あったかいね」


「離れろ混沌。ではな、ソウタ」


「またな、ボルケーノも」



寝ていたボルケーノのお腹でFDを弄っていたレーナは彼が起きあがる反動でゴロゴロ草むらを転がって行く。


最後にタツヤは颯太とレーナに手を振ってログアウトして行った。



「帰っちゃったね。二人とも」


「まぁあっちにもリアルの事情があるからな」



ボルケーノというクッションをなくしたレーナは颯太の隣に座る。



「楽しかった?」


「楽しかったさ。やっぱりこういうネットゲームは対人があってこそ成り立つ。ソロにはいつか限界が来るんだよ」


「運営のイベントに助けられたね」


「恐らく新規プレイヤーが孤立してしまう事態が起きないようにした運営側の対策なんだろうな」


「一人は……寂しいもんね」


「そうだな」


「私には颯太がいるから。ねえ、颯太?」


「………これがなければ良い子なんだが…」



危ない目をしているレーナの視線を躱しながら颯太はぼそりと呟いた。



「レーナ、今は何時だ?」


「広場の時計を見れば分かるよ」


「ここは現実世界の時計と同じなのか」


「朝と夜は6時間ごとに来るけど、時計だけは正確」



広場の時計によれば現在時刻は午前2時だった。



「もう少しやれそうだな。レーナ、付き合ってくれるか?」


「うん、いいよ。どこまで上げるつもり?」


「出来れば50くらいにはしたい。段々クエストの難易度も上がって来たから辛いかもしれないが、少しでもな」


「たまにクエスト中の雑魚モンスターでも全能力耐性あるから、気を付けてね」


「分かっている。レーナの能力に頼りすぎず、出来るだけ自分のPSを信じてやるさ」


「そう言われると少しむっとするけど、頑張ってね」



大分レーナの扱い方に慣れてきた颯太は、彼女と手を繋いで城を目指した。

タイトルどうしようかな~と悩んでいたらふと思いついたこのタイトル。

分かっています、つまらないことくらいわかっていますよ…!w

ですが、今更変えるわけにも行かないし、もうどうにでもなれー!(イリヤ

な感じで投稿しました。

紅白よりも笑える方がいいです。

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