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輝光の騎士団の会議

「お、やっと来たか。ん?颯太疲れないか?」


「あぁ、ちょっと寝不足でな」


「ま、昨日はあんなことあったんだ。無理もねえか」



道草家へやってきた颯太達は、先についていた竜也たちに迎えられる。



「でも、睡眠はちゃんととらないとダメだよ~」


「今度から気を付ける」



竜也と詩織はそんな颯太を見て『しょうがないな~』という顔をするなか、クレアだけは香織を見ていた。



「香織、何かあったのか?」



颯太を挟んで歩く竜也たちを先頭にしてクレアは先ほどから難しい表情を浮かべている香織に声をかける。



「はい。実は―――――」



クレアに一通り話した香織は俯いてしまった。



「なるほどな。レーナのヤンデレっぷりは相当なものらしい」


「ヤンデレ?」


「そこは食いつかなくていい。まぁとりあえずだ。あれは颯太本人にしか解決する事が出来ない物事だ。香織は極力レーナの前で颯太といちゃつくのはやめろってことだけ理解すればいい」


「い、いちゃつくなんて!」


「事実だ。香織はレーナに睨まれなかったか?」


「え?あ、はい。一瞬だけでしたけど」


「つまり私達が颯太に近づく事が出来るのは知り合いという面が大きい。レーナは颯太の悲しむ顔を見たくないらしいから殺しはしない。だが、もし颯太がいない場所でレーナの我慢が解かれた瞬間、殺人に走る可能性がある。幸い今言った通り、我々はレーナと顔見知り、知り合いの関係から殺される可能性は低いと思うがな」


「そんな………」


「それに、もしあのまま颯太がアルテミスとの戦いを止めなければ、アルテミスは破壊されただろうし、その次は香織が殺される危険性だってあった。颯太に感謝するんだな。文句ひとつ言わないで罪を一人で背負った彼を」



クレアはそう言って香織の肩を叩くと颯太に抱き付きに行った。





「皆、急な集合に集まって貰ってすまない」



皆にお菓子と紅茶が行き渡ってからクレアはそう話を切りだした。

会議室とはまでは行かないが、それなりの広さがある部屋の円型のテーブルと大きな椅子に腰かけた颯太達はクレアの声に傾ける。



「その前にしつも~ん」


「なんだ?レーナ」


「本当に私達がいていいのかな?」


「あぁ、別に構わない」


「そ、ならいいけど」



颯太の膝に座るレーナ。香織の後ろに控えるアルテミス。竜也の隣に立つ人間姿のボルケーノ。入り口付近の壁に背中を預けて腕組みをしている琥太郎。

神器全員がこの場に揃っていた。



「まず話の初めに昨日颯太の身に起きた事を本人に語って貰おうか。断片的でも構わない。とにかく分かる範囲全て話してくれ」


「分かりました」



颯太はそこから自分の身に起きた出来事を全て話した。



「ドロ…か…」


「レーナ、昨日何か言っていたよな?」


「ん?あぁ、バグのことね。ボルケーノも知っているでしょ?」


「そうだな。過去に1、2回遭遇したという話を聞いたことがある」


「おいおい、知っていたのならなんで話してくれなかったんだよ」


「すまない。颯太から話を聞くまでまさかそのバグとは思わなかったのだ」


「琥太郎は?」


「いや、私は6世代目の神器だ。バグという存在自体知らなかった」


「私もです。3世代目の神器ですが、そんな話聞いたこともありませんでした」


「だろうね~。そのバグが発生したのは1世代目と2世代目辺りだもん。そこから運営の対応が良くなったのか知らないけど、全く発生しなかったもんね~」


「ふむ、混沌の言うとおり。我たちの世代で起きた出来事であるな。3世代目以降の神器が知らぬのも無理もなかろう」



神器同士の話しを颯太達は興味深そうに聞いていた。

香織はその話を一生懸命メモしており、クレアも聴きながら片手で紙にペンを走らせている。



「ねね、そのバグに捕まるとどうなるの?」


「そこまでは知らない。正直昔の話すぎて忘れちゃっているよ。私も昨日頑張って思い出そうとしたけど、ボルケーノくらいの事しか分からなかったし」


「いや、混沌。我はあれに捕まったら2度帰って来られないという噂を聞いたことがあるぞ」


「ほ、本当かよ!?」


「噂だ。やはり颯太同様にあのバグ遭遇したものがフレンドに一通のメッセージを送ったそうだ。しかし、颯太と違う所は、それきりその者がクエストから帰ってくることはなかったという点だ」


「ふむ、興味深いな。もう少し分からないか?」


「そうだな………その消えた者だが、次の日になるとランゲージバトルに存在するプレイヤーの頭から記憶が消えていたという妙な話もあったな」


「記憶操作……ですか?」


「まぁ出来ない事もないよね。ランゲージバトルにログイン中は颯太達プレイヤー全員夢を見ているような状態に陥っているわけだし」


「でもでも、記憶が消えたのになんでそんな噂が立ったの?」


「それはあるプレイヤーが日記として残していたそうだ。思い出したわけではないが、その消えたプレイヤーとの日々を書き記した事から“消えた”という真実に行き当ったわけだ」


「レーナ達はバグって言っているが、結局あれは何なんだ?なんだか俺にはあのドロが助けを求めているように見えたんだが……」


「こっちを襲ってくる奴に助けを求めてくるって何の冗談だよ」


「それもそうなんだが……」



そこで皆のFDにメールが届いた事を知らせる着信音が鳴り響く。



「おっと、皆同時か」



ポケットからFDを取り出して内容を確認したところ、どうやらランゲージバトルは緊急メンテナンスを行うそうだ。



「メンテ?今までそんな事はなかったんだが」


「恐らくあのバグが深く関わっていると思うぞ。あれは運営も予想外だったのだろう」


「でもまぁ、これで颯太が危ない目に会わなくなるのなら、それでいいよ。ホントあの時は生きた心地がしなかったからね~」


「皆には本当に心配をかけた…」


「違うぞ、颯太。そういう時はもっと違う言葉があるだろう」



クレアにそう言われ、颯太は皆を見渡すとにっこりと笑っていた。



「あ……えっと、皆、ありがとう。本当にありがとう」


「いいってことよ!」


「うむ、皆で助け合うのがギルドメンバーだ」


「そうよ。颯太くん一人見捨てるような事は絶対にしないんだから」


「竜也さんは少し頼りないからね~。やっぱり颯太のような男子がギルドメンバーを引っ張って行かないと」


「それどういう意味だよ」


「え~?どういう意味だろうね~」


「ふふ、では、ギルドメンバーの結束力が深まったところで話を戻そうか」



詩織と竜也のやり取りを見て少し笑ったクレアは表情を戻して、話を元の路線に戻す。



「恐らくこの緊急メンテナンスによってバグがこれから出てくる可能性は限りなくゼロに近いだろう」


「そう何度も会ったらこちらが困りますよ」


「ふふ、それもそうだな。さて、あのバグの事だが、何故今回になって出現したか、という事だ」


「たまたま運営の気が緩んだ時に出てきたとか?」


「いや、それは……」


「竜也、これはブレインストーミングだ。無駄と思えることでも他のものと繋げることで新たな考えが浮かぶかもしれない。とにかく案を出すことが重要なのだ」


「なるほど……んじゃ、最初からバグは存在していたってのはどうよ」


「それはどういう事だ?」


「お?つまり、メンテしてもバグ自体は消せなかったって事だよ」


「兄さんにしては結構マシな意見ね」


「お前らさっきから俺の評価が酷くないか…」


「颯太はどう思う?」


「俺は……やっぱり竜也の意見と同じですね。1世代目と2世代目の間に出没していたバグが今出て来たという事は結局運営側はバグに対して完全に対応出来なかったのでは?というくらいしか思いつきません」


「ふむ、香織は?」


「私は余りゲームに詳しくないのでよく分かりませんが……颯太くんが先ほどバグが助けを求めていたように見えたという事から、あのバグも意思を持ったモノなんじゃないかな、って思いました」


「なるほど」



クレアは少しの間手元のメモと睨めっこしながらペンを走らせていた。



「私なりにまとめてみた。まず、運営側は過去に何度かこのバグに遭遇したという件を聞いてから急遽対応に移った。しかし、このバグが強固な物だったのか分からないが、完全に対応する事が出来ず、結局のところどこかのブロックに押し留める事しか出来なかった。そしてここ最近活動を見せていなかった事から、運営側はもうバグは発生しないものだと高を括っていた時に、今回の出来事が起こった。というのはどうだろうか?」


「おお、なんかいい感じにまとまっていますね!」


「バラバラだった意見がこんなにまとまるものなんだね…」


「私の意見は…?」


「この“しばらく活動を見せていなかった”という点なのだが、生きているように思えないか?」


「はい!確かに見えますね!」


「流石クレアさんですね。それでブレインストーミングはうまく行きましたけど、結局それは発生理由を突きとめたにすぎませんよね。あのバグの正体が何なのかはっきりしていませんが」


「完全に正体を掴む事など無理だろう。何せ私たちは遭遇したのは今回が初めてだ。1回の遭遇で正体を掴むのは不可能だ」


「確かにそうですね…」


「香織、ちゃんとメモったか?」


「は、はい!ちゃんとメモをしました」


「よし、なら次の議題に移ろう。少し前の話しになるが、私はこの現実世界で神器に襲われた事がある」


「えええ!?」


「ま、マジっすか…!?」



香織と竜也は驚愕の声を上げているが、対して颯太と詩織は冷静だった。



「その反応から見れば分かる通り、颯太と詩織も既に襲われている」


「そ、颯太くんも…?」


「あぁ、パラセクトソルジャーっていう4世代目の神器に襲われた。あの時はレーナに助けて貰ったから良かったが」



颯太は膝に座るレーナの頭を撫でながらそう言った。



「あたしも颯太と同時かな。というか、あたしの家で起きたことだし」


「私はランゲージバトルについてあらゆる大学教授に話を聞きに行っている最中に襲われたな。だが、私はニヴルヘイムと一体化している特殊な神器使いだ」



そこでクレアは手元に小さな氷のナイフを生み出して見せた。



「これで何とか撃退出来た。しかしまぁ、現実世界ではランゲージバトルのような動きは出来んな」


「そうですね。それはよく分かります」


「なに?颯太くん」


「い、いや…」



ランゲージバトルでなら香織の蹴りは避けられるのにな、と思う颯太をジト目で見てくる香織に彼は慌てて視線を外す。



「どうして襲われたんすか…?」


「恐らくランゲージバトルについて調べたからだろう。颯太達もそうだろう?」


「はい。詩織の姉である恵理さんがランゲージバトルについて書かれたブログの内容を印刷した資料を読んでいたら…」


「ほう?どこまで読めた?」


「いえ、途中でレーナが…」


「燃やしたよ。颯太が死ぬのは嫌だからね」


「まぁレーナさんの言うとおりになったから燃やして正解だと思っているけどね」


「これで分かって貰えたと思うが、運営はどうやらランゲージバトルの秘密を知られたくないらしい」


「あの、その前にいいですか?」


「どうした?」


「どうしてその、運営側は颯太くん達が調べ回っていると気付いたんですか…?」


「それは神器の目を介してこちらの行動見ているからな」


「え…?」



香織は自然とアルテミスを見てしまった。すると彼女はバツが悪そうに目を伏せて顔を逸らす。竜也のボルケーノも瞑目して黙ったままだった。



「私は一体化している事から運営の目だと皆無なのだが、何故バレたのか分からない」


「だから私が最初に言ったじゃん。私達がここにいていいの?って」


「それに対し私は構わないと言った。まぁそれは何故かと言われれば、こそこそするのが面倒になっただけなのだが」


「マジかよ……」


「既に颯太と詩織は事実を知っていたのだが、今回のバグの件から余り運営側を信用するべきではない事を伝えるため真実を君達に話した。勝手に巻き込んでしまった事に対してはすまないと思っている」


「あ、頭を上げてください!」


「そ、そうっすよ!それにギルドメンバーの中で俺達だけ知らないのは不公平っすもん!そんな神器なんかどんと来い!」


「竜也、たとえパラセクトソルジャーが来ようとも我を倒すことなど出来ん。一捻りで神器コアを破壊してくれよう」


「香織も安心してください。あちらに覗かれているとはいえ、私はあなたの味方です。この鷹の目がある限り香織に近づかせません」


「サンキュ、ボルケーノ」


「ありがとうね、アルテミス」


「私も颯太を守るよ。ずっと」


「あぁ、ありがとうな」


「琥太郎は?」


「ふん」


「ええ!?そこで『安心しろ』の一言もないの!?」



目を伏せて鼻で笑った琥太郎に詩織は驚く。



「さて、ここいらで少し休憩にするとしよう。余り根詰め過ぎると話が頭に入って来なくなるからな」


「お昼にしましょうか。皆何を食べる?シェフに何か作らせるから」


「うわぁ……ホントに香織はお嬢様なんだね…」


「あぁ、俺も改めて実感がわいた」



そんな香織に連れられて颯太達は会議室を出て行った。

ん~書くことがないですね。

まぁいつも通りなのですが………---では私の近況やらなんやら好きな事を書かせていただきます。


最近すごく冷えてきましたよね。そのせいか、軽く風邪気味になってしまったのですが、そこで登場したのが市販で売られている葛根湯。

いや~ホント初期症状の風邪ならこれで治ってしまうほど信頼性が高くてですね。

苦いのですが、ホントこれ効くんですよ。甘めの飲むタイプと粉タイプがありまして、私は基本粉タイプを飲むのですが、やっぱ飲むタイプの液体が飲みやすいです。

どうも粉というのは飲みかたをミスるとのどに残ったり、口の中に残ったりと嫌な思いをするものでして……。皆さんはそんな経験はありますかね?

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