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2回戦前の仕上げ

「2回戦は1回戦を勝ち進んだ750人を3つのブロックに分けて行われる。だが、1回戦と違うルールが今回の2回戦にはある」



夜22時頃、颯太達はアジトに再び集まって明日の2回戦の作戦会議を行っていた。

ちゃっかりユキナも香織の膝に座って颯太達の会議を聞いているが、誰も指摘しようとしていないので颯太は何も言わない。



「フラッグファイトバトル中にエネミーが出現する件か」


「はい。俺達のバトルを邪魔しに来ます。倒せば大量のポイントが入るそうですが、レベル設定を見て軽く眩暈がしましたよ」


「あ~それな。俺も冗談だろと思ったぜ」


「なんぼだったの?颯太」


「100レベルだ」


「運営もそろそろ自重というものを覚えた方がいいかもね」



レーナが呆れ顔でそう呟き、元から知っている颯太達は目を瞑ってどうするかを考える。



「エネミーの大きさによるが、別に放っておいて構わないだろう。少数と書いてある通り、接触は出来るだけ避けて確実にポイントを稼ぎに行こう」


「俺もそれでいいと思います。無理に戦ってやられてしまっては元も子もないですからね」


「ブロック発表だと、あたし、竜也さん、香織ちゃん、あとユキナちゃんの所からガイエンさんとシンさんだったっけ?」


「うん!ユキナは颯太と同じブロック~」


「2ブロックは俺とクレアさんとユキナだな」


「勝ち進めるのは僅か10名だ。必ず決勝舞台に立とうじゃないか」



簡単にまとめると、2回戦はこんな感じになっている。


750人を3つに分けた250人がそれぞれ3つのブロックへ入り、そこでまたフラッグファイトを行う事になる。


勝ち進めるのは250人中僅か10名という前回同様に厳しいものとなっており、もちろん250人中にはまだまだ颯太も遭遇していない凶悪な神器を操るプレイヤーもいる事だろう。


ルールは省くとして、ここで新たに追加されたルールというか、ギミックがエネミーの乱入だ。

戦いが始まった10分後に指定された赤いワープゲートからレベル100設定の魔物がフィールドに解き放たれる。もちろん颯太達のレベルは50レベルで固定されていて、とてもじゃないが勝ち目はかなり薄い。

そんな困難を乗り越えて魔物を倒したプレイヤーには大量のポイントが加算され、戦いを有利に進める事が出来るが、颯太達は元から戦う気などさらさらなく、出来るだけ戦闘を避けてプレイヤーを狙う事に専念するつもりだ。



「ユキナは颯太と戦ってもいい?」


「あぁ、遠慮はいらない。本気でぶつかって来い」


「わーい!」


「良かったわね、ユキナ」


「颯太なんかやっつけちゃえ!ユキナ!」


「ティア……お前はどっちの味方だ」


「颯太は女難の相が出ているらしいな」


「何ですか?それ」


「この無自覚さも女難の相をより悪化させている事に気付かない颯太は流石だ」


「こいつ、さらっと女泣かせっすから」


「何の話だ……」


「自分の胸に手を当ててよ~く考えてろよ」



話しが見えない颯太はしばらく考えていたが、結局分からないままだった。




「颯太、これから皆で2回戦前最後の仕上げだろう?特訓相手はいるのか?」


「いえ、これから決めようかと」


「なら、私とやろうか」


「お願いします」


「ニヴルヘイムかぁ……初めてだね、戦うのは」



颯太は周りを見渡してみると、既に詩織は香織と竜也はユキナとするようで、必然的に颯太はクレアとするしかないのだが、1世代目の神器使いと特訓できるのだからこれ以上の相手はいない。



「それじゃ、2時間後城の酒場で会おう」



城についた颯太達は、時間を一度確認してからそれぞれの相手と共にPVP専用クエストへ出発する。



「りょ~かい!行こう!香織ちゃん」


「ええ、行きましょう」


「竜也はやくー!」


「わーったよ!んじゃ、またな!」


「気を付けろよ」


「良き成果を期待している」


「俺達も行きますか」



皆を見送ってから颯太とクレアもフィールドへ出発した。





「いつでもいいぞ」


「行きます!」



場所は小さな川が流れる草原。

穏やかにして緑豊かな場所にとても似合わない物騒な武器を握りしめ颯太は駆け出す。



「状態異常はありなんだ。全力で来い」


「もちろんです!」


『まずは牽制!』



颯太は大剣を変形させて銃を握る。


ガゥン――――ガゥン――――ガゥン!!!



威力よりも相手の行動を制限させる速度を求めた銃弾がクレアに襲い掛かるが、クレアは挙動なしに足元から生み出した氷の壁で銃弾を防ぐ。



「やっぱり駄目か…!レーナ!行くぞ!」


『うん!切断いっくよー!』


「おお、昨日の戦いでも思っていたが、君の速さは一級品だ。だが―――」


「おおおお!!切り裂け!」



クレアを囲むように出現した氷の壁ごと颯太は切り裂くが……―――



「なッ!?斬った所からまた氷が!?」


「ふふ、私は氷を自在に操れるからな」



剣が抜けない事を見抜いたクレアは、氷の壁を円状に切り抜いて颯太の背後に回ると大剣を一閃した。



「がッ!」


「確か状態異常の判定を持っているのは大剣だけだったか。なら、その剣に触れずに倒せばいい。今私は簡単に言って見せたが、颯太の神器がどれだけやりづらいか分かるかな?こちらは剣を剣で受ける事が許されていない。つまり、颯太とやりあうのなら最初から防御を捨てる選択肢を取るしかないのだ」



クレアはそう言って悩ましげに息を吐いた。



「だがまぁ、私の神器の能力上、氷の壁を生成する事で疑似的に防御を可能としているが、本当に君はやりづらいな」


「それはレーナをパートナーにした時から思っていましたよ。こいつはとんでもない破格の神器だなって」


「分かっていて接近戦を仕掛けてくる颯太は本当にドSだな」


「茶化さないでくださいよ」


「まぁそんな颯太の性癖を受け止めてあげるのも私の務めだ。さて、今度はこちらから行くぞ」


「うおッ!?」



突然クレアは背中の大剣を颯太の足元目掛けて投げつけた。

颯太はすぐさまその場を離れようとしたが、それより一歩早く大剣から氷の波が発生し、颯太は氷の檻に閉じ込められる。



「ほらほら、逃げないと潰されるぞ」


『颯太!早く!』


「分かっている!」



クレアは指を鳴らすと天から巨大な氷の塊を生み出して見せた。

それは真っ直ぐ颯太目掛けて落下しており、早く檻を破壊せねば潰されて一発KOになってしまう。



「ふふ、逃げさないぞ」



クレアは剣を何本も生み出しては颯太へ投げつけてくる。



「くそッ!」



当たりはしないが、それでも檻に攻撃を集中する事が出来なくなりそして―――



『颯太!』


「うげッ!?」


「残念だったな」



ドッシャアアアアア―――――!!!!



氷の塊が檻を完全に押し潰した。



「ふむ、私の勝ちか」



颯太のHPバーが真っ黒になった事を確認したクレアは少しだけつまらそうに氷の檻を見た。



『颯太、負けたの初めてだね。あの檻硬すぎるよ』


「あぁ……」


「初めての敗北か。私は颯太の初めてを奪ったのだな」


「誤解を生む言い方をしないでください」



指を鳴らして氷を解除したクレアは倒れている颯太に歩み寄って来た。



「流石1世代目の神器ですね。強度が違う」


「まぁ私のは特別だ。さて、もう1本行ってみようか」


「はい!」



2戦目、颯太は肉薄して出来るだけ攻めることを考えた。



「ふふ、あの檻はもう嫌か?」


「ええ!もちろんですよ!」



氷の壁を何度も生み出して颯太の剣を防ぐクレアに颯太は何度も剣を振るう。


クレアの戦闘技術は凄まじいものだった。生み出された氷の壁が颯太の剣を呑み込むが如く、瞬く間に凍りつかせ、その隙にクレアが氷の礫と共に剣を颯太に当ててくる。



「私にゴリ押しは通用しないぞ」


「くそッ!」



凍りついた大剣の氷を壊しながら颯太は後ろへ下がっては、また攻勢に出る。



『颯太、気付いていると思うけど、大剣わたしが凍ると颯太と全く会話できなくなるんだけど……』


『あぁ、気付いている。あの氷は神器とのリンクを一時的に断つ効果もあるようだ』



レーナが凍りつく度に颯太の左目が真っ暗になるものだから本当にやりづらい。


あちらは剣で受けられないと言ったが、十分対処出来ている時点で颯太が明らかに劣勢の立場にあった。



『レーナ、左目を使う!』


『分かった!でも、私が凍らされると使えなくなっちゃうからね』


「おや?」


「くらえ!」



加速する左目の視界で颯太はクレアの攻撃を躱し、大剣を地に滑らすようにクレアへ切り上げる。



「何を使ったのか分からないが、惜しいな」


「まだだ!」



切り上げた大剣は既に颯太の手にはなかった。



「本命は!こっちだ!」


「まさかの蹴りか」



颯太の首を刈り取るような上段蹴りが炸裂した。

しかし、流石というべきか、不意を突かれた攻撃でもクレアはしっかり反応して見せて大剣を盾にして防いだ。



「身体ががら空きだ」


「がはッ!?」



そして颯太は突然地から突きだした氷の槍に腹部を貫かれた。

さらに立て続けにおまけと言わんばかりに槍がもう一本突き刺さった所で颯太のHPはまた真っ黒に染まった。


大剣を氷漬けにされた事により、レーナとのリンクが一時的に途切れた颯太は左目の力が使えず、高速で突きだした槍を躱せなかった。



「ふふ、今のはなかなか焦ったぞ」


「また負けたか……」


「上には上がいるという事だ」


「同じ相手に2度も手が出せず負けると少し凹みますね」


「1対1では負ける気がしないからな。君の速さには正直驚いたが、まだ目で追える速度で安心したよ」


「ガイエンでも追えなかったのですが……」


「ふふ、私がスペシャルなだけだよ。光栄に思うといい、私が君の味方だと言う事に」


「ええ、本当に助かります。敵だったら軽く絶望していたかもしれないですからね」


「君と相手しているとなんだか私が師匠のようだな。ふむ……」


「どうかしたんですか?」



難しい顔をしたクレアは考える素振りを見せる。



「颯太の師匠というのも悪くはないが、恋人の方も優先したい」


「は…?」


「ならばこうしよう。颯太の師匠もしつつ恋人であり続ける」


「えっと……話が全然見ないのですが」


「なに、簡単な話だ。ただ私が颯太の恋人になって師匠もするという話なのだ」


「…………いつ俺の恋人に…」


「何を言っているんだ……そんなの出会ったときに決まっているだろう…」


「なんで今更みたいな顔をして言うんですかね」


「師弟を超えた愛か……ふふ、なかなか悪くない響きだ」


「あの~クレアさ~ん」


「颯太!新婚旅行はどこに行こうか!」


「話が飛躍しているだと!?」


「ね~氷解除してよ~!」



大剣から人間の姿に戻ったレーナはしくしくと泣きながら氷の中に閉じ込められているのであった。

なんだかんだで颯太が負ける話は初めてですね。

今までチート能力のせいで負けなしでしたが、クレアに敗北したことにより颯太に師匠?ができます。


私はワードでポチポチ打ちながら話を作っている際に、裏で音楽を流しているのですが、ランダムのせいかたまに懐かしい曲が流れたりするんですよ。

そこで懐かしいなと思った曲というか、思い出が蘇った曲がリトルバスターズの曲でしたね。

私はPC版はやらずにPSP版の全年齢をやらせていただきましたが、本当に感動しました。あれはヒロインより友情がメインなのかなと思ったほどに男たちが輝いていました。

ネタバレなので深くは言いませんが、理樹の成長と最後の場面は本当に涙なしではプレイできませんでした。まさかギャルゲーで泣くとは……!何て思っていましたが、今思えばあれは泣いて当然のゲームだな、と今では笑って言えますね。

やば、vita版買おうか悩んできました……ww

あーちゃん先輩のグラフィックあるんですもんね!これはやらなくては……ww

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