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ブロック分け

辺りはざわめきに包まれていた。



『………』



颯太達もただじっと巨大な電子モニターを見つめている。


そう、今日はブロック分けが発表される日である。

むしろ颯太達の本格的な特訓は今日から始まると言っても過言ではない。



「20時まであと30秒だよ」



詩織が颯太の隣で時間を確認する。



『長らくお待たせしました!こちらが、ブロック分けの結果となります!』


「出たか」



NPCのアナウンスによりモニターにブロック分けの結果が張り出された。



「全員参加の25ブロック……2000人の大規模バトルロイヤルってところか…」



5万人全員参加の25ブロック。

1つのブロックに2000人が入り混じる事になる。

颯太は自分の番号を見た。



「3201番……」


「颯太と私は20ブロックだね」



FDの画面に登録番号が映し出され、数字の隣に四角で囲まれた中に20の数字が浮かび上がる。



「私は17ブロックね」


「おろ?香織ちゃんとあたし一緒だね!」


「俺は21……あ~くそ!あと1つ前だったら颯太と一緒だったのによ!」


「良かった。ティアさんと一緒なら頑張れそうだわ」


「一緒に頑張ろうね!」


「竜也、一つ上がってくれば俺と一緒になる確率も上がる。共に頑張ろう」


「まぁ決まってしまった事にあーだこーだ言ってもしゃーねえわな。頑張ろうぜ、颯太」


「ボルケーノ。私達は2世代目なんだから、結構狙われるかもしれないよ?」



颯太達がフラッグファイトへ向けて団結力を固めているなか、レーナは腕を組んで立っている赤龍に話しかけた。



「かもしれんな。今回の戦いでイフリートがいるのかいないのか……それが気になるが、狙われたとしても今の竜也では大勢を捌く事など出来ん」


「もう少し自分のご主人信じてみたら~?」


「ご主人だからこそ力が分かっているのだよ。我の4つあるスキルのうち3つとも封印している現状だからな」


「ランチャーだって仮の姿だもんね。昔のボルケーノなら、誰もが恐れる龍帝だったのに」


「我の活躍など、今の世代の奴らは誰一人として覚えていないだろう」


「私は覚えていますよ」


「アルテミスか」


「私は3世代目ですからね」



レーナとボルケーノの会話に先ほどまで香織の傍にいたアルテミスが混ざって来た。



「イフリートを目覚めさせたプレイヤーがもういないからな………劫火の魔神を最後に見たのはいつだっただろうか…」


「私だってそうだよ。四神が4体揃った世代なんて1回しかない。正直あんな奴ら4体揃わなかったら雑魚だし、それに颯太なら例え4体揃ったとしても軽く葬るよ」


「あなた達2世代目は本当に恐ろしい神器ですね。果たして4世代目以降の神器があなた達の武勇を覚えているか」


「覚えていないだろう。混沌が先ほど言った狙われる件だが、積極的に我と混沌を狙う神器など、よほど腕に自信がある者か、それとも馬鹿しかおらんよ」


「それか何も知らずに襲い掛かってくる神器、だね。まぁ私は2世代目云々より能力で有名になったから、早々狙われるとは思わないんだよね」


「私はアーチャーですから。場所を知られると厳しい戦いになりそうです」


「ま、1世代目のゲオルギウスがいない事を願おうよ」


「ふっ……同じドラゴンでもあやつは規格外の神器だからな。我らには手が余る存在よ」


「皇帝龍がいるとすればまだ覚醒の時期には至っていないかと」


「逆に、覚醒してしまえばゲーム盤ひっくり返るよ?」


「そのために我ら2世代目がいるのだろう?」


「あぁ、そうだったね」



そんな不穏な会話をしながらレーナ達は今回の主を眺めているのであった。





「…………」


『颯太何しているの?』


『ん?考え事をしていた』



6月も中旬となり、夏休み前に向けたテスト範囲をどんどん突き進む授業を聴きながら颯太は、鞄からノートの予備を取り出す。



『レーナ、参考までに聴きたいんだが、実際俺の能力って一般的に見たらどれくらいだ?』


『ん~相当強いと思うよ?少なくとも私が出会って来たご主人の中では歴代トップ』


『なるほどな…………………フラッグファイトはひとブロック2000人で行われる。恐らく常に散弾が飛び交う戦場となるだろうから、ここに技術は余り関係がない』


『運が悪かったら被弾するもんね~』


『まぁ運が悪かった、と言ってしまえば全てそれで片付いてしまうが……』


『場所が気になるよね』


『そうだな。出来れば身を多く隠せる場所だといいけど、それはないな。運営は出来るだけ平等にするだろうし、空を飛ぶ神器だってあるんだろ?』


『あるよ~?鳥の神器だったら羽生えるし』


『だからまず森はない。それなら同時に平地も捨てる』


『逆に身を隠せる場所がないと遠距離に向いた神器の無双だもんね~』



ヴヴヴ――――颯太のポケットで携帯がメールが来た事を知らせる。



「詩織さんか……一体何の用事だ?」



颯太は机の下でメールを開いて内容を確認した。



『授業中だと思うけど暇だからメール送っちゃった。それでね、お姉ちゃん服出来たみたいだから、今週の日曜日いいかな?自分でメール送らないであたしに任せるのっておかしいよね?』


「ぐ…!」


「お?颯太どうした?」


「いや…何でもない」



隣の上条に心配されたが、颯太は顔を歪ませながらも答える。



「着なきゃならないのか……」


『なになに?どしたの?』


『いや……何でもないさ。レーナは日曜日父さんとゴルフに行くんだったか』


『うん!私本気出しちゃったら軽く300ヤード飛んじゃいそうだけどね~』


『まぁ…お前は人間じゃないからな……とりあえず手加減して打てよ?父さんのゴルフクラブ壊したら、あの人ガチで泣いちゃうからな』


『分かった。女の子らしく打つよ!』


『レーナの女の子基準が分からないのが少し怖いが………俺も日曜日用事が出来たから、夕飯頃に帰る事になる』


『そうなの?』


『まぁちょっとね』



レーナには颯太から呼びかけない限り左目で人の視界を見ることを禁止にしており、大分颯太のプライベートが保障されたが、影でこっそり見ているのでは?と思うと颯太は気が気でない。


最近のレーナは出会った頃に比べて大分感情豊かになり、以前のどす黒い笑いや目つきが緩和されたように見える。

まぁ今でもたまに風呂から上がって部屋の扉を開けた瞬間に、ジロリと深い闇に飲まれるような目で見てくるときがある。あれは本当に恐ろしく、お風呂で暖まった身体が一瞬で冷える気がするのだ。


その目も一瞬で消え去るのだが、颯太が傍にいないと彼女は本当に情緒不安定になる事がある。

だから颯太は学校にいる時でも休み時間になればレーナと話をしているし、たまに図書室に行ってクイズや面白い本を見つけては読み聞かせたり、彼女を出来るだけ退屈させないようにしている。



『ジグソーパズルはどこまで進んだ?』


『んとね~!颯太の言うとおり端から埋めて行って、右上らへん完成したかな?エイジの顔の部分!』


『おお、やっぱりレーナは頭がいいな。あ、パズルで思い出したが、俺と兄貴で前ミルクパズルっていう一面真っ白のパズルやったことがあったんだよ』


『ミルクパズル?牛乳みたく真っ白なの?』


『あぁ、パズルのピース全部真っ白だから端を埋めて、さぁ!ここからどうしようか!って感じで思考停止するパズルなんだよな』


『やってて面白いの?』


『面白くはないが、あれは一種の頭の体操だ。俺は諦めたけど、兄貴は一人であのミルクパズルを完成させた』



颯太はレーナと会話をしながら詩織に返事の文を打つ。


『了解。かなり気が進まないが、恵理さんには恩がある。日曜日の10時頃行くよ』


返信を押して颯太は息を吐く。



『ん~……でも私はやっぱり絵がある方がいいな~』


『レーナはそれでいいさ。正直あれはイライラするからな』


『イライラするのは嫌い』



最近は大分左目の痛みに慣れてきたものだが、相変わらずレーナは無意識のうちに颯太へ混沌を送り込んでいるようだ。


前にその事を言った時があったのだが、レーナは知らないと言った。



『ドラ○エだったら、呪いのアイテムを装備したようなものか……』



常時毒状態になっていると考えたら、自然と苦笑が零れた。



『レーナとリンクした時点でこの混沌とはずっと付き合って行かなくちゃならないようだな…』



再びバイブが鳴り、颯太は携帯を確認すると案の定詩織からだった。



『はいはーい!日曜日迎えに行くね!あと、出来れば香織ちゃん連れてきて欲しいな~』



颯太は携帯をそっとズボンに入れる。



『そろそろ夏休みだな』


『長い休みなんでしょ~?海とか行きたいな~』


『父さんに聞いてみるよ。あの人結構レーナに甘いからな、もしかすると頷いてくれるかもしれない』



レーナとの会話を始めた颯太であった。


眠くてたまらないまた太びです。


そろそろ大学の夏休みも終わりということで、更新速度が若干遅くなるような気がします。

短いですが、これにてドロンでございます。

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