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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
続 8章 現実世界での戦闘
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終わりと眠り

「竜也が……やったのか……!?」



次元の裂け目が完全に消えたことを見届けた颯太は、ガラスのように崩壊する世界を落下していく。



『あれはバハムートとボルケーノの合体覚醒能力だよ』


「ということは……」


「やったな、颯太」



竜也が落下していった下へ顔を向けたその時、颯太は赤い竜の腕に抱き留められた。



「ボルケーノ!」


「うむ」



彼の身体に傷はなく、痛がっている様子もないことからどうやら神器コアの損傷はないようだ。



「竜也は!竜也は大丈夫なのか!?」


「―――――……自分の目で確かめるといい」


『………』



少し間を置いてからそう言ったボルケーノは、颯太を抱えてゆっくりと下に見える小さな大地へ向けて翼を羽ばたかせた。






「竜也!!!」



ボルケーノに降ろされ、颯太が緑いっぱいに生い茂る小さな大地に足をついた瞬間世界は終わりを告げた。まるで幻でも見ていたかのように世界は消え失せ、颯太が踏み出した足に校庭の砂利がつく。



「………」



目を閉じている竜也に膝枕をしているリーナ。竜也に背を向け、腕を組んでいて表情が分からないバハムート。



「リーナ、竜也は」


「気を失っているわ」


「そうか……何ともないようで良かった……」


「いいえ。精神が擦り減って植物人間に近い状態よ」


「………え?」


「………」



颯太と同じくリーナの話を聞いていたレーナは表情を変えず、ただじっと目を閉じている。



「現実世界と仮想世界が曖昧になったあの世界で致死に近いダメージを負った竜也が支払ったのは、肉体ではなく精神。それも先にダメージを受けるはずだった神器の分までもね」


「ってことはなんだ……?た、竜也はこのままもう目を覚まさないってことなのか……?」


「目を覚ます確率は限りなく低いでしょうね。仮想世界でのダメージならわたくしにも治しようはあったのだけれど、現実世界でのダメージはわたくしにはどうしようもないわ」



颯太は膝から崩れ落ちた。口をわなわなと震わせ、瞳からは涙が溢れる。



「な……んでだ………ユキナに続いてなんで……お前まで…!!!!!」


「颯太……」


「彼はよく戦ったわ。じゃじゃ馬のバハムートと初めてリンクして、そしてまさかわたくしとレーナしかなかったはずの神器連結までしてのけた。彼は間違いなくランゲージバトル界の英雄よ」


「我も誇りに思う」


「そういうことじゃねえ!!俺は!!俺達はやらなくちゃいけない事とか色々あるけど!!そういう英雄とかじゃなくて…!!!ただ竜也と……!!竜也と………くそおおおおおおお!!!!」



『遊びたかった』という言葉が最後まで出てこなかった颯太は拳を地面にたたきつけた。



「颯太……そうだよね、竜也と一緒にゲームとかしたかったんだよね。くだらない話をして笑いたかったんだよね」



ぼろぼろ涙をこぼす颯太の頭をレーナは優しく抱きしめ、よしよしと頭を撫でた。



「颯太―――――これは…!?」


「結界が消えたからもしかしてと思った……け…ど…」


「―――――兄さん!!!!!!!」


「竜也!!!」


「おい、これはどういうことだよ……」



そしてそこへ結界が消えたことで校庭に入れるようになったクレア達が駆けつけた。クレアは眉をひそめ、詩織はおーいと挙げた手をゆっくりと下げ、香織と伊澄は全速力で倒れている竜也の下へ走り、事態を飲み込めない滉介はリーナに問う。



「わたくしが説明するわ。よく聞きなさい」



颯太に話したことをリーナはもう一度クレア達に話した。話している最中、香織と伊澄は涙をこぼしはじめ、聞き終える頃には顔をぐしゃぐしゃにしながら泣いてしまっていた。



「そうか………竜也は頑張ったのだな……」


「そんな……竜也さんが……」


「こんなことあるのかよ!!」


「香織、竜也をいつまでもこんな所に寝せておくわけにもいくまい?適切な場所へ運んであげよう」


「はい……そうですね……今、家の者を呼びます」


「香織のご両親にランゲージバトルについて説明をしなければならないだろう。香織、私も同行してもいいだろうか」


「お願いします…」


「わたしもついていく……」


「伊澄さんもお願いします……」


「詩織、滉介。2人は颯太を家まで送ってやってくれないか?何だか今の彼は中学校時代の頃を見ているようでとても不安になるんだ。本日はこれで解散としよう。後日、颯太の様子を見ながら一度集まって話し合うとしよう」


「分かりました」


「了解した」


「颯太、一緒にかえろ?」



左手で顔を覆っている颯太を詩織は促して立たせると滉介も詩織の反対側に回っていつでも颯太をサポート出来るようにそっと歩き出し、琥太郎は辺りを警戒しながら3人の後ろを少し離れてついて行った。



「お姉ちゃん、後でちょっといい?」


「奇遇ね。わたくしも話したいことがあるわ」



その様子をレーナとリーナは見ていた。2人の瞳には覚悟の炎が宿っていた。






連結型神器『暗黒炎竜』

 攻撃:EX 耐久:EX 敏捷:A 幸運:C

 能力 1:武器変形D- 2:逆鱗B 3:破砕龍撃A 4反逆する竜王EX 5:始まりの暗黒EX 

     6:プレッシャーC 7:魔竜の加護EX 8:神器連結システム


 覚醒能力 1:ダブル・ハドロンブレスA 2:顕現する始源の竜EX



竜也の覚悟を見たバハムートがボルケーノと和解して2つの神器が1つに合わさった究極の神器形態。

ランゲージバトル界において最強に相応しい竜型神器の2体が合体し、互いに衝突することなく拒絶反応を起こすことなく混ざり合った神器コアは異例中の異例であり、その力は攻撃ランクB以下の攻撃を完全に防ぎ、耐久がD以下であれば通常攻撃一発で倒せるほどの力を持ち、竜也は攻撃ステータスが99.999を超えて限界突破することに成功した。


ボルケーノの4つ目の能力が消え、代わりに神器連結システムに切り替わった。だが、そこへ更にバハムートの能力が入ったことによってもはや誰にも止められないほどの凶悪かつ最強の神器になってしまった。


反逆する竜王EX:神器に対するダメージが1.5倍になり、受けるダメージが0.75倍になる。更に竜型神器と聖属性神器へのダメージが2倍になる。


始まりの暗黒EX:通常攻撃に闇属性が付与され、闇属性を含んだ攻撃が2倍になる。更に闇属性攻撃を完全に無効化し、暗闇、即死、沈黙、毒、猛毒、麻痺、眠り、火傷、凍傷を100%無効化する。


プレッシャーC:この神器と相対する時、相手はAPS消費が1.5倍になり、全能力値が0.9倍になる。

*APSとはアタックポイントシステムの略であり、スキルなどを使った際に消費するマジックポイントのようなもの。


魔竜の加護EX:自身が受ける急所へのダメージが等倍になり、逆に相手に対する急所へのダメージが1.25倍増加する。



この神器はエニグマンが目指していた究極の神器形態の一つである。





道草 竜也(離脱)


クレアの次に歳が高く、颯太と滉介の男友達であり、かけがえのないゲーム友達。

誰にでも優しく、屈託のないその笑顔は見るもの全てを笑顔にする晴れ男。妹を誰よりも気にかけており、妹が颯太のことを好いていることは既に知っている。が、故に颯太との今後の関係を一番気にしている。しかし、たとえ親友が妹を選ばずもう1人の仲間を選ぼうとも竜也は彼の一番の親友であり続けたいと密かに思っている。



クレアのことはとても頼りになる年上と認識している。強く、賢く、美しく、そして自分らを見守るそのスタンスに竜也は常日頃彼女から年上としての在り方を学んでいる。



詩織のことは同じバカ騒ぎが出来る数少ない女性と認識している。学校での香織の存在は知らないはずもなく、妹に友達が少ないことは竜也にとって悩みの種であった。そこで現れた詩織にはとても感謝しており、自分の少々うざったいテンション(自覚がある)にも笑顔で応えてくれる彼女に竜也は、これからも妹と仲良くしてほしいと思っている。



伊澄のことに関してはよく分からない女性、と認識している。何故自分が好かれているのか分からないし、出かければ犬のようについてくる彼女に若干困惑しつつも可愛い後輩だと思っている。しかし、ゲームの腕前に関しては自分よりも数段上で、彼女から学ぶことは多い。



滉介のことは数少ない親友と認識している。颯太同様に共に命を預ける、預かるランゲージバトル内で自然と出来た友情を共有している仲であり、竜也が普段出来ないようなしもの話をしても食いつきがいいのは実は驚いたところ。

クレア並みに達観している不思議な奴だが、裏はなく、年をとってもいくつになってもくだらない話で盛り上がれるようなそんな仲をこれからも続けていきたいと思っている。










次から新章になります。

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