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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
続 8章 現実世界での戦闘
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颯太と竜也の覚醒

「あっぶな!お、おい!しっかり避けてくれよ!」


「はっ!これでも全力で避けている!」



颯太が到着する直前、竜也はバハムートの背に乗って触手の雨から逃げていた。


無数の触手は枝分かれするかのように、空中で裂けて地面すれすれを飛ぶ竜也達に迫り、これを竜也は撃ち落としながら何とかやり過ごす。



『竜也!来るぞ!』


「ちっ!」


「世話のかかるご主人様だなァ!!」


「うお!?」



撃ち漏らしに思わず舌打ちした竜也を見てバハムートは、彼の制服の首根っこを掴んで地面に放り投げると迫る触手へ暗黒のブレスを吐き出した。


どんどん枝分かれする触手に対してブレスは突然弾け飛び、小さな火球は触手に衝突して爆発を起こす。



「おお!やるじゃん!」


「当たり前だ!」


『竜也、颯太が来たようだ』


「お!まじか!」



褒めれば気分が良くなって扱いやすくなるというバハムートの扱い方を段々覚えてきた竜也は、ボルケーノの言葉に気付いて後ろを振り返る。するとそこにはバハムートの姿を見て絶句している颯太の姿があった。



「た、竜也……これはどういうことだ…?」


「あー……」



話に加えるとややこしくなることが目に見えているバハムートに時間稼ぎを頼み、竜也と颯太は最後の作戦会議に移る。



『ちょっと竜也!バハムートを仲間に加えるとか正気!?いや、絶対正気じゃないよ!!』


『レーナの言う通りよ!あなた馬鹿なの!?元から馬鹿だったけれど、今回ばかりは言わせて貰うわ!』


「ふ、二人揃ってひでえな………ま、まぁこれはちょっとしたことがあってよ。今は詳しく説明している時間はない。それよりそっちは大丈夫なんだろうな?お前にも色々聞きてえことはあるけどよ」


「あいつの撃破無理だという結論が出た。だから、俺の覚醒能力であいつごと次元の狭間に切り捨てる」


「あーそのなんちゃらカオスってやつでか」


「………そういうこと。だから、何とかしてアジダハーカに近づかなければならないんだが、今まで戦ってきてどうだ?」


「バハムートが馬鹿みたいに火力の高いスキルを使うせいで耐性がえらいことになってしまった。近づくのは難しいぜ?」


「そうか……でも、近づかなければ……」


『以前の我と竜也であれば無理だったかもしれぬが、今の我らであれば問題あるまい』


「どういうことだよ?」


『バハムートが何を言うか分からぬが、今の我らには第2の覚醒能力がある』


「竜也それは本当か!?お前も遂に!」


「ま、まあ……ほぼ反則のような形で目覚めてしまったけどよ」


『まさかボルケーノ、バハムートと合体するの?』


『そうだな。我の覚醒能力とバハムートの覚醒能力は似ている。その性質から混合された覚醒能力として目覚めたようだ』


『合体するのはいいわ。それ、何分持つのかしら?わたくし達の覚醒能力はレーナと一緒に演算するから15分まで持つようになったわよ』


『いや、お姉ちゃんボルケーノのそれは……―――』


『我の覚醒能力に制限時間など存在せぬ』


『え……?あ、あの状態のボルケーノが顕現して制限時間なし?』


『そうだ。だから、決着をつけるのは颯太達次第になる』


「それが聞けて安心した。竜也、やるぞ」


「おうよ!!バハムート!聞いていただろ!行くぜ!!」


『はは!任せな!!タイミングを合わせろよ!ボルケーノ!』


『貴様が我に合わせろ!!』



バハムートは空中に大きく舞い上がると、両手に黒い稲妻を放つ雷球を生み出し、アジダハーカに投げつけた。

雷球は触手を避けてアジダハーカの皮膚に到達すると、凄まじい稲妻を辺りにまき散らしてアジダハーカを麻痺させる。



「ふっ!!」



白亜の盾に漆黒の剣を収納し、颯太は盾ごと地面に突き刺す。



「真・暗黒大陸!!」



剣から暗黒の光がはなたれ、世界は暗闇に包まれて星一つ浮かぶことのない月の光だけが突き刺す草原へ変わり――――そして盾から眩い白い光が世界を塗りつぶす。


まるでガラスが割れるように暗黒の世界は崩れ去り、世界は再構築されて雲が浮かぶ青空に。



『死の先へ行く英霊の世界へようこそ――――ここがわたくしの世界!ヴァルハラよ!!』



空には古の城や岩が浮かび、どこからともなく鐘の音がこの広大な空の世界に響き渡る。



バハムートとボルケーノは炎となって散り、竜也を炎で包み込む。逆巻く炎はやがて巨大な炎となり、中から漆黒の竜が現れた。

2本の真紅の角をもち、鋭い牙を生やした口からは赤い炎が時折噴き出す。身体の鱗は彼の呼吸に合わせて赤く光り、まるで竜の身体そのものがマグマのようだ。

身の丈以上もある巨大な翼はジェット噴射のように赤い炎が絶え間なく勢いよく噴出しており、この炎に触れただけでも消滅してしまいそうであり、いかにこの竜が強大な存在かを思わせる。



『あー!!お姉ちゃん私の覚醒能力上書きしたー!!』


『い、いいじゃない!いつも颯太に使わせてもらっているんでしょ!?』


「これがリーナの世界か……」


「颯太、こっちはいつでも行けるぜ」



10mもある巨大な竜となった竜也が隣に降り立ち、颯太はジャンプして角のある頭に飛び乗る。



「振り落とされんなよ!」


「何とか踏ん張ってみるさ!頼んだぞ!」


「おうよ!!」



麻痺が解けた瞬間アジダハーカは泥の翼を生やして辺りに泥をまき散らしながら空へ飛び立つ。



「グオオオオオオ!」



触手を伸ばしながら、ブレスを放つアジダハーカの攻撃をジェットのように翼から炎を噴出して竜也は避ける。



「くっ!!なんという重力…!!」


『今の竜也は敏捷値がEXにまで到達しているわ』


「これが竜也の覚醒能力!」



スライムのような泥の塊が次々と吐き出され、竜也の近くまで来ると盛大な爆発を巻き起こし、颯太は振り落とされないために必死で竜の角を掴み、そして背後から迫りくるアジダハーカへ振り返る。


竜也は翼を折り畳んで速度を上げて一気にアジダハーカを振り切ると、胸を大きく膨らませ――――



「クアッド・ファイア!!」



真紅に燃える火球と暗黒に燃える火球を4発吐き出す。。


突然の反撃にアジダハーカは慌てて防御態勢に移るが、間に合わず4発の火球を受けてしまった。



爆風と熱風が遠くにいる颯太の肌まで届き、いかにドラゴン型の神器が強いか思い知らされた。



「竜也、近づけそうか?」


「今の一撃であんま手応えを感じねえ……難しいかもしれねえが、やるだけやってみるぜ」


「頼む」



竜也が爆風を睨むと同時に煙を引き裂いて触手が飛び出し、竜也は回避行動に移りながら近づく機会を窺う。



「防御なら俺に任せてくれ」


「あいよ!」



無数の触手をブレスで薙ぎ払うと、竜也は翼の炎が勢いよく噴射して一気にアジダハーカへ突っ込んだ。



「行くぞ!」


『任せなさい!』


『私も手伝うよ!』


「フォートレス・ガーディアンシールド!!」



竜也の眼前に現れた巨大な盾はアジダハーカの触手を完全に防ぎ、ダメージを反射させて次々と消滅させていく。



「う、腕が…!!晃介はいつもこんなことをやっていたのか…!!」


『当り前よ!!あなたはしっかりと盾を構えていなさい!!』



上から襲い来る触手はレーナが記憶した神器の武器で撃退し、下から来る触手は竜也がブレスでまとめて薙ぎ払う。



「オオオオオオオ!!」



今までと明らかに違う特攻に身の危険を感じたアジダハーカは、身体を傍聴させて巨大な泥のブレスを放った。



「な、に!?」



腕が千切れるような痛みに颯太の脳内がショートしかけ、レーナが慌てて身体のコントロールを奪って颯太へのダメージを代わりに受ける。



『ぐううううう……!!!!そ、颯太しっかり!!!』


『わ、わたくしとレーナが力を合わせているのにこれは…!!』


「く、くそ……危なく意識を持っていかれるところだった」



鼻血を拭いながらレーナとダメージを分かち合いながらブレスをやり過ごす。



『ちょっと竜也!!撤退よ!!』


「一旦離れるぞ!!」



竜也は回転すると同時に辺りに起爆する炎の爆弾を撒きつつ空高く上昇して攻撃から抜け出す。



「大丈夫か!颯太!」


「な、なんとかな……2人とも神器耐久値の確認と修復に入れ」


『あの一撃で50%まで削られたわ』


『修復に入るね』


「俺の方は問題ないぜ。颯太、時間は?」


「あと6分だ。焦っても仕方がない。3分間神器の修復に費やして、残りの3分でケリをつけるぞ」


「おうよ!それじゃこのままつかず離れずの位置で攻撃していくぜ」



空を飛ぶアジダハーカを何とか視認出来る位置で竜也は飛ぶ。



「しかし、盾で防ぐにしても……あそこまで強化されたアジダハーカ相手じゃ盾も全く意味をなさないな…」


『予想外だったわ……まさかあそこまで力をつけていたなんて……』


「颯太、俺に少し考えがあるんだ。ちょいと任せてくれねえか?」


「竜也?」



竜也の提案に颯太は首をかしげるのであった。

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