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詩織と合流し、颯太達はアジトヘ帰宅した。それから先ほどレンと話し合った結果をぽつりぽつりと話していた。



「戦闘はなかったのね……良かった」


「こっちは結構気を揉んでいたんだぜ?」


「あぁ、心配をかけてすまなかった。でも、レンと会うのは2回目だし、さほど警戒はしていなかったけどね」


「そのために我々がついていったのだ。レンは警戒しなくとも幹部の連中が何をしでかすか分からなかったからな」


「……まぁ、それも杞憂に終わったのだけれど…」


「恐ろしいくらいに静かだったな。レギュンのやつ」


「え!?レギュンが大人しくしていたのか!?」



ぼそっと呟いた滉介の言葉に竜也の耳に入り、彼は心底ありえないと言った表情を見せた。



「流石のレギュンも事の重大さを理解しているのか、それともレンから暴れるなと言い含められているのか。もしかするとその両方かもしれない」


「結果として何事もなく終わったのだから、それはそれで良しとしよう。それじゃ、レンとの話し合いの結果の続きを話すから聞いてくれ。伊澄さん、こちらに」


「うん……」


「伊澄さんには書記を頼んでいたから、基本彼女が会話の内容を話すことになる」



颯太がそうまとめれば今までどこか浮いた雰囲気だったのが消え失せ、全員気持ちを正して伊澄の声に耳を傾けた。

それから伊澄は香織や竜也や詩織に会話の内容を聞かせ、颯太達は改めてレン達の言葉を咀嚼して考える時間を得ることとなった。



「――――という感じ……まとめるとお互い邪魔をするなってことかな……」


「なるほど……グレイヴらしいと言えばらしいよね」


「そうだな。だけど、俺達と広場に残るやつが気になるな。信用していいのか?そのヒカルってやつ」


「どうだろう………わたしはあまり良い雰囲気を感じなかった……気がする…?」


「なんで疑問形なの…?」


「それは我々も同じだ。そのヒカルというプレイヤーは認識阻害スキルを持っており、一定時間目を離すとそのプレイヤーに関する情報がおぼろげになってしまうのだ」



詩織の疑問にクレアが答え、颯太や晃介も『そう言えば…』という表情を浮かべていた。



「厄介な能力だな。そのような者に我々の背中を預けてよいものなのか?」


「ボルケーノの疑問も最もだが、伊澄ちゃんの話を聞く限り颯太達はそれでいいって言ってきたわけだし、今更俺たちがどうこう言ってもしゃーねえよ」


「竜也がそれでいいのなら我はこれ以上口を挟まないが…」


「一応警戒だけはしておいてくれ。あくまで一時的な同盟関係だからな。目的が達成次第裏切られても文句は言えない」


「颯太の言う通りだ。チームを分ける以上その場の者で問題の対処に当たるしかない。広場のリーダーは誰だったか」


「竜也達をまとめるのはわたし……大丈夫、任せて…」


「伊澄さんか。なら問題はなさそうだな」


「ふむ、改めてそれぞれの役割を確認しておくべきか」


「そうですね。えっと、伊澄さん」


「おっけ……ちゃんとメモしてるよ」



晃介と伊澄のやり取りを見てもう一度確認しておく必要性を感じたクレアがそう言い、颯太もそれに同意する。



「広場迎撃班が竜也、香織、わたし………奥突入班が颯太、詩織、晃介、クレア……そして、その途中で以前にわたしと戦闘した幹部が現れ次第颯太、詩織が離脱。最深部突入およびユキナの奪還はクレア、晃介。そして今後の脅威になるであろうシンの神器破壊はクレアが担当する……以上」



いつも通り眠そうな瞳のままメモを読み終えた伊澄は一息ついて後ろに下がる。



「ありがとう、伊澄さん。自分の役割は把握していて当然として……一応他の人の役割も把握しておいてくれ。何かあったときの混乱を未然に防げるかもしれないからね」



颯太の言葉を受けて全員が頷く。



「決めた基準としては個々人のPSと神器性能だ。奥に進む人ほど持久戦に優れつつ、たとえ回復が尽きたとしても何とか出来る人にしている」


「なるほど。だから俺がユキナの奪還に指名されたわけか」


「そういうことだ。レーナは攻撃面では強いが、何せ回復手段を持たないからな。自動回復を持っているリーナと晃介のPSならきっとユキナを救い出してくれると信じているよ」


「期待が重いな。まぁやってやるさ」


「アジト撤退タイミングはユキナの無事を確保でき次第撤退する。それはまだクレアさんがアジトの中にいたとしても俺達だけでもな」


「え!?そ、颯太くんそれ初耳だよ!?」


「昨晩決めたばかりだからな。私のことは気にしないでくれ。あくまで今回の作戦はユキナの奪還だ。シンの神器破壊も大事ではあるが、達成目標が多いほど作戦は失敗しやすい。ならばその成功率を少しでも上げるために強者が事にあたるのは当然だろう?」


「ま、まぁクレアさんは実際うちらのギルドで一番強いし、あまり心配もしてないけど、もしもってこともあるし……」


「私を心配してくれてありがたいが、これはギルドマスターである颯太とサブマスターである私が決めたことだ。異論は認めないぞ」


「そういうことだ。皆、理解してくれ」



颯太とクレアの突然の告知に伊澄以外の皆の表情が暗いものとなった。だが、ギルドマスターとサブマスターという言葉を持ち出されれば否応にも納得するしかないだろう。



「クレアのことは心配しない方がいい……心配するだけ損だし、心配するならまずはクレアにPVPで勝ってから言うこと…」


「伊澄ちゃんは心配していないってことかよ?」


「無論……クレアにフラグなんて言葉は似合わないし、気にすることでもない」


「伊澄も言い方はどうあれこう言っている。だから、あまり私のことは心配しないでほしい」


「クレアさんはそう言うなら納得するけどよぉ…」


「話の内容もまとまったことだし、今日の集会は終わりだ。各自あとは好きにしていいよ」



少々無理やり気味に颯太は話を切り上げると、彼は早々にレーナを連れてアジトを出ていき、詩織もそのあとを追って出ていく。



「竜也……仕上げする…」


「了解だ。んじゃ、俺と伊澄ちゃんはお城にいってくるぜ」


「俺もやることがある」



そして伊澄、竜也、晃介も出ていき、アジトにはクレアと香織だけが残された。



「クレアさん」


「なんだ?」


「今回の作戦、成功率はどれくらいでしょうか」


「それはシンのアジトの壊滅を含めてか?」


「はい…」


「ふむ……高い、とはお世辞にも言えないだろう。あぁ、勘違いしてほしくはないが、ユキナは確実に救出することが出来るだろう。問題はシンの方だ」


「それはどういう…」


「あいつは誰にも知られることなくあのようなアジトを作り上げた。きっと我々も知らない脱出経路が存在すると見ている」


「つまり、高確率でシンには逃げられると…?」


「そうだな。実質的にシンのアジトは壊滅するが、シンは生き残り、また新たな問題がやってくることは想像に難くない」



クレアは本の字に目を這わせながら語る。



「ニヴルヘイムも言っている。今回のランゲージバトルは過去に類を見ない戦いがあるとな」

どうもまた太びです!


すみません、なかなか時間が取れない時が多く、更新が遅れてしまいました。

今もなかなか時間が取れなく、後書きも全然書けない状態でして、短いですがこれで失礼します。

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