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夏休みの終わりと対策

「気を付けて帰るのだぞ。先日の神器襲撃の件もあるのだから、用心するのだ」


「あの程度の神器ならわたくしだけで十分よ。ね、滉介」


「いつもぐーたらしているんだからちゃんと俺の身を守ってくれよ」


「何よそれー!」



夏休み最終日、滉介と伊澄が帰るため宮城に住む颯太達は2人の見送りに来ていた。



「竜也もまたね……あなた達の文化祭の時は絶対駆けつける…」


「おう!そん時は盛大におもてなしさせてもらうぜ!」



伊澄の背後には黒服を着たいかにもガードマンっぽい男性が2人も控えており、彼女の帰宅に合わせて両親が手配したらしいとクレアがこっそり颯太に耳打ちしてくれた。

そんな光景に一般人の颯太と詩織は苦笑いするが、他のメンバーは一切顔色を変えていないこと2人はそこからため息をつく。



「おっと、リーナ。これ母さんがお土産にって」


「あら、何かしら」



滉介との言い争い(リーナが一方的に言っているだけだが)を見ていた颯太はバッグからお洒落にラッピングされた小包を渡した。



「帰りの新幹線で食べろ、だそうだ」


「あなたのお母様には何もかもお世話になったわね。またこっちに来た時はあなたの家に顔を出させて貰うわ」


「あぁ、母さんも喜ぶから是非そうしてくれ」


「リーナが世話になったな。颯太」


「別に良いって。呼んだのはうちなんだし、今度お前も俺の家に泊まっていけよ」


「そうだな」


「あ、なら俺も颯太の家に泊まりてえな!俺だけ仲間はずれはなしだぜ!」


「あぁ、分かったよ。竜也もな」


「…………」


「ふふ、羨ましいか?」



そんな男子3人のやり取りを見ていた香織が羨ましそうに見ていると、にやにやしているクレアが隣に現れて香織はびくりと飛び跳ねる。



「く、クレアさん!?」


「あの輪に私たちが入っていけないのはしょうがないが、ならば私たちも私たちだけでお泊まり会を開くのもありなんじゃないか?」


「あ!それいいですね!あたしも一度はお泊まり会やってみたかったんですよ!」


「……うん、お泊まり会いいね………場所はもちろん香織の家…」


「え、私の家でやるの…?」


「私の家では少し狭いからな」


「まぁあたしの家もそんな開けるような場所じゃないし…」


「わたしの家は論外ね…」


「ということだ。別に構わないだろう?」


「はい、大丈夫だと思います」


「では、そういうことで追々日程を決めていくことにしよう。そろそろ時間だしな」



クレアが腕時計に目をやった瞬間駅のホームにアナウンスが流れ、伊澄の背後で控えていた2人は彼女の荷物を手に取る。



「それじゃまたね……」


「ガウ!」


「まずは伊澄のだな」


「またあっちで会おう」


「じゃあな!」


「またね、伊澄さん」


「じゃあねー!」



伊澄は最後に皆へ手を振ると新幹線へ乗って行った。伊澄は前に言っていた通りグランクラスという取れる座席の中で最高級の座席に腰掛け、新幹線が出発するまでずっと皆に手を振り続けた。



伊澄が乗った新幹線が出発してから数分後に次は滉介たちが乗る青森行きの新幹線がホームに現れた。



「次はわたくし達ね。ほら、滉介乗るわよ」


「おい、最後なんだからちゃんと挨拶していけ」


「挨拶なんてさっき済ませたじゃない」


「それでもいいから」


「はぁ……別にこれが最後の別れでもないでしょうに。それじゃまた会いましょう」



リーナは面倒くさそうに挨拶を済ませると、最後に颯太の服の袖をちょんとつまんでいるレーナに軽く手を振り、そして滉介よりも一足先に新幹線へ乗って行った。



「全くリーナと言ったら………今夜もあっちの世界で会うと思うが、またな。今度来れる日は冬休みらへんになる」


「あぁ、その日を楽しみにしているよ」



滉介は最後に颯太と握手を交わしてリーナが待つ新幹線へと入っていく。やがて時刻になり新幹線はゆっくりと進み始め、新幹線は仙台の駅から旅立っていくのであった。




「滉介行っちゃったね」


「あ~あ、うちの家も寂しくなるな」


「滉介さんとリーナさんといつも食事を共にしていたものだから、兄さんの気持ちよく分かるわ」


「広さだけがうちの自慢だからな」



滉介達が去っていった方向を見つめて詩織、竜也、香織の3人は寂しげに言う。



「リーナも言っていたように何も最後の別れというわけでもあるまい。あちらの世界に行けば彼らに会えるだろう?」


「それもそうなんすけど、ゲームとリアルじゃ違うっていうか何というか」


「まぁ竜也の言いたいことも分からないこともないが、彼らにも自分の家があるからな。またリアルの世界で会える日を楽しみに待っておくことにしよう」


「そうっすね。んじゃ香織帰るぞ」


「あ、うん。それじゃ皆またね」


「私は詩織を送って行く。では、また今夜会おう」


「じゃあね、颯太」


「あぁ、またな」



竜也、ボルケーノ、香織、アルテミスが去り、次にクレア、詩織、琥太郎が駅のエスカレーターに乗って去っていき、駅のホームには颯太とレーナだけが残された。



「俺たちってランゲージバトルがなかったら繋がっていなかった人間関係だよな」


「どうしたの?急に」


「何となくそう思っただけだ。ほら、俺たちも帰ろうぜ。暑いしさ」


「うん、帰りのコンビニでアイス買っていこ!」



颯太の心情を悟ることなくレーナは彼の手を取って暑い日差しが照りつける駅の外へ出て行った。







8月も終わりを告げて9月に入り、颯太達の学校がスタートした。久しぶりに顔を合わせた友人達は相変わらずの調子で颯太は何となく安心する。



「は~い皆席に着いてね~」



やがて担任の小町明美がやってくるとクラスメイトは渋々会話を切り上げて席に着き、やがて彼女の言葉を待つため教室は静かになった。



「今日から新学期が始まったけど、遅刻もしないで全員揃っていることに先生はとても嬉しいです。さてと、明後日の先生の授業で数学のテストやるけど皆ちゃんと夏休み勉強していたかな?まぁやっていないって子がほとんどだろうけど、それなりに難しい問題だからノートの見返しやっておいてね」



小町の話が続いていく中で颯太は頬杖を突きながら外の景色に目を向ける。

数は減ったもののアブラゼミが鳴いている街並みは蜃気楼で歪み、颯太は何となく夕方頃にはこの暑さが少しは収まるかなとか思ってみる。



結局のところあのキャンプの日に襲撃してきた神器の集団の正体は掴めなかった。颯太、クレア、伊澄の3人で正体を探ったものの成果は挙げられず颯太は他のメンバーに各自常に神器を傍に置くことを指示した。


実は颯太、香織、竜也の3人を守るべくレーナ、アルテミス、ボルケーノが来ており、3人とも学校のどこかに隠れているらしい。

しかし、レーナとアルテミスはともかくボルケーノは一体あの巨体をどうやって隠しているのだろう。



「最後にもうすぐ文化祭だから何やるか追々決めていかないといけないね。それじゃ今日も元気に張り切っていこー!」


「あぁ、もうすぐ文化祭か」



全然話を聞いていなかった颯太は小町の最後の言葉だけ聞き取って何気なく呟く。



「さて、今年は何やるのやら……出店らへんで落ち着くと僕は嬉しいんだけどね」


「そうだな」



人の前に出るのが嫌な上条の言葉に颯太も同意していると小町は教室を出て行った。すると早速クラスメイトは文化祭について話し始め、何をやるだの他のクラスは何をするのだろうとかクラス内は一気に文化祭の話題でいっぱいになる。



「劇とかそういうのじゃなければ俺は何でもいいよ」


「まぁね。どこ行くの?」


「トイレ」



自分が一番恐れる文化祭の出し物を言いつつ彼はトイレへ向かうのであった。






それから学校も終わり、上条達と別れて住宅街の路地に入ったところでレーナが猫が歩くような石段の上に現れる。



「今日もお疲れ颯太」


「あぁ、レーナも守っていてくれてサンキューな」


「うんうん、お互いにお疲れ様だね」


「で、今日は?」


「特に神器の気配はしなかったよ。鷹の目を持つアルテミスがずっと屋上で監視していたけど、気配を消す神器の姿も確認出来なかったとさ」


「そうか」



『よっ!よっと!』と腕を広げて石段から落ちないように左右のバランスを取りながらレーナは報告する。

ここ最近ずっとレーナに監視して貰っているが、あのキャンプの日以来神器の姿は見えていない。人が多いことを嫌っているのか、それとも運営に目を付けられたのかそのどちらだが、こうも毎日神経を張ることが続くとこちらが参ってしまいそうだった。



「琥太郎のようなアサシンみたいな神器は流石に私もアルテミスも無理かも。ほら、詩織がよく使う透明マントあるじゃない?あれみたいなことされちゃうと完全にこっちもお手上げなんだよね」


「もしそんな神器がいたら気付いた時にはもう目の前?」


「そうなるね。後手に回るしかないし、最悪私が駆けつける前に颯太殺されちゃうかもね」


「洒落にならないな…」


「でもまぁ琥太郎は相当レアな神器だし、あのマントだって並みの神器では真似できないスキルだからあんまり心配しなくていいかも」


「万が一ってことがあるだろ?一応それも視野に入れておいてくれ」


「はいは~い」



レーナは石段からジャンプして降りると颯太の隣に並んだ。



「敵の正体が掴めれば対策が出来るのにな…」


「分からないんだからどうしようもないね。クレアも忙しいみたいだし、これは私と颯太で情報収集するしかないかな?」


「そうなるかな………―――よし、今夜は情報収集しよう」


「おっけー!と言ってもどうやって集めるの?宛てがあるの?手当たり次第聴くわけにもいかないでしょ」


「あ………」


「全く颯太ったら…」


「と、とにかく家に帰ってから考えをまとめるぞ!」


「は~い」



レーナに痛いところを指摘された颯太は苦い顔をしながら急ぎ足で家に帰るのであった。

どうもまた太びです。


なかなか忙しい日々が続いていますが、頑張って更新していきますよ!ということで今回のお話は夏休みも終わってそれからって話ですね。

結局あの夏休みのキャンプの日に襲撃してきた神器の集団は一体誰だったのか、それは分かりませんでしたね。しかし、読者の皆様方の中には既に誰が襲撃してきたのか勘付いている方もいることでしょう。多分その読みは当たっていますから今後の展開にご期待を!


えと、この後書きを借りてメッセージをくださった方々に感謝を!励ましのメッセージやこうしたほうがいいという指摘も全て私の執筆意欲に強く繋がっています。

メッセージで貰ったキャラクターの自己紹介はあんな感じでいいんでしょうかね。まだ滉介たちのところが終わっていませんが、そこも後々追加修正していくつもりですのでもう少しお待ちください。


っと、こんな感じでしょうか。それでは次の後書きで会いましょう!ではでは!

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