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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
1章 ランゲージバトル
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輝光の騎士団

「ギルド名を入力してください」



いま颯太、竜也、香織の3人はギルド管理局に来ている。理由など説明する意味もないが、それはギルドを作るためである。



「もう名前は決まっている」



最後の手続きとなるギルド名を颯太はパネルキーボードで入力し、ギルド名が決められた。



「はい、これで手続きは完了です。今、ソウタ様がお作りになられたギルドの案内地図をお渡ししますね」



アイテムストレージにプレゼントマークが浮かび上がる。颯太はそれを受け取り、早速場所を確認した。



「で、どこなんだ?」


「少し城から遠いか……」


「まぁランダムで決められるから、そこは仕方ないわね」



竜也と香織も颯太が見ている地図を覗き込んで確認する。



「とりあえず行ってみよう。俺達の拠点だ」



颯太達は地図を頼りに自分たちのギルドへ向かった。



「なに?混沌使いがギルドを立ち上げた?」


「はい。それもいきなり最高ランクに達しているようで、どんな手を使ったのか…」



ここはあるギルドチームのアジト。

顎に髭を生やした男はお酒を飲みながら、部下の報告を聞いていた。



「あ、それあたし聞いたことがあるよ。宝の地図ダンジョンにはごく稀にギルド建設券が落ちるダンジョンが出現するって」



樽に座る一人の少女が手を挙げながらそう言った。



「ほう……宝の地図と言えば相当レベルが高くなければ返り討ちに会うダンジョンじゃねえか。一体混沌使いはどれほどの力を身に着けているのだ…?」



髭を生やした男は樽に座る少女に目が留まる。



「ティア。お前、少し混沌使いを探って来い」


「え!?あたし!?やだよ、怖いよ!」


「リーダー命令だ!行け!」


「むぅ……横暴だなぁ……」


「ほら、さっさと行け。しっし」



ティアと呼ばれた少女は心底嫌そうな目を髭の男に向けてから、アジトを出て行った。



「うお、すっげえ……」


「最高級ってだけあるわね」


「確かに凄いが、金持ちでもそんなに驚くことなのか?」


「いやいや!これとあれは別だよ!」


「ファンタジーならではでしょう?入りましょうか」



レンガで出来た豪華なアジトは、家3つ分くらいありそうだ。

3階建てのベランダ付き。


中は赤いカーペッドが敷かれ、リビングには暖炉までついている。

休憩室もあるようで、2階は大体宿屋のような個室になっていた。

3階は何もなく、どうやらここはギルド共有倉庫のようだ。



「颯太!地下もあるぜ!」


「地下もあるのか」



子供のようにはしゃぐ竜也に着いて行って地下に降りる。颯太の目の前には真っ暗な洞窟が広がっていた。

颯太が洞窟に一歩踏み出すと道端に立てられた松明が火を灯し、その火は奥まで順々に灯し始める。



「あれは…」


「なんだあの扉は」


「なにあれ?私知らないよ」


「我も知らぬ。数々のギルドを見てきたが、あんな扉我は見たこともない」



そう、奥には巨大な石で造られた大扉があったのだ。

颯太達は近づいて調べてみると、やはり鍵がないと開かないシステムのようだ。



「鍵穴もただのオブジェになっている。専用アイテムがないと開かないみたいだ」


「ちぇ、何かあると思ったんだけどよ」


「ん~……なんだろうね、これ」


「分からないのなら仕方がないさ。上に戻ろうか」



颯太達が上に1階に戻って来てみれば、香織が入り口の掲示板に何かを書き込んでいるようだ。



「何をしているんだ?」


「人を増やすためにも私たちのギルドを知ってもらおうと思ってね。今ギルドメンバー募集って書いていたの。ちなみにこの掲示板は広場にあるような掲示板と連動していて、メンバー募集しているギルドの紹介や、私たちがいつも見ている運営のお知らせも見ることが出来るのよ」


「へえ、結構便利じゃないか」


「あとギルドアイコンどうしようかなって思っているんだけど」



ギルドアイコンとは、その名の通りギルド固有のアイコンの事である

既に出来ている運営が用意したアイコンを使うのもよし、それともドットを使ってオリジナルのアイコンを作成するかの2つのパターンだ。


香織は先ほどからチラチラと颯太を見て来ているが、どうやら自分に任せてほしいらしい。



「香織さんに任せるよ。そういう細かい作業は苦手なんだ」


「ホント!?頑張って作るわ!」


「あぁ、よろしく頼む」


「颯太!どうやら家具も増やせるらしいぜ!」


「高いだろ」


「高いっす…」



リビングから顔を出している竜也の手にはカタログらしき本が握られていた。



「そういうのは皆で相談して決めよう。それにまだ出来たばかりだ。あれこれするのはもう少し先で良いよ」


「颯太、私ベッド欲しい。ここだと寝る場所ないよ」


「よし、家具買うか」


「おい待てえええ!颯太お前!そういうのは皆で相談して決めよう。って今言ったばかりじゃねえか!」


「俺に全然似てないぞ。まぁ流石にベッドは無理だが、ソファくらいならいいんじゃないかな。香織さんもいいか?」


「ええ、流石に木の椅子はね…」


「皆で出しあって買おう。ちなみにソファはいくらだ?」


「5万Gだ」


「安いな。あ、いやリアルの値段で考えれば眩暈がしそうだが、こっちの世界では安い方だな」


「5万G?切りが悪いわ。兄さん買ってよ」


「ええ!?俺!?いや俺はソファ何て別に……」


「竜也買ってくれないの?私竜也の事嫌いになるかも」


「わ、分かった!俺が買う!こんなソファ!いくらでも買ってやんよ!」


「なら、1つじゃ格好が付かないから2つ買おうか」



竜也のいらない一言によってリビングに新しい家具が置かれた。



「わーい!」



ふかふかのソファに早速寝転がっているレーナはご満悦のようだ。



「10万Gが……」


「兄さんお金持っていても何も使わないじゃない」


「ちなみに二人ともいくら持っているんだ?」


「私はそこまでクエストに行ったりしないから30万Gしか持ってないわ」


「俺はイベントに参加したりしているから70万Gだぜ」



それに比べて颯太と言えばレベルをひたすら上げる事に専念していたせいか、いつの間にか100万Gを超えていた。

換金アイテムもすぐにNPCに売りつけ、売れそうなアイテムならばすぐに露店に出して売り捌く。やる事が徹底しているのであるこの男は。



「ん~……なんだかソファ置いてしまったら他のも置きたくなったわ。ちょっと兄さんそのカタログ見せて」


「お、おう」



香織はしばらくカタログを見ていると、急にパネルを出してメモを取り始めた。



「颯太くん、自分の持ち金を言わないって事は相当もっているのよね?少なくとも兄さんよりは」


「え?い、いや委員長の思い過ごしじゃないかなぁ?」


「これ、買ってくれないかな」


「マジっすか……」


「うん、マジよ」



ざっとメモに書き綴られた家具を見て颯太は真顔になる。



「1000円代もあるから、そこまでお金は掛からないわ。恐らく20万くらいで済むと思う」


「まぁ……ギルドマスターになったわけだし、ギルドの内装を考えるのも俺の仕事か」



颯太は香織のメモを受け取り、カタログを開いた。



「香織さん、ここにあるもの全部買うから配置はそっちが決めてくれ」


「流石颯太くん!ええ、任せて!」


「うおおおおお!!もうどうにでもなれえええええ!!」



消えて行くお金は出来るだけ見ないようにして、颯太はカタログの購入ボタンを連続で押しまくった。




「探れって言われてもどうすれば……」



アジトから追い出されるように出てきたティアは途方に暮れていた。

いきなりフレンド申し込みをするのもおかしいし、クエストに誘うのもおかしい。



「うぅ……どうしよう…」



広場まで歩いてきたティアは、ふと掲示板に目を止めた。



「あっ!ギルドなら!」



ギルドを立てた事を思いだしたティアは、早速募集版を見てみる。



「あった!」



アイコンが出来てもいない、出来立てほやほやのギルド。



「えっと……輝光の騎士団…?混沌使いっぽくないなぁ…」



掲示板から輝光の騎士団のアジトまでの地図データをティアは受け取る。



「ちょっと遠いかな。おっとと、その前に一度ギルド抜けないと」



ティアはギルドマスターである髭の男にメモを送った。

潜入捜査するので一度抜けます、と。



「よし!ギルド脱退!」



自分の頭の上に浮かぶギルド名が消滅するなり、ティアは背筋を伸ばした。



「う~ん!なんだか身体が身軽になった気がする。さてと、今回の混沌使いはどんな子なのかな?」



ティアは意気揚々と颯太達がいるアジトまで歩いて行った。




「こんなもんか?」


「うん!良い感じ!」


「おおお!さっきまでの古臭い感じが一気に消えたぜ!」



リビングが一変していた。

先ほどまでは古い木の椅子やテーブルが、今では真新しい椅子とテーブルに変わっており、更に部屋には色鮮やかにするために観葉植物まで置かれている。



「ちなみにこの家具全部ギルド最高ランクまで上げない限り絶対に注文出来ない物ばかりだ。俺が買ったことに感謝して使ってくれ」


「ありがとう、颯太くん」


「あぁ、感謝するぜ」


「颯太大好き!お礼にちゅーしてあげるね!」


「我も座れる椅子を用意してくれるとは、ありがたい」


「なかなかオシャレになりましたね」


「家3つ分だからな。ボルケーノが座れる椅子を置いても邪魔にならないし、天井も高い。窮屈な思いをしなくて何よりだよ」


「むしろ私は広すぎると思うわ」


「まぁそのうち慣れるさ」


「ごめんくださ~い!」


「ん?誰か来たようだぜ?」



玄関に誰か来たようだ。

颯太達は玄関に移動すると、そこに一人の少女が少し緊張した様子で立っていた。


明るい青色の髪はストレートに伸び、顔立ちは少し幼く思わせる。

香織と身長を比べて見たところ大体同じくらいだろうか。身長から想像するに恐らくだが、颯太達と年齢はそう変わらないはずだ。


服装は何だか忍者を思わせるような紺色で固められており、首元には赤いマフラーが巻かれていた。



「どちらさま?」


「あ、あたしはティアと言います!ギルドメンバーを募集しているという掲示板を見ましたのでやってきました!」


「入団希望か!歓迎するぜ!」


「早速?余り面白い内容は書いてなかったんだけど…」


「なんで入ろうと思ったんだ?」


「ちょっと颯太くん」


「余り言いたくはないんだが、このゲームの住民はどうもレーナを嫌っているようでな。それを実際に見た俺も少し疑心暗鬼になっているんだ。入団希望は嬉しい。でも、面白半分でレーナに近づくようなら帰ってくれないか」



ティアは颯太から浴びせられる冷ややかな目つきにたじろいでしまった。



「颯太…私は大丈夫だよ……こういうのは鳴れているから。だから、颯太が楽しんでくれれば私は嬉しい。皆でわいわいするの楽しみにしていたんでしょ?」


「その皆にはお前も入っているんだぞ。レーナを理解してくれない奴なんか俺はいらない」



レーナを救う。その言葉を胸に颯太は語句を強める。


ティアはそのやり取りを見ていた。



『あれ……この男の子は確かあの広場にいた……』



そしてティアは思い出した。

それは昨日の掲示板での出来事だった。

ただ自分の名前が掲示板に載っているのか気になって見に来ただけだったのに避けられてしまった男の子。

ただ混沌使いという肩書だけで人々に避けられる。


ティアは次に竜也を見た。

この男の子ももちろん覚えている。むしろあの場にいた人間ならば彼の言葉が強く心に響いたはずだ。

何を言っているのか余り分からなかったが、混沌が理解されない事に嘆きを訴えた男の子。


この時からティアの心にある感情が芽生えてきた。


最初は本当に嫌だった。誰が混沌使いの探りなどするものかと思っていた。

しかし、ティアはもっと彼の事が知りたいと自然にそう思った。



「あ、あたしは興味本位で入るわけじゃありません!混沌―――いえ、レーナさんの理解者になるために入団希望をしに来たのです!」


「だってよ、颯太」


「分かった。入団を許可する」


「よろしくね、ティアさん。女は私しかいなかったから、少し寂しかったの」


「あ、はい。よろしくお願いします」


「ティアさんか。今から俺が誘うから、申請を受けてくれ」



颯太は目の前にいるティアをギルドメンバーに誘う。

申請が届いたティアは早速パネルを操作してギルド申請を受理した。



「これでティアさんはこれから俺達の仲間だぜ!」


「この調子で人が増えるといいわね。それと颯太くん、入団者一人ひとりにそういうことするの?人入らなくなるからやめて」


「あ、いや俺はレーナの事を思って」


「やめて」


「はい…すみませんでした…」


「何だか颯太は親ばかだな」


「レーナ限定だ」


「颯太と私は相思相愛なの~」


「そうなの!?」


「なんで香織さんがそんなに驚いているんだ。それより、ティアさん。フレンドパス交換しよう」


「うん。よろしくね~」


「俺も俺も!」


「私も是非お願いするわ」




こうして颯太達に新しい仲間が増えた。


私のやっているオンラインゲームが大規模アップデートされ、新しく来たクラスのレベリングをしておりました。

もう一つ投稿しますので、そちらで語らせていただきます。

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