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準備とレーナたち


「うし、出来たな。颯太!そっちはどうだ?」


「あぁ、こっちも出来たぞ」


「上出来だな!」



その後颯太と滉介は無事レーナとリーナを見つけてキャンプ地へ戻り、皆でテントを張っていた。

4人用のテントの1つ目に颯太、レーナ、滉介、リーナ。次に竜也、琥太郎、ボルケーノ。3つ目にはクレア、伊澄、ガンドレア。最後の4つ目には香織、アルテミス、詩織となった。



「ボルケーノ、香織達の方は?」


「今見てきたところだが、アルテミスがちゃんと張ったようだ。無論クレアの方も問題はない」


「ねえ颯太ー!遊びに行っていい?」


「あぁ、ちょっとレーナ服引っ張らないで」


「竜也、レーナがこう言っているんだが…」


「もういいんじゃね?テントは張ったし、後はタープテントとテーブル出しくらいだ」


「だってさ。もう行っていいぞ」


「わーい!ほら、リーナも行こう!」


「わあああ!?わ、わたくし走るのは苦手なのよおおおおお!」


「ったく、さっき連れ帰ってきたばかりなんだけどな」


「まぁまぁいいだろ」



レーナとリーナが走り去っていくのを見ているとハンマーを持った滉介が現れ、あっという間に見えなくなったレーナとリーナの方角を見てため息を吐く。



「颯太、滉介、琥太郎、次はタープテントを張るぞ。俺とボルケーノでここをやるから、香織達のところ手伝ってきてくれ」


「分かった。俺と滉介は詩織と香織さんのところをやる。琥太郎はクレアさんのところを頼んだぞ」


「了解した。竜也殿、これを持って行けばいいのだな?」


「あぁ、そいつだ。頼んだぜ」


「んじゃ、俺達もこれを持って行きますか」



タープテントとは簡単に言えばテントの屋根である。アルミニウムの支柱を地面に突き刺して簡単に張ることが出来るこのタープテントは、山で天気が変わりやすいキャンプ地にとって必須と言っても過言ではないほど便利なアイテムである。これを張ってしまえば突然の雨にも打たれることもなく雨宿りが出来るし、テント外に置いた靴が濡れる心配もない。



「あ、颯太!」


「滉介さんもどうしたの?」


「竜也がタープテントを張ってやれって言ってきてさ」


「代わりに張ってやる」


「おお、ありがとう。あたし達まだろくに自分の荷物運びも終わってないから、助かるよ」


「2人ともありがとう。それじゃ、お願いするわ」


「まぁ私達だけでも出来るのですが、何分女の子の準備というのは結構かかるものでして」


「男の俺達にはさっぱりだが、そういうもんなのか」


「ええ、そういうものなのです。では、任せましたよ。颯太、滉介」


「あぁ、任せておけ」


「と言ってもすぐ終わるがな」



詩織、香織、アルテミスの場所へやってきた颯太と滉介は荷車を引いて駐車場へ行った3人を見送るなり早速タープテントを袋から取り出す。



「男は力仕事ばかりだな」


「なら、女子と代わって飯でも作るか?」


「はは、笑えない冗談だな」


「だろ?んじゃ、こいつを張るしかないな」



颯太と滉介はそんな会話をしながらタープテントを張るのであった。




「大体終わったな」


「やっと遊べるってもんだぜ」



それから数十分後、無事タープテントとテーブルの準備が終わり、先に準備を終えていたクレアは既にお湯を沸かして本を読みながらアルテミスに紅茶を淹れて貰っていた。



「竜也達もどこかに行くのか?」



も、というのはつい先ほどレーナとリーナの様子を見に行った香織、詩織、伊澄のことを言っており、クレアは優雅に紅茶を楽しみながら竜也に尋ねる。



「ええ、俺達はこれから釣りに行こうかと思っているっす」


「そうか。なら、私は刺身が食べたい」


「え、それ遠回しに大物釣って来いって意味っすか…」


「ふふ、まぁ楽しんで来たまえ。留守番は私がしているから気にせず釣りに専念するといい」


「あざっす!んじゃ、荷物持っていくぞ!」


「留守番頼んだぞ」


「アルテミスも琥太郎も留守番お願いな」


「ええ、行ってらっしゃい」


「良いサイズの魚を頼んだぞ」



颯太と滉介とボルケーノは竜也に連れられて釣り道具を持ち、そして波の音が聞こえる海へと歩いていった。






「リーナ!そっちに行った!」


「え!?ど、どこどこ!?」



現在リーナとレーナはバシャバシャと小さな川で魚を捕まえていた。



「ほらほら、こういうのは頭を使わなくちゃね。ガンドレア、そこの石拾ってくれる?」


「オン!」



詩織もまたジーパンの裾をまくって川に入っており、川の中に落ちている石を積み上げて魚が行くルートを固定して見せた。



「怪我しないようにね」


「ガンドレアも楽しそう…」



その様子を見守っているのは香織と伊澄であり、2人は流石に川の中に入らないようだ。



詩織たちがいる場所はアスレチックから少し離れた場所にある小川で、上流に進めば立派な滝と川釣りが楽しめる場所もある。

そして上流から下っていき、更に川の奔流から分岐して緩やかな流れになっている場所が詩織たちがいる場所である。ここは子供達も安全に遊べるキッズエリアになっていて、近くにはもしものためにと常に監視を続ける管理人もいる。



「ガンドレアって水大丈夫なの…?この前水はダメとかって言っていなかった?」


「身体全体が水の中に入るのはダメみたいだけど……足が浸かる程度なら問題ないみたい…」


「あ、そうなんだ……良かった…」


「でも……ちょっと目立ちすぎかも…」


「あはは…」



詩織の指示でどんどん石を自慢のアームで積み上げていくガンドレアを見た小学生くらいの男の子達は『あれ欲しい!』とか『すげえ…』とか声を上げてガンドレアに興味心身の様子だった。



「よし!いい感じ!レーナさん!一度魚を驚かしてこっちに集めてくれないかな!」


「うん!わかった!」


「で、リーナさんは分岐点のとこで魚が下に泳いで行ってしまわないように網で道塞いじゃおっか!」


「分かったわ!」



どりゃああああ!とレーナは楽しそうに声を上げながら網を川の底に当てて水飛沫が服に飛ぶことも構わず小川を全力疾走し、リーナのポイントまで走ってくる。



「うわ!?冷たっ!ちょっとレーナ!」


「あはは、ごめんごめん。それで魚は?」


「何匹か小さいの入っているけど、大きいのはいないわ」


「私もダメ~」


「ガンドレア、石を崩して入り口塞いじゃって!」


「ガウン!」



網をすくいあげて中身を確認している2人を他所に詩織はガンドレアへ最後の指示を出した。



「よし!これでオッケーだね~。2人とも、こっちにおいで」


「おっきいの来た?」


「こっちに大きな魚は来たのかしら?」



新しいルートを開拓した詩織の下へ2人が行くと、そこにはレーナとリーナが追い掛け回していた魚がいた。



「いたいた!!どりゃあ!」


「凄いわ!ちゃんとこっちに来たのね!」


「へっへーん!どんなもんだい!」


「どう?お魚は取れた?」


「………」


「うん!見てみて!」



バケツの中には15cmほどの青と赤の綺麗な模様が入った魚が泳いでいた。



「あら、これオイカワだわ」


「オイカワ?」



それを見た香織は一瞬で魚の名前を言い当てて対するレーナは小首を傾げる。



「あんまり大きくならない魚なんだけど、この背びれと尾びれ。そして何よりも綺麗な青と赤の模様が入っているのはこのオイカワだけなの。兄さんが昔取ってきたから覚えていたわ」


「綺麗な魚なのね」


「夏になるとメスとの繁殖に備えて自分を綺麗に見せるために婚姻色と言って、こういう綺麗な色が出てくるの。まぁメスは地味な色をしているんだけど……」


「お家で飼いたいな!ダメかなぁ?」


「オイカワは飼育がとても難しい魚で、常に水質と温度を一定に保たないとすぐ死んじゃうデリケートな魚なの。ちょっと持って帰るには厳しいかなぁ…」


「そっかぁ……ちょっと残念だなぁ…」


「せっかく捕まえたのにね……残念だわ」


「大丈夫。ちゃんと私達が住む近くにもオイカワはいるわ。仙台に帰ったら今度一緒に捕まえに行こうね。兄さんなら喜んで協力してくれるはずだから」


「うん!」


「じゃ、逃がしてこようか」


「分かった!リーナ!いこ!」


「ええ、出来れば誰にも捕まらないような所に逃がしたいわね!」


「そうだね!私達以外に捕まったら絶対に許さないんだから!」



香織にそう言われて納得した2人はオイカワが入ったバケツを持って川の奔流の方へ走っていった。



「香織は何でも知っているなぁ~。あたし、ちょっと驚いちゃった」


「兄さん魚釣り大好きだから自然と名前覚えちゃったの」



積んだ石をガンドレアと一緒に片付けながら詩織は横で見ている香織に話しかける。



「竜也さんも多趣味だね~」


「兄さんは何でも手を出すから」


「それはとてもいいこと……」



詩織たちはそんな会話をしながらレーナとリーナが帰ってくるのを待つのであった。

お久しぶりのまた太びです!


いや~やっと忙しい季節も終わりましたよぉ……なかなか辛い状況が続いていたので、若干モチベーションが落ちている感じですが、これからは頑張って通常通りの更新を目指しますのでよろしくお願いします!

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