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竜也の悩み

「ふッ!!」



その頃竜也は1人ランゲージバトルの世界に潜っていた。


皆に追いつきたい、自分も覚醒能力を手に入れたいその一心で竜也はフリーエリアのモンスター相手に奮闘する。



「グラーノ!エンチャント頼む!」


「オオオン!」



岩石を投げてくる巨人相手に竜也は2丁の長銃を合わせ、そして炎を噴射させて高速で動きながら相棒のサラマンダーのグラーノに命じる。

グラーノは雄叫びを上げて竜也の炎属性攻撃を底上げし、彼をサポートしていく。



『竜也、今ならばあの岩石ごと撃ち抜くことが出来るだろう』


「オーケー!!ネオ・プロミネンスレーザー!!」



2丁の長銃が合体してその銃口から強烈な炎の本流が飛び出し、今しがた巨人が投げた岩石諸共貫通して巨人のライフバーを全て奪った。



「おっしゃ!」


「ギャウ!」


「ナイスサポートだったぜ、グラーノ!」



戦いが終わるなりグラーノはご主人の下へ駆け寄って頭を撫でて貰う。



『竜也、そろそろ休憩しよう。そろそろ探索を続けて2時間が経つ』


「そんなにか……そうだな、一度戻るか」



誰もいない森林エリアのフィールドを見渡しながら竜也は呆然とそう呟く。



『竜也、お前が急ぐ気持ちも分かるが……』


「わーってるよ。戦っているだけじゃ覚醒能力が解放されないことくらいさ」


『ならいいのだが……――――最近の竜也を見ていると焦りだけが先行して自分を見失いかけているように見えるのだ』


「………」


『竜也は竜也のペースでやればいい。何も我の力の全てが覚醒能力に収束されるわけでもないのだ。いくらだってやりようはある』


「サンキュ、ボルケーノ」


『我は竜也のパートナーだ。これくらい当然のことだ』



竜也は合体させた長銃を肩に担ぎ、グラーノを連れて森林エリアを後にした。




竜也は酷く悩んでいた。表に出さずとも内心では自分だけがギルド内で置いて行かれているような、そんな焦りが全身を満たして竜也は不安から逃れるためにもランゲージバトルの世界に何度も何度も足を運ぶ。

颯太達がいない夜も休日の朝も竜也は孤独に開花する日を夢見てただただフリーエリアを歩く。


ボルケーノはそれが心配だった。颯太達と会っている時の竜也はいつも通り詩織と一緒にギルド内を盛り上げるムードメーカーの役目を果たし、場を盛り上げ、そして皆を笑わせる。

だが、1人になったとき彼の表情は浮かないものへと変わる。明るかった表情が消えて思いつめた顔をする。



それがここ最近ずっと続いていた。



『我に何かできることはないのか……』



森林エリアを歩く竜也は無言だった。



「や、おに~さん」


「ん?」



そんな彼の前に1人の少女が現れた。黒髪に少しだけ紫がかかった長い髪をポニーテールにしている。

どこかあどけなさが残る顔立ちに猫目のような黄色い瞳。身長は妹の香織より低く、服装はどっかのミュージシャンを思わせるような露出多めの黒いボンテージ衣装。



「なんだか思いつめている様子だったから気になったんだ」


「あぁ……そうかな?」


「今もくら~い表情をしているよ~?何かあった?」


「………」


「あ、僕はヒカル。おに~さんは?」


「俺は竜也」


「竜也さん、良かったら僕が相談に乗ってあげようか?」


「……あぁ…」


「話すだけでも楽になると思うよ~?まぁお節介ならいいんだけどサ」



そう、ヒカルは悩む竜也に近寄って『どうする?』と小首を傾げた。



「なら、ちょっとだけ話そうかな…」


「うん、ならそこに丁度いい岩があるから座って話そうか」


「あぁ」



竜也は一体この少女が誰なのか、何故自分に話しかけてきたのか、そんなことを深く考えずに竜也は少女に手を引かれながら岩へと腰掛けた。




「で、どうしたの?」


「なんかな、自分だけギルド内で一番弱い気がしてさ………」


「うんうん」


「皆がどんどん強くなる中で俺だけ成長が止まっている気がして、覚醒能力に目覚めれば変われる気がしたんだ。俺の神器はボルケーノだから、きっと目覚めればもっと皆の役に立てると思うんだ…」



竜也はぽつぽつと言葉を紡ぐ。



「妹はこのランゲージバトルに出会ってからみるみる成長していって、この前の勢力戦では部隊を任せられるほどの指揮官として奮闘していた。他の皆もゲンブと1人で足止めしたり、セイリュウと相打ちにしたりと凄い戦績でさ。んで、俺と言えば絶対倒さなきゃ行けない相手を逃がしてしまうし、何やってんだかなぁって……」


「自分の弱さが辛いんだね」


「あぁ……だから、覚醒能力に目覚めればきっと何か変わると思ったんだ。でも、どれだけ敵を倒しても目覚める気配がない。皆は焦らなくていい、自分のペースで行けばいいって言うんだ。でも、その優しさが逆に辛くて逃げ出したくなった……」


「うんうん…よく分かるよ」


「ヒカルさんもそうなのか…?」


「僕もね、決して強い神器を持っているわけじゃないから、お友達とクエストに出かけたりするとき申し訳なくなっちゃうんだ。でも、竜也さんと同じで皆はそんなこと全然気にしないよって言ってくれるんだけど、そんなこと気休めにしかならなくて辛かった」


「そうだったのか……」


「もっと強い神器を手に取っていればこんな思いをしなくて良かったのかなぁって思うんだ」


「……なら、俺は贅沢な悩みなのかな……」


「そんなことはないさ。誰にだって悩みはあるんだから、それを比べて自分の方が大きいとか、小さい悩みだったとか、そんなこと関係ないんだよ。それを全部ひっくるめて悩みなんだから、竜也さんは深く考えずに悩むといいよ。そういうのは悩むなっていう方が無責任で何の助けにもならない言葉だからね」


「……そうか…ヒカルさん、ありがとう。なんか聞いて貰ったら大分楽になった」


「別にいいってことさ。こういうのはお互い様だからね」



ヒカルは笑う。



「竜也さん、ここで会ったのも何かの縁だと思うし、フレンド交換しとこっ!」


「あぁ、こちらこそ喜んで」



立ち上がったヒカルはそう言い、素早く仮想ウィンドウを操作して竜也にフレンドパス交換を申し込んできた。

竜也はそれを快く受けて無事2人はフレンドパスを交換した。



「このあと暇かな?」


「大丈夫だぜ。どうせ少し休憩したらまたここに潜る予定だったからな」


「うん、それじゃ僕も一緒に狩りをしていいかな?」


「おう!一緒にやろうぜ!」



竜也はいつもの調子に戻ってヒカルと共にフリーエリアの探索を再開したのであった。

このプレイヤーが何者なのか、それすらも知らずに。







そして場面は戻り、颯太達は海底トンネルコースターを乗り終えて昼食を取っていた。



「ほら、2人とも香織さんに感謝して食べろよ」


「は~い!香織さんきゅ~ね~!」


「香織、ありがとう」


「うん、お金なんて気にしなくていいから、もし足りなかったら遠慮なく言ってね」



お昼代は香織が全て受け持ち、颯太は遠慮なくカットピザ2箱とLサイズのコーラ。レーナと千草と香織は極上のアイスクリームが乗ったパンケーキを頼んだ。



「混んでいるなぁ……まぁ当然だが」


「お昼ってのもあって注文するのに30分もかかちゃったね」


「丁度食べ終わった家族連れの席を譲って貰ったのは奇跡的だったな」



颯太は行列が出来る注文カウンターを見ながらそう呟き、それに香織は同意する。



「うまいか?」


「最高だね!流石遊園地!高いだけある!」


「とてもおいしいわ。私、初めてこのホットケーキにアイスクリームが乗った奴食べたわ」


「パンケーキっていうんだよ。ちょっとオシャレだよね。まぁホットケーキと一緒なんだけど」


「オッサレ~!」


「この溶けているアイスと一緒に食べるホットケーキが最高ね」


「喜んで貰えて良かった。これね、私ここに来たら絶対食べたいって思っていたんだ」


「そうだったのか。やっぱりこういうのは人気があるな」


「売り切れてなくて良かったよ。これ、限定だったからちょっと心配だったんだ」


「限定だったのか」


「うん、夏限定のパンケーキなんだ。本当に人気で食べれて良かったぁ」



香織ははむっとパンケーキを口に運んで至福の笑みを浮かべる。



「颯太、このあとどうするの?」


「この後は水族館エリアでも行ってみようか」


「何があるのかしら?」


「簡単に言えば普通の水族館だな。そこでイルカのショーやペンギンの散歩とか見れるらしい」


「ペンギンさんか!」


「ペンギンって動物園の中でかな~り高いらしいね」


「香織さん」


「あ、ごめん、そういう話じゃなかったね」


「で、話を戻すとその他にも香織さんが言っていた夏限定のイベントが14時にあるらしくて、まずはそこからだ」


「何やるの?」


「水ぶっかけられるらしいぞ」


『え?』



レーナと千草の声が被さった。



「あ、えっとね。ここのキャラクター達が踊ったりしてお客さんも一緒に遊べるようなイベントが行われるんだって。それで、私の友達が言うのにはそのイベント途中で舞台に設置された水放射器から大量の水が空にばーって噴射されて水が観客席に一斉に降り注いで一緒に涼みましょうっていうコンセプトらしいよ」


「びしょ濡れになるじゃない」


「そこは安心していい。そのことを香織さんから事前に聞いていた俺はカッパを用意してきた」


「おお!流石颯太!」


「準備がいいわね」


「私は自分の持ってきていたから大丈夫」



颯太はバッグから2人分のビニールカッパを取り出して見せる。



「あれ?颯太のは?」


「俺はいらない。なんせ今日凄い暑いからな。濡れてもすぐ乾くはずだ」


「え~!なら私もいらな~い」


「お前はダメだ。お前が濡れたら色々とまずいんだよ」


「レーナさん、下に何も着けてないもんね……濡れたらちょっとまずいかなぁ…」


「あぁ、そういうこと。なら、仕方ないね」


「見せるにも何もないのにね」


「これから大きくなるもん。クレアのようなぼっきゅっぼんになるもん!」


「古いな」


「うるさい!」


「さ、食い終わったら場所取りに行くぞ」



きっと睨んできたレーナの視線を躱して颯太はピザを一気に口に放り込んだ。

ドーモ。ミナ=サン。また太びです。


やっと私の地域も梅雨入りをしたのですが、梅雨っていいことありませんよね。1人暮らしの私としては洗濯物がなかなか乾かない、湿気が多い等々私にとって梅雨は強敵以外の何者でもありません。

朝雨が降っていると憂鬱な気持ちになります。『雨か……起きるのが嫌だなぁ…』という気持ちにさせ、ベッドから出たくなくなります。

まぁそれでもそんな気持ちを押し殺して起きるわけですが、気持ちのいい朝を迎えられそうにはありませんね。


でも、雨の音は好きです。よく昼寝する時にセミの鳴き声や雨の音の1時間耐久を聞きながらよく寝るのですが、これがよく眠れるんです。


そのことを友人などに言うと口を揃えて『ないない』と言われて地味にショックでした。

そんな私は度々イヤホンを壊していまして、寝ている時にイヤホンの線を押しつぶしたりするせいで結構断線しちゃうんですよね……やらなければいいんですが、ずっと続けてきた習慣なのでなかなかやめられず、もうイヤホンも4代目ですね…

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