マリンアイランド
「颯太ただいまー!」
「おかえり。ん?少し焼けたか?」
「うん、ちょっとね」
「クレアさんから聞いたぞ。クレアさんと美樹さん?だったか。その3人で撮ったんだってな」
「あ、知ってたんだ。生まれて初めてだったよ。人に撮られるっての」
颯太の自室に帰ってきたレーナは少しだけ褐色に染まった肌を晒しながらベッドで寝転がって本を読んでいる颯太の胸に飛び込む。
「でね、今度本が出来たらサンプル送ってくれるんだって」
「楽しみだな。来たら見せてくれよ?」
「いいよ~!一番に見せてあげる!」
「サンキューな」
「颯太颯太、結局千草は行けることになったの?」
「あぁ、ちゃんと行けるぞ。バイト終わりに千草ちゃんのお母さんにも断りを入れてきたし、確認も取ってきた。大丈夫だ」
「おお、やったやったー!
「そんなに嬉しいのか?」
「だって、颯太と香織はどうせ私を保護者目線で見るから一緒に遊んでいても余りつまらないと思うんだよね」
「結構ハッキリ言うのな…」
「その点千草は一緒の目線で遊んでくれるし、馬鹿騒ぎしてくれるから好きかな。前のワタシも対等に見ていたし」
「そうか」
『ご飯できたわよ!降りて来なさい!!』
「はーい!颯太、ご飯ご飯!」
「はいはい」
颯太はレーナに手を引かれて下へと降りていった。こんな毎日がいつまでも続けばいいと思いながら。
「あ、千草!」
「ふぅ、こんな朝早いのは久しぶりよ」
「香織さんも来たな」
「颯太くん達早いのね」
次の日の朝早く4人は仙台駅内のステンドグラス正面に集まっていた。千草はまだ眠そうに欠伸をしながらレーナに近寄ってこれからの遊園地が楽しみだと話し合う。
「皆集まったな。それじゃバス停に行くぞ」
「は~い」
そんな2人を颯太と香織は微笑ましく眺めてから引率の先生の如く、3人を連れてバス停へ向かった。
「ここから何分だっけ」
「45分くらいだったか」
朝早いこともあり、人の数が少なく空いているバスの席に座りながらレーナは颯太に問う。
「結構かかるんだね」
「眠たかったら寝とけよ?あっちじゃ休んでいる暇なんかないんだからな」
「うん、そうする」
「私もまだ眠いし、寝ようかしら」
窓側に座るレーナと通路側に座る千草も目を閉じて寝始めた。
「ふふ、なんだか微笑ましいね」
「完全に保護者目線になってしまっているがな」
そんなレーナと千草の姿を見てくすくすと笑う香織に颯太も同意する。
「もちろん私たちも楽しもうね」
「当たり前だ。楽しまなかったら大損だからな」
2人は和やかに会話を続けながらマリンアイランドを目指した。
「いやっほー!着いたー!ついたー!」
「こらレーナ!待ちなさいって!」
「香織さん、レーナたちを見ていてくれないか?入場券買ってくるからさ」
「うん、分かった。颯太くん、もう並んでいたほうがいいよね」
「あぁ、もう門の前で並んでいてくれ。予想通り開園前から結構な人数だったしな」
「そうだね。それじゃ、並んでいるから入場券のほうお願いするね」
「任せておけ」
「2人ともこっちで並んで待っていようね」
マリンアイランドに着いた4人は、既に開園前から並んでいる人数の多さに若干びびりつつも、颯太は入場券を買いに、香織は2人を連れて列に並んだ。
「お待たせ」
「結構かかったね」
「入場券も人盛りが凄くてな」
それから20分後、入場券を買ってきた颯太が帰ってきた。
「颯太それは~?」
「これはパスケースだ。なんかお前ら入場券なくしそうだから買ってきたんだ」
「なくさないもん!」
「そうよそうよ!」
「いいから首に下げておけ」
入場券の他に颯太が持っていたのは、マリンアイランドのマスコットキャラクター達が描かれたパスケースだった。紐がついており、首からネックレスのように身に付けることが出来る優れもので、お値段は何と800円という脅威の価格だ。
「もちろん香織さんと俺の分もあるぞ。先に言っておくが、財布を出すなよ」
「あ………もう、これなら私お昼ご飯奢るよ」
「え!香織がお昼ご飯奢ってくれるの!?よし、高いもの食おう」
「ここ結構おいしいらしいわよ」
「おい、お前ら」
「颯太くん、流石の私も見過ごせないわよ」
「………分かった。昼飯はご馳走になるよ」
「うん、それでよろしい」
やっと観念した颯太に香織は満足げに頷く。
「颯太、あと開園まであとどれくらいかしら」
「あと1時間と少しだな」
「むぅ、ゲームでもしてよ。千草、持ってきたよね」
「もちろんよ。マリオカートしましょ」
「よーし!千草ぼこぼこにしてやる…」
「ふん、最近私の腕がみるみる上がっていることを知らないのかしら?結構危ない状況が続いているように見えましてよ?」
「なんで急にお嬢様口調に…」
「まぁまぁ…」
「千草、それフラグっていうんだよ?」
「フラグはへし折るものなのよ!」
ゲーム機を取り出してマリオカートを始めた2人を後ろで見ていた颯太と香織は苦笑いを浮かべる。
「颯太くん、最初に乗る乗り物は決めてあるの?」
「あぁ、既にピックアップしている。まずは開園と同時に俺が走ってこの海底トンネルコースターという超人気アトラクションの予約券を取ってくる。その間に香織さんはレーナと千草ちゃんを連れてこの地図にあるキャプテンハットのお宝というアトラクションに並んでいてくれ」
「は、走るの?」
「俺はな。で、このキャプテンハットのお宝というアトラクションはシューティングゲームで、宝を持った海賊を銃で撃って得点を稼ぐゲームなんだ。これ凄い人気らしくてさ、俺も1回は乗ってみたいんだ」
「あ、颯太くんが乗りたいのね?」
「レーナも乗りたいって言っていたからさ。とりあえずはこの2つを乗る。で、その後はウォールフォールっていう滝を落下するアトラクションに乗るつもりだ」
「ぜ、絶叫系なの…?」
「あぁ、モロ絶叫系だ」
「うわぁ……」
「香織さんダメ?」
「ちょ、ちょっと苦手かな」
「まぁものは試しだぞ。乗っておこうぜ」
そう楽しく笑顔でパンフレットを見てはしゃぐ颯太を見て香織も自然と笑みが零れた。やっぱり一緒に来て良かったと。
「終わったあと落ちた瞬間に撮った写真を焼いてくれるそうだ。多分1000円くらいだと思うが、記念に買ってみようか」
「写真1枚1000円かぁ……流石娯楽施設価格だね」
「ま、そんなもんだろ。余り金のことは気にしない方向で行こう。余り気にするとレーナ達が遠慮しちゃうからな」
「うん。お互い出し合いながら行こうね」
「結局香織さんの力を借りそうだ」
「そんなことで颯太くんの株が下がるわけじゃないから、気にしないでいいよ。入場券買ってもらっただけでも悪いと思っているのに」
「ま、そこだけはな」
颯太はパンフレットをしまう。
「ん?千草ちゃん、そこキノコショトカ出来る」
「あ、うん!」
「あ!颯太!!」
「よし!よし!このまま抜かして!やったー!」
「あぁ、負けたー!!颯太ー!!」
「あ、わりい。つい、な?」
「つい、な?じゃなーい!!」
つい千草の画面に口出しをしたことによって負けたレーナは颯太をぽかぽかと殴り始めるのであった。
どうもまた太びですー!
今回から遊園地編に入っていきます。少し期間が空いてしましましたが、これからも続いて行きますのでよろしくお願いします!
えと、近いうちに新作上げるかもしれません。かも、ですから確定ではないのであしからず。
それで、新作の方は監禁デスゲームものか、それとも戦争ものかの2つのどちらにしようか凄い悩んでいて、もしよろしければメッセージや活動報告などにどちらがいいのかご意見を頂けると幸いです。
ではでは、ドロンです~




