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敏捷値が高い=強い(旧題ランゲージバトル)  作者: また太び
5章 青の領域と赤の領域(続)
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戦いの終わり


「クレアさん、後詰めよろしくお願いします」


「あぁ、任せておけ」



その場にしりもちをついて倒れた颯太は少し苦しげな様子でクレアに指示を言い渡す。



「香織はここに残り颯太を守れ。あとは私についてくるように」


「分かりました。颯太くん大丈夫?」



クレアは皆を連れて拠点へ攻め込んで行った。



「ふぅ……」


「あれを使うと反動でもあるの?」


「まぁそんな感じだ」


『うぅ……気持ち悪い………うぷっ!?おえええええ!』


『お、おい大丈夫か?』


『む、無理かも……おええええ!!』


『なんか色々と台無しだな…』


『ひ、ヒロインなのに……これじゃゲロインに―――!』


『まだ2回目だから大丈夫だと思うぞ』


『え、なにその基準…』


「もうこれで終わりなんだよね」


「ん?」



脳内で嘔吐しているレーナに苦笑していれば隣で香織が拠点を見ながらそう呟く。



「今日でこんな戦い終わりなんだよねって」


「あぁ、そうだな。一体いくつの神器が壊れたか分からない」


「うん……私を信じてついてきてくれたプレイヤーさんが何人このゲームを去ったのか……」


「一歩間違えば俺たちがやられていた戦いばかりだった。でも、これで終わりじゃない。これからも同じような戦いが続くはずさ」


「……これから、なんだよね…」


「……これからが本番なんだ…」


『おえええええ…!!』


「雰囲気ぶち壊しだな!!」


「え!?ど、どうしたの?」


「あ、いやなんでもない…」


『ご、ごめん…うぷっ…!あのね、声が気持ち悪くてクトゥルフ神話を見たレベルで現在SAN値だだ下がり中なの…』



前のレーナとは違って怨念の声に耐えられないレーナは吐き続け、それを聞いた颯太は深いため息をついた。




『本日を持ちましてイベントの終了を申し上げます!皆さん、お疲れ様でした!』



颯太達が中央拠点に戻って休んでいたところにイベントの終了のアナウンスがされた。周りのプレイヤー達は勝利に歓喜し、叫ぶ者やお互いの健闘を称えあう姿なども見られる。



「終わったか」


「終わりましたね」


「いや~疲れたね。もう1ヶ月単位のバトルアリーナはやってほしくないよ」


「全くだぜ」


「やっとマスターのところに帰れるわね。心配しているかしら?」


「さぁな。でも、今はあのジンジャエールが無性に飲みたい…」


「皆、お疲れ様」


「結果発表は明日か………ふぅ…」


「あ~気持ち悪い…」


「混沌よ、どうしたのだ」


「あははは……あれを使ってから気持ち悪いの…」



各々が勢力戦であったことを振り返り、焚き火を囲んで談笑する。



「香織さん!」


「え?」



そんな颯太達の下へ数多くのプレイヤー達が集まっていた。



「ど、どうか!この俺とフレンド交換してくれませんか!!」


「お、俺も!」


「わ、私も!」


「え、ええ?み、皆お、落ち着いて!」


「凄い人気だな。流石香織と言ったところか」


「クレアさん!俺もよろしければ!」


「おや、私もか」


「ティアさんもおなしゃす!」


「あ、あたしも?ええ…」



伊澄を除く3人が大勢のプレイヤー達に囲まれ、一斉にフレンド交換を申し込む。その絵図らを颯太達は微笑ましく見ていた。



「むぅ……なんだかちょっと悔しいかも…」


「まぁ伊澄ちゃんは部隊を持たなかったからな。ほら、あの人たち皆香織の部隊にいた人たちだぜ」


「滉介も地味に人気あるのな。意外だ」


「お前も部隊持っていたじゃん?」


「俺の部隊はレギュンの攻撃でほとんど壊滅に近かった。生き残っていたとしてもどうだろうな……俺と交換する人がいるかどうか…」


「いや、そいつは分からないぜ?」


「ん?」


「颯太さん!よろしくお願いします!」


「あ………まじで?」


「俺、颯太さんの戦い方を見てもっと強くなりたいと思いました!今度ご教授お願いできませんか!」


「………分かった」



颯太はしばらく目を白黒させてから、やがて笑顔を浮かべると颯太の部隊にいたプレイヤー達とフレンドパス交換を始めた。



「あのユキナちゃんはいないんですか…?」


「お?あぁ……今日は来てねえな…」



皆の様子を見ていた竜也の所にユキナの部隊であったプレイヤーがぞろぞろと現れた。



「……そうですか…」


「ユキナは、いるよ」


『――――ッ!?!?ユキナ様!?』


「さま…?」



伊澄が眉を寄せてプレイヤー達の後方を見ると、そこには晴れない顔をするユキナがいた。



「おお、ユキナ様!是非我らとフレンドパスの交換を!」


「うん、いいよ」


『おおおおおおお!!!』


「凄い盛り上がりだな……」


「ロリコン共め…」


「お前達!順番に並べ!ユキナ様を困らせるようなことは決してするなよ!」


『もちろん!!』


「そしてこの結束力である」


「ユキナ、来ていたのか」



やけに女性のプレイヤーが多かった滉介が先にフレンドパスの交換を終えて、竜也の隣まで来るとユキナを見つけてそう言う。



「……結構前から反応はあった…でも、クレアに口止めされていた……颯太も気付いている…」


「陰で見ていたんだな」


「なかなか出て行きにくかったんだろ。怒られたわけだし」


「………仲直り…出来るといいね…」


「あぁ、ユキナもそうしたがっているはずだ」



3人は先ほどとは打って変わって笑顔でフレンドパスを交換するユキナを見ていた。




「あはは、今度一緒にクエスト行こうって言われちゃった」


「滅茶苦茶ギルドのお誘い来たんだけど~」


「案外バレているものだな……」


「レーナの印象が良い方向に向かっていて安心した」



やがてプレイヤーとのフレンドパス交換を終えて4人は竜也達のところへ並んだ。



「あ、ユキナちゃん…」


「………」



皆の視線の先にはどう切り出せばいいか迷っているユキナの姿があり、声をかけようとした香織をクレアは手で制止する。



「あの……皆、ごめんね…」



ユキナはぺこりと頭を下げた。それを見た皆はお互いの顔を見渡し、そしてクレアは頭を下げ続けるユキナをそっと抱きしめた。



「うむ、それが聞ければいいのだ。私も少し怒りすぎてしまったところがあったからな」


「ごめんなさい」


「もういいのだよ。さぁ、颯太」


「はい――――ユキナ、改めて言わせてくれ。俺たちのギルドに入らないか?」


「……―――うん!」


「滉介ももちろん入るよね?」


「え?俺もか?」


「当たり前だ。まさか逃げないよな?」


「伊澄もだぞ」


「…うん……わたしはオッケー…」


「分かったよ。入らせて貰う」


「賑やかになってきたな」


「私たちのギルドのアジトは少し広すぎるものね。これで賑やかになりそう」



颯太はユキナ、滉介、伊澄の3人をギルドに誘い、3人はこの申し出を受けて自分のネームの上に輝光の騎士団のギルド名が表示された。



「よし、これで今日から俺たちのギルメンだ」


「加山に挨拶をしたらカナリアへ戻ろう。久しぶりに街歩きをしたい」


「そうですね。それじゃ、加山さんのところへ行こう」




颯太達は加山のいる作戦室へ足を運んだ。



「おお、これは皆さん。どうなされましたか?」


「カナリアへ戻る前にお世話になった加山さんに挨拶をしていこうかと思いまして」


「お気遣いありがとうございます。正直颯太さんたちがいなければこの戦いに決定打を撃つことなんて不可能でした」


「そんなことは…」


「いいえ、事実です。銀二も颯太さん達の力を認めていましたから」


「ほう、あの銀二がか」


「ええ、その中でも竜也さん。あなたに目をつけていました」


「え!?お、俺っすか!?」


「はい。まだ力に目覚めていないが、力が目覚めた時は混沌、氷帝、軍神を超えると」


「ま、マジっすか……とんでもねえ奴に目を付けられてしまったな…」


「ふふ、良かったな。竜也」


「その時が楽しみだ」


「兄さんが…?う~ん…」


「頑張ってね、竜也さん」


「竜也ならもっと強くなれるよ…」



皆に声をかけられて萎縮してしまった竜也に一同は笑い、加山もつられてくすくすと笑う。



「勢力戦はこれで終わりましたが、ランゲージバトルはまだまだ続きます。いずれあなた方と戦う日が来ると思うと少し辛いものがありますね」


「そうですね。でも、手加減なんかしませんよ」


「もちろんです。我らギルド一同あなた方に負けないように研究を尽くして挑みます」


「おお、怖い怖い」


「さて、物騒な話もこれまでにして皆さん、本当にお疲れ様でした。1ヶ月という長い戦いを見事勝ち抜き、青側に勝利をもたらしたことは大変偉大な功績だと思います。我がギルドを代表して御礼を申し上げます」


「加山さんの指揮があってこそのものでした。俺たちの過度なお願いにも対応してくれた手腕に脱帽しました」


「ありがとうございます。颯太さんにそう言われると私がやってきた指揮も無駄ではなかったと思えますよ」


「加山さん、お疲れ様でした」


「ええ、あなた達と共に戦えて私も楽しかったです。また共闘するようなことがあればその時はお願いしますね」


「はい、こちらこそ」



颯太達は加山と最後に握手を交わして作戦室を後にした。



「皆、カナリアへ帰ろう」


「おう」


「うん」


「やっとだね」


「久しぶりのカナリアだな」


「リアル1ヶ月ぶりになる…」


「マスターの店に行くか…」


「アジトで休みたい気分~」



颯太は皆を連れて城の地下に行き、今まで閉ざされていたカナリアの広場へ繋がるワープゲートへ飛び込んだ。



「う~ん!!この街並みひっさしぶりー!」


「では、一度解散と行こう。私は露店に行きたいからな」


「あ、私も一緒に行っていいですか?お金がたまったので神器強化を…」


「あ、ユキナもー!」


「いいぞ。ではな、また会おう」


「俺も行きたい場所があるから、またな」


「俺はアジトで休むぜ」


「わたしも……アジトの中が気になる…」



広場に戻るなり、皆は久しぶりのカナリアを謳歌するため別れを告げて人波に消えていった。



「颯太はどうするの?」


「俺か。ん~………フリーエリアでも行ってみるかな。なんだかんだで後回しになってしまったからな」


「あ、それならあたしも行こうかな。颯太、初めてでしょ?」


「そうだな。ティアがいれば心強い」


「えへへ……なら、いこうか」


「あぁ、行くか。あそこレイドボスがいるとか聞いたぞ」


「いるね。デバフがうざったい奴とか」


「俺は効かないから関係ないな」


「ずるい!これだから2世代目は…」


「効かないんだから仕方ないだろ」


「運営さん!今すぐ修正すべきだよ!」


「ん?それはそれでいいな」


「え?」


「だって、デバフが効くってことは即死も入るだろ?つまり俺の即死が問答無用で―――」


「あー!ダメダメ!やっぱり修正しなくていい!あ、いや?う~ん…!」


「どっちなんだよ…」



颯太と詩織はそんな会話を繰り広げながら王城へと向かうのであった。

どうもまた太びです!スプラトゥーン発売により、少々時間が空いてしまいました!


今回は勢力戦の終わり、ということでした。まだまだグレイヴとの決着や銀二たちが率いるギルドとの対決もありますので今後の展開にご期待ください!


では、ここからの私事です。

スプラトゥーンめっちゃ楽しいです。何が楽しいかっていうとボムでのガン待ちが楽しくてハゲてしまいそうなくらい楽しいです。

ボムの距離を伸ばし、攻撃力アップを積む……これだ(日向


イカになって隠れてボム飛ばしで撃墜を稼ぐ。もう楽しくて楽しくてやばいですね。

現在品切れが続出しているそうですが、また太びの地域ではそんなことありませんね。いわゆるそれも品切れ商法というものなんですかね、任天堂さん

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