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月の娘、太陽の王妃  作者: 如月 四季
月光の民の娘
2/19

第1話

主人公の公爵家での今まで、です。

私の一日は朝日が昇る前から始まる。


このフェルマン公爵家に来てから一年、午前の二時間だけ礼儀作法や魔法の勉強に使う以外はすべてメイドとして屋敷で働いてきた。正直私を魔女にしたいのかメイドにしたいのか分からなくなるくらい朝から晩まで働いている。家政婦長や家令の罵声に耐えながら。

私をこの屋敷に連れてきた公爵は私を嫌っているから、自然と公爵家の家人も辛く当たるのは当たり前といえば当たり前なのだけれど。自分に味方してくれる人が一人もいないというのは、23歳になり、いわゆる大人と世間一般では言われる年齢になった私でも、ちょっと堪える。


そもそも私は月光の民と呼ばれる、世界一の魔力と歴史を持つ種族の生き残りらしいのだ。

その証拠が夜色の真っ黒な髪と瞳。

世界中探しても黒を持つのは月光の民だけ。

その大きい力ゆえに恐れられ、迫害されし種族だ。


国力の無いこの国は私の魔力を使い何をするやら、他国の王侯貴族の見世物にするのか、軍事面で兵器として魔法を使わせるのか、そんなことは興味が無いし、どうせろくでもないから考えないようにしている。



とにかく、こんなメイドの真似事をし勉強という名の拷問を耐えしのぎ、屋敷の人間にほぼ総無視(一部はいじめ)をされながらもこんな場所でおとなしく従順にしているのは、ただただ妹のためである。



迫害され一族で世界中を逃げ回り、いつのまにか姉妹二人だけになってしまった。

私たちに帰る場所も逃げ場所もすでに無い。

「私がこの国の言いなりになれば妹には手を出さない」

そうこの国と契約し、もうすぐ一年。


このまま言いなりになっていれば、私はとりあえず食うに困ることはないし、妹は差別を受けながらも、生活の面倒は見るとの公爵の言葉通り、暴力などにも遭わず、生活にも困らないだろう。同じ国に、町にいれば、一瞬でも会う機会があるかもしれない。それだけを希望に、毎日を生きていた。



そう、この時はまだ知らなかったのだ。

まさか私が魔女ではなく王妃と呼ばれるようになるなんて。



次から登場人物が一気に増えます!

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