第16話
だいぶ短いですがキリがいいのでここで投稿します。
私と陛下では魔法の使い方が違う。
私たち月光の民以外はみんな陛下と同じ魔法の使い方だから、魔法の使い方を変えるということは、文字通りこの世界の『魔法』に関わる全てを変えることになるだろう。
それでも、やるしか方法はない。
「では、自分の魔力に精霊の力を合わせて魔法を使うというのか?」
一通りの説明の後、陛下は目を見張ったまま言った。精霊を使役することでしか魔法を使えないと思っていた彼からすれば、信じられない話なのかもしれない。
「『精霊を敬うこと』、『魔法の使い方を変えること』この二つがこの国を変えることになるかと思います。」
「そしてこの二つは、同時に行わなければ意味がないのだな?何故なら、魔法を使うために精霊に協力してもらうためには、信頼関係が不可欠だから。」
「その通りです。好いてるもの以外に、彼らは力を貸しませんから。」
「果てしないな・・・・・。だが、やるしかない訳か、それ以外に道がないのなら。」
「・・・・・道は、他にはありません。少なくとも、私には思いつきません。」
「そうか・・・・・。」
陛下は、顔を覆って項垂れた。さぞ、頭が痛いことだろう。魔法大国だからこそ、『魔法の使い方を変える』ということは、世界を変えることに等しい。そしてその変化は、一朝一夕で変えられるものではない。精霊の信頼を得るのには、何年もかかるだろう。それを、この皇帝は成し遂げなければならない。
でも、精霊のためにも成し遂げて欲しい。
「陛下、今までのように、魔法を使ってみていただけませんか?」
「何故だ?精霊にとっては苦痛なのではないのか?」
「ええ、ですからできるだけ小さな魔法を。」
訝しげな表情をしながらも、陛下は右手を翳し、手のひらに光の球を生み出した。でも、生み出されたのはそれだけではない。
私は、陛下の右腕にそっと触れた。
視界の端に、驚愕の表情を浮かべた陛下が見えた。
私から触れたのが初めてだったからだろう。
それを半ば無視し、私の魔力で陛下の右手付近を覆った。
陛下の表情が強張った。
右手には、苦痛に顔を歪めた小さな精霊がいたからだ。手のひらに乗るほど小さな精霊は、それでも悲しい顔で陛下を見つめている。
どれくらい見つめあっていただろう、陛下が唐突に魔力を切った。両手で顔を覆い項垂れる。その手は、少し震えていた。