表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無能才媛と蔑まれた私の魔力が【聖癒】だと誰も知らない~婚約破棄されたので、隣国の不治の病に苦しむ皇子をこっそり救いに行きます~  作者: 九葉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

第2章 最終話

十月とつきの時が流れ、エルミット王国は、新しい王子の誕生に沸き立った。

生まれた子は、父であるレオルド譲りの黒髪と、母であるわたくし譲りの、陽だまりのような金色の瞳を持っていた。


その瞳は、ただ色が似ているだけではない。

彼は生まれながらにして、【聖癒】の力と、エルミット王家の強大な魔力、その両方を併せ持って生まれてきたのだ。

それは、大地を司る精霊エリアーデからの、祝福の証だった。


「……見ろ、セレスティア。俺たちの息子だ」

「ええ……。とても、可愛い……」


腕に抱いた小さな命の重みと温もりに、わたくしは、言葉にならないほどの愛しさを感じていた。

この子がいれば、もう、未来を憂うことは何もない。

たとえ、わたくしたちがいなくなったとしても、この子が、その力を正しく使い、この国を、そして世界を守っていってくれるだろう。


数年後。

エルミットの庭園には、幼い王子の手を引きながら、穏やかに微笑むわたくしたちの姿があった。

王子は、わたくしの周りをきゃっきゃっと楽しそうに走り回り、時折、その小さな手から金色の光を溢れさせては、庭の花を元気にしていた。


「こら、あまり力を無駄遣いするものではないぞ」

レオルドが、父親の顔で優しく諭す。

しかし、その目元は、息子が可愛くてたまらない、といった様子で緩みきっていた。


かつて『氷の皇子』と呼ばれた彼の面影は、もうどこにもない。

彼は、賢君として国を豊かにし、民から深く敬愛され、そして、何より家族を愛する、最高の国王であり、夫であり、父親だった。


ふと、空を見上げる。

エルミットの空は、どこまでも青く、澄み渡っている。

遥か彼方のグランデールもまた、豊かな大地を取り戻し、人々は平和な日々を送っていることだろう。


わたくしは、静かに自分のお腹に手を当てた。

そこには、第二子となる、新しい命が再び宿っていた。


(大丈夫。もう、何も怖くない)


わたくしには、愛する夫がいる。

可愛い子供たちがいる。

わたくしを信じ、慕ってくれる、たくさんの民がいる。

そして、この大地を、いつも優しく見守ってくれる、精霊の友がいる。


『無能才媛』と蔑まれた私の魔力が【聖癒】だと誰も知らない――そんな孤独な日々は、もう終わった。

私の力は、私の価値は、愛する人々と共にあり、未来を照らす希望の光となる。


「どうした、セレスティア?」

レオルドが、不思議そうにこちらを見ている。


わたくしは、彼に、そして息子に、人生で最高の、太陽のような笑顔を向けた。


「いいえ、何でもありません。……ただ、幸せだな、と」


――これは、絶望の淵から這い上がり、自らの手で運命を切り拓いた、一人の令嬢の物語。

そして、彼女が、愛する王と共に、数多の困難を乗り越え、やがて伝説の女王となる、始まりの物語。


太陽の血を継ぐ者たちの伝説は、これからも、永遠に続いていく。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

★~★★★★★の段階で評価していただけると、モチベーション爆上がりです!

リアクションや感想もお待ちしております!


ぜひよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ