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私が前にでて、違和感を持った時点で曲を止める。
もちろんアクロに関してはきちんと最後まで飛ばせてからだ。
うちの事務所は基本的に中学三年生で、専門のコースを選べるし私みたいにメインでお仕事をするモノを決めて他の種類のお仕事に挑戦をさせてもらうということもできるし、裏方のお仕事振り付けだったり演出だったり興味があれば勉強も兼ねて事務所主催のライブや舞台などの裏方に関わらせてもらえる。
アクロも自分の武器としての一つだし、俳優にしてもアクションモノの時に非常に役に立つ。
一曲を通し終わったあと残ったのは、咲弥を含めて5人。
咲弥以外は全滅の可能性を考えていた私としては、予想外の収穫だった。
「はーい。最後まで踊り切った5人は休憩してねー。落ちたメンバーは最後まで残った5人と比べて自分の何が悪かったのか考えてみて。ヒントは技術とかじゃないから。」
そう言って、私はリョーさんのところに向かう。
「リョーさん、あの4人の情報が欲しいんだけれど。全員アイドル部志望なのかな?」
レッスン室の隅で私の、チェックを眺めていたリョーさんに話しかける。
「えぇっと、狩野海斗、野目瑆が中3。咲弥の左側で踊っていた2人。紅一点が寺光唯中2、最年少の岩田雅史中1。先月した部門希望の面談だと全員アイドル部志望だな。」
「ふーん、そうかぁ。大技はできないにしても、アクロもできる。ちょっと話してみようかな〜・・・・。リョーさんありがとう」
「どういたしまして。」
リョーさんと話したあと、脱落組のところに戻り話を少ししてそれぞれがだした答えを元に関して私は否定はしなかった。
ただ、“ダンススキルは関係ない”と伝えたことからそれぞれ、考えて次はダンスに表現するするだろう。
今日は、最後に一回通すことはせずに解散をし次回のリハの時にその成果を見せてもらうように伝えた。
次はルテラの4人と一緒のリハになるし、残念ながら私は私のリハーサルで遅れての参加になるがそれは仕方がないことだと思っている。
今日のリハーサルが終わって私は、アイドル部へ向かった。
咲弥も一緒にアイドル部にやってた。
私と咲弥がアイドル部に来る事はそんなに珍しいことではない。
ルテラのバックには仕事が被らない限り、踊っているのでアイドル部の事務の人とは顔見知りである。
「ナギさん、お疲れ様です。今お時間いいですか?」
と、アイドル部の一番上の役職の柳沢さんのところへやってきた。
「梛月ちゃん、咲弥くんお疲れ様。何かあった?」
「今回ルテラのバックに付く子達の中で、私のチェックに最後まで残った子達がいて、リョーさんに名前を聞いてきました。」
と、先ほど振り付け師のリョーさんに教えてもらった4人の名前をメモった紙を渡す。
「男女混合グループはどうだろうと思いまして。今の所4人ともアイドル部志望らしいので、最年少が高校に上がる3年の間に活動をさせてみてもいいと思います。アクロもできるし、何より私のチェックと咲弥のダンスについてこれたから、ポテンシャルは非常に高いと思います。ルテラの専属バックにしてもいいくらい。私はオススメです。」
「俺も、この4人は一緒に踊ってて、踊りやすかったです。」
一緒に踊ってい咲弥からの感想も聞いてナギさんは、一度こちらからも確認してみる。
と返事をしてくれて、同じアイドル部の人間を呼んで日程を調整してみるとのことだった。
そのまま、咲弥と一緒に寮に戻れば晩御飯を一緒に作って、“桜組”チャットグループに、4人の名前を送信した。
主に恭弥くんにとって有益な情報ではあると思う。
ルテラ自体が、アクロバットとダンスを得意とするグループでそのグループのバックダンサーに選ばれるのも、アイドルとしてのデビューはもちろん近くはなる。
その中で、私のダンスチェックの基準はルテラのダンスが基準となっているのでレベルは高い基準でのチェックになるそうで、うちの事務所の振付師もアイドル部門の事務局も、私がイイ!と言った子は気掛けてグループを組ませて活動をさせる。
結果、そのままデビューしてして人気アイドルになる事が、私が入所してそういうのを言い出してから外れた事がないので、会社側も私の話を聞いて研修生の育成に活かせいてもらえている。
なので、今回私と一緒に踊る後輩達は自分たちのデビューに一歩近づけるチャンスにもなるのだ。
そのことを正直知ってほしいし、意識して欲しいなと思うのは私のエゴかもしれないけれど、事実デビューという結果につながっているので、間違っていないとは思っているから“自分のイイな”は、えらい大人に共有するのがクセになっている。
咲弥も、あの4人に進展があればいいよね。
という会話をしながら、宿題や本読みをしてその日は眠りについた。