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病院から直接向かったのは、ドラマの撮影スタジオ。


「おはよーございまーす。」


と咲弥と準備をして収録場所に入れば、目についたのは桜我と櫻井さん。

まぁ、私は何も知らないし無視をす事にした。桜我に関しても申し訳ないが無視だ。


「そういえば、今どういう状況なの?」


2人から離れた場所に用意された椅子に座って、台本を確認しながら会話の内容は昨日のこと。


「決定的な証拠は出てきてないから、被害届とか出せないから本人からの聴取待ち?」

「それでなんで、あの子はここに居れるの?」

「警察と、うちの事務所の人間の話と向こうの事務所の話の最中だから?なので俺たちは向こうの事務所の人間に完全な血縁関係以外は接触禁止が出ております。」

「なーるほど?スタッフさんにはご迷惑をおかけしますね~。」

「気にしなくてもいいんじゃない?俺、あの子嫌いだから。今後俺達あの子と共演NGになるよ。」

「ならなかったら、びっくりだわ。」


なんて話をしながら、撮影の内容を確認する。

あの2人の撮影はすでに終了しているらしいので、櫻井さんは帰る予定である。

この後のシーンは私と桜我からの、3人で咲弥と桜我のバチバチシーンと、私と咲弥のシーンの3つ。

咲弥はお父さんとのシーンもある。


まずは、桜我とのシーンから。別に問題のないシーンだし、いつものやりとりというか桜我のキャラクターからのアプローチシーン。

セットの中に入って、監督さんと位置確認など動作確認をしたりして、桜我とのシーンに挑む。


『彩聖さん、今日も綺麗ですね~。』

『はいはい、いつもありがとう。五十嵐くん、調書はできたの?』

『できてます!今回はやり直しないはずです!』


と、桜我を見上げながら書類を受け取り確認をする。


『本当だね。よくできました。じゃあ、今日はこれで終わり。お疲れ様。』


片手で背伸びをして、桜我の頭をワシワシと撫でる。

書類から視線を上げれば、近距離にある桜我の顔に後ろに後ずさる。

持っていた書類でベシっと、顔を軽く叩いて“距離感!”とクレームを出す。

机と桜我に挟まれて抗議を出しながら、その隙間から抜け出すことは今のところできない。


『ちょ!五十嵐くん!!』

『・・・彩聖さん、瀬古さんと夫婦なのは知っていますが、俺やっぱり好きです。』

『私は、劉生一筋だから、浮気なんてしないし別れるなんてあり得ない。だから五十嵐くんの気持ちには応える事は100パーセントなっ・・・・。』


と思ったら、桜我の体が急に離れて床に転がった。

監督の“OK”の合図が出て、はぁーと力を抜く。

あの子は帰るんじゃなかったのかな?

なんて思いながら、メイクチェックをしてもらってそのまま3人でのシーンに移る。


『彩、今日の仕事は全部終わった?』

『え?あ、うん。』

『じゃあ帰ろうか。』


と私を桜我の視線から隠しつつ帰り支度をする。


『五十嵐さん、オマエ何やってんの?なに、人の嫁口説いてんの?俺に喧嘩を売っているってことだよなぁ?』

『劉生ちょっと。』

『彩は黙ってて。』

『夫婦でも、俺が彩聖さんを好きでいちゃダメな理由はないでしょう?』

『彩を好きなのは勝手にしろ。気持ちはお前のだからな。だが、それ以上を望むのは筋違い、俺は彩を手放すつもりはないし、渡すつもりもない。彩に手を出すやつは全員敵だ。当たり前だろう?彩は俺の唯一だからな。彩、帰るぞ。・・・・彩?』

『ちょ、ま、』


顔を真っ赤にした私の顔を見て、先ほどまで怒気を含んでいた雰囲気が一気に柔らかくなる。

にこーと笑みを浮かべた咲弥に手を引かれてその場から離れた。






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