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小さい頃から痛みに強い梛月は、今回の階段から落ちても意識はしっかりあって、衝撃で話が出来なかっただけで病院に着いて、検査が終わる頃にはいつもの調子に戻っていた。

戻っていたけど、完全に身内が各方面に動き回っていたので犯人はすぐに判明しそうだという事だった。

おおよそ全員の予想の人物の可能性がある。

と、いう事を踏まえて病院のベットでぐったりしている梛月の隣座った俺は少し梛月が落ち着いて話せるように何も言わず、手だけを握っている状態だ。

ちなみに、梛月が検査を色々受けている間に叔父さんが到着をした。叔母さんと一緒にいる時だったらしくて叔母さんを、母さんに預けてから病院に来たそうだ。

ちなみに俺の母さんは梛月に何があったのか事情を知っている。

全てが明らかになってから、叔母さんには話す予定だそうだ。

俺達も全部が全部わかっているわけじゃないので、テレビ局で調べている身内とマネージャー達からの情報提供を待っている状態だ。


「梛月ー、今日は念の為に入院になったから。入院手続きしてきた。」

「ありがとう、お父さん。ごめんね。」

「ん?梛月が謝る事じゃないよ。謝るべきは梛月に怪我をさせた人間だよねー。で、犯人見た?」

「頭を庇うのに精一杯で、よく見てない。」

「梛月、俺今日ここに一緒に泊まるから。明日現場入り一緒だったでしょう?一度家帰って準備して戻ってくるから蒼吾叔父さんと一緒にいてよ。どうせ、止めても仕事するっていうんでしょ?」

「先生から許可が出ればね。検査結果、骨折とかはないらしいから、あれだね、身体鍛えててよかった。」

「とにかく、いい子でいてよ?」

「うん。」

「なんだろう、咲弥も俺の息子だったか?」

「違いますー。」


蒼吾叔父さんに話すと、病室を出た。




「それで、大事な話なんだけれど犯人に心あたりはある?」

「んー、ある。あるけどなんでここまでするのかな~って思う。簡単にいうとね、私の好きな人とその子の好きな子が同じ人で、恋敵なんですわ。で、その子より私の方が仲がいいから、それが気に入らないって事なんだろうけど、気に入らないのはお互い様だからいいのよ、それを仕事に出してくるのは気分が悪いし、プロとしての意識が低すぎる。」

「梛月に好きな人がいるのはショックだけど、でも俺22で結婚したからなー。好きな人がいても当然か。」

「そうなのよ。あ、ちなみに相手をどういう対応するかは会社に任せるけど、とりあえず一発ぶん殴りたい。が私の希望です。」

「その、やられたらやり返すの、姉さんの考え方。でも、梛月の希望はわかった。」

「お父さん、ぎゅーして。」


両手をお父さんに向けて伸ばせばぎゅーの前に抱き上げられた。痛み止めの点滴は繋がっているが支障が出ないように抱き上げてくれて、お父さんの首にぎゅうっと引っ付く。

下手をしたら、仕事に支障が出て撮影に影響が出て監督やスタッフに迷惑をかけるところだった。


「・・・・怖っかった。」

「そうだよな。怖かったな。でも護身術も習ってたから無事だったし、身体を鍛えてたから打撲はあるけど骨折もない出血もない。痛みはあるだろうけど生きてるって事だから。無事でよかった。」

「うん。来てくれてありがとう。」

「娘の事なんだから、俺がくるのが当たり前だろう?結月ちゃんには俺からちゃんと話すから大丈夫だよ。結月ちゃんの事は気にしないで、自分の身体の事を考えなさい。」

「うん。撮影では助けてね。」

「当然。でも父さん見たくないシーンあるんだよなー。」

「それは見なくてもいいと思う。」

「大人になったからな、そういう演技も出てくるよな。」

「お父さんは、そういう時何考えてる?」

「相手をね、作品の中の最愛の人と思い込むか、苦手なお相手だった結月ちゃんとして接してる。そしたらね、いい表情できるんだよ。」

「それでもいいの?」

「いいのいいの。役に入り込めない時は、最愛の人と重ねるんだよ。」


お仕事の話をしながら、背中を撫でられればうとうとしてきて、そのまま寝落ちをしていたらしく、目を覚ましたら、ソファに毛布にくるまって寝ている咲弥と、同じく別のソファに座って寝ているお父さんがいた。

ベッドの上で身体を起こして、手を握ったり肩を回してみたり、首を回してみたけれど、痛みが多少あるだけで動く足も問題なく動く。

なので、ベッドから降りて立ち上がる。

ふらつきとかもない。屈伸とか基礎的な動きは問題はなさそう。

2人が寝ている間、朝ごはんを食べる前に再度精密検査をしてもらった今日の仕事に行っていっていいかと相談をした所、激しい運動は1週間は禁止と言われたけど、今週は軽い殺陣だし、日常パートの撮影が多かったはず。

ドラマとレコーディングなどもこの1週間は詰まっているので、おそらく大丈夫だろうと考えている。

診断書を持って、病室に戻れば朝食が準備してあって2人を起こして朝食をいただいた。

ちなみに診断書はお父さんに一通、自分の事務所に一通提出予定なので一通はお父さんさんに渡した。


「今回の件は、全部会社の上層部の判断になるから。もちろん梛月の希望は伝える。」

「うん。よろしくお願いいたします。しばらく謹慎処分でいいと思っているんだけどね。」

「甘くない?」

「興味ないから、知らない。あんな子に私は負けたくないのよ。」

「俺は、事務所で昨日の話し合いをするから、撮影は終盤に参加するから。よろしく。」

「はーい。よろしくお願いいたします。」


ご飯を食べて、退院の手続きを完了させて病院からタクシーで私たちは撮影現場へ、お父さんは事務所へ向かった。

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