トラブル?仲直り??
桜我とお出かけをした日から、1ヶ月。
ここまで桜我と連絡を取らなかった事はない。
だけど、その間にやっぱり桜我への“好き”の気持ちには変化はない。
ただ、咲夜の意見でその通りに行動している。
ちなみに、桜我に近づかないイコール昴くんと月都くんとも挨拶しかしない。ということになるので、2人には「ただいまチェリームーン組は喧嘩中です」
と宣言はしていたので、私と咲弥へは特に苦情は入ってきていない。
「ユニットでも組む?」という冗談から、ドラマで共演をすることをキッカケに私に来た主題歌を咲弥と一緒にユニットとして歌ってもいいかとプロデューサーに相談したら、話題になるという事で期間限定でユニットを組んで、歌番組を一緒に出演するということになった。
ユニット名は“Lyra”。ライラック由来だったりするけれど、うちの事務所には珍しくお花の名前で‘驚いた。
ドラマが放送開始するのは1ヶ月後。
すでにドラマ自体にはクランクインをしていて、撮影も順調に進んでいる。
このドラマの主人公は、頭脳派捜査官の瀬古琉聖と、武闘派の妻 綾瀬の公私共にバディな2人が事件を解決していく物語だ。
そんな2人の同僚役に櫻井すずと、桜我という今最も集まりたくないメンバーでレギュラーメンバーを飾る。
片思いから恋人とかのドラマは今まで多かったけれど、初めから夫婦役というのは新鮮で、その夫役がまさかの従兄弟というのにも驚いた。
ドラマの内容としては、お互いの両親を殺した犯人につながる手がかりを探しつつ、日々起こる事件を解決していく、よくある内容で相関図的に私と咲弥が夫婦役、櫻井さんと桜我が両片思いをしている同期を演じる。
アクションシーンも多くあるが、恋愛シーンも含まれている。
そして今回の監督プロデューサーさんは、最強遺伝子のファンだそうで、メインの配役以外にも遺伝子チームのメンバーが参加する。
私たちの上司がお父さんのあたりその辺りはガチだと思っている。
エンディングテーマはフロンティアが担当する。
挿入歌は、ノスタルジアやルテラが担当をしていて、歌に関してもかなり豪華だろう。
つまり、ライラ、フロンティア、ルテラ、ノスタルジアの4組はドラマ開始直前から曲の初登場の歌番組があるだろうし、気持ち的にこのドラマは気を抜けないような気がする。
顔合わせをして、リハをして、収録が始まってつまずいたのは、櫻井さんの殺陣の技術が少し足りていない事。
足りていない部分は、桜我が丁寧に教えていたりしているので、私と咲弥はそちらを見ないように同じ事務所のメンバーで撮影が機材トラブルとかで止まった時には集まるようにしていた。
「チェリームーン組はまだ冷戦中?」
「冷戦中。まぁドラマもクランクインしたからここは仕事に支障が出そうになったら、休戦しようと思ってる。」
「桜我が何を考えているか分からないからな。でもそろそろブロック解除してもいいかもしれない。」
と咲弥はいう。
あの日、おおよその状態を理解した咲夜は、桜我を反省させるために作戦を実行している。それでもお仕事に支障が出るかもしれない場合は、一時休戦をしてもいいというのだ。
「咲弥と夫婦役ってかなり新鮮なんだけれど。」
「それは、思う。友達、幼馴染、相棒はたくさん演じてきたけど、夫婦は初だよな。」
「でも、家の状態とプライベートシーンなんて、素の寮での過ごし方なので1番演技がしやすいよね。」
「実家にいる時の状態だよな。」
「恭弥くんのところも似たような状況でしょ?」
「うん。同じ。あそこの殺陣がスムーズにいけばいいよな。」
「あれはもう、練習と相手との息が合うかが1番大事だよね。」
「バディモノは本当にそうだよね。」
桜我と櫻井さんが殺陣の確認や演技の確認をしている距離の近さに、心がズキズキしてうまく見られない。
ネットの噂通りあの2人はお似合いだと思う。
思うけど、しっかり振られて次に進みたいので、そのタイミングをしっかり見はからっている。
ちなみに私が演じる綾瀬は、桜我演じる大和から横恋慕されてる。
夫がいたとしても、構わない系のキャラクターで懐いた相手には全力で構って欲しいから仕事を頑張る大型犬のようなキャラクターで、櫻井さんが演じる千鶴は大和に片思いをしている役だ。
なので、咲弥が演じている琉聖と、大和は仕事以外はバチバチしているキャラクターとなっている。
現実にもリンクするドラマの内容に対して、気持ちの持っていきようだけ意識している。
何事も問題なくこのドラマ撮影がオールアップする事を願いながら、撮影の日を過ごしていくようにしている。




