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ドラマのオールアップ後にやっと、桜我とオフが重なったのは例の7話放送の翌日。
2人で出かける予定の前日のドラマを咲弥と一緒に観ていて、珍しく桜我から感想が届かなかった。
ドラマ終了後にドラマの公式から、咲弥アドバイスの動画を2本上げてもらっている。
最強遺伝子達のグループはある意味大荒れだったが、それぞれ感想をきちんと送ってくれた。
その中で共通しているのは“琥珀を締める”というモノ。その発言は恭弥くんだったけど今度、共演した時のトーク荒れそうだなぁと、思う。
ちなみに、私の場合は事前に報告をすることはしない。咲弥は演技相談とかするからお互いのドラマのおおよその内容を理解している。
実際その内容を知っている状態で、咲弥はドラマを観るしなんなら演者として一部ドラマを見てくれるから、咲弥からの感想は、“めっちゃ、エロくできたね”。だけだった。
「これ、桜我観てるよね?」
「仕事で観られなくても録画してるだろうし、少なくともグループに連絡が来なくても、俺個人には連絡がきそう。」
「うーん、この後に及んでなんかソワソワする。」
「大丈夫、大丈夫。桜我も恋愛ドラマ出てるし、キスシーンだってしてるんだから大丈夫。」
「いざ告白するって思うと、ドキドキするよね。」
「そりゃそうだよ。」
「まじで、慰めてよ。」
「だからなんで、フラれる前提なのよ、あなた。」
「仲良しだけど、友達としてからだと思うじゃん?だって、桜我と咲弥への接し方同じなんだよ?むしろ他の女の子に対しての対応の方がめちゃくちゃ、紳士なんだよ?ずるい!」
「ずるい!!あはははは。まじ、桜我に対しての恋心自覚した後からその辺の感情素直にいうようになったよね。俺は、面白いけど。」
「面白がらないで!咲弥にしか言ってない。」
「他に言ってたら、そっちの方が心配だわ。とにかく、大丈夫。いつも通り一緒に楽しんで来なよ。」
「遊ぶのは全力で遊んでくる!いるかとお魚いっぱい見てくる!ネコカフェも楽しみー」
「それは、俺も行きたかった。今度俺とも一緒に行こう。」
「行こ行こ!」
そんな前日に会話をしながら、迎えた桜我と出かける当日。
結局桜我からの感想が届くことはなかったので、私と咲弥は桜我はまだ観てないと結論づけた。
「忘れ物ないー?」
「大丈夫。おかしくない?」
「おかしくない。ドラマの役より可愛い。」
「ありがとう!じゃあ、行って来まーす。」
「いってらしゃい!」
玄関で咲弥に見送られて、待ち合わせ場所に桜我は車で迎えにきてくれた。
「おはよー桜我。お迎えありがとう。」
「おはよう、なっちゃん。どーぞー。」
と助手席の窓を開けて挨拶をすると、そのまま助手席に乗り込む。
いつもは3人で出かけるから、運転は3人で交代したり後部座席に座ったりする。
「じゃあ、しゅっぱーつ」
「レッツゴー!」
といつも通りのノリで、ドライブがスタートする。
最初の目的地はネコカフェ。私も桜我も動物大好きなので、ネコカフェとか楽しみでしかない。
「そういえば、咲弥が今度は3人で、今日と同じコースで出かけたいって言ってた。」
「咲も動物大好きだよな。」
「最強遺伝子達の中で、小動物苦手なのは昴くんだから。昴くんも動物は大好きなんだけど、小動物はね扱い方がわからないかららしい。」
「いい事聞いた。」
「昴くん逆襲ひどいから、あまり揶揄しないといいよ。」
車内での会話は基本的には、最近の仕事の話や今度3人でここ行きたいよね。
という話ばかりしていた。
昨日のドラマの感想を聞きたいけれど、それは最後でいいかと思う。
郊外にある人気の猫カフェについた私たちは一応、キャップと伊達メガネをかけた。
キャップの穴からポニーテールにしてる髪の毛を出して、2人で猫カフェに入店した。




