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寮に引っ越しきた翌日、朝も早い時間から恭弥くんと柊弥くんに電話で起こされた。
昨日確かに今日1日のプランは2人に任せていたし、事務所から2人へ私達に対しての依頼もあったらしい。
私と咲弥は自分たちのマネージャーから、明日は兄2人に大人しく流されておいで。
と連絡がきていた。
時計を見れば、朝6時半。
休みの日くらい後2時間は寝たかった。
と内心愚痴りながら、出かける準備をして家の戸締りをすると、咲弥と一緒に恭弥くん達の家のインターフォンを押す。
ちなみに寮内では、行動規制はないので友達の家に泊まりにいくとか、一緒にご飯を食べるなどは全然問題ない。
ただし、親族でない限り異性の家のお泊まりは禁止である。
それはそれで常識の範囲だよね。としか感想だけが浮かんだ。
インターフォンを鳴らしてすぐに出てきてくれたのは、朝から元気いっぱいの恭弥くん。
キッチンの方では、柊弥くんが朝ごはんを作ってくれているらしい。
「おはよう。咲弥、梛月。」
「おはよう、恭弥くん」
「おはよう、恭弥。」
部屋に上がれば、出来上がった朝食をテーブルに並べてくれていた柊弥くんにも挨拶をした。
本当は、朝ごはんを食べてからの合流予定だったのだが、疲れているだろうからと柊弥くんがご飯を作ってくれたらしい。
疲れ具合で行けば全員同じだと思うのだが、環境の変化って意外に疲れに出るんだよ。
と言われた。
三兄弟プラス私の4人で久しぶりに一緒にご飯を食べる。
「今日は、日用品や学用品の買い物も行くけど、咲弥は次回ドラマ、梛月は歌手デビューの関係で朝イチ俺らが利用している美容室にまず行きます。その後は郊外のホームセンターと本屋さんに行きます。
本屋さんは、俺の用事もある。」
「朝から美容室。」
「可愛くなってから、お買い物行こうね。」
と柊弥くんに言われれば、“うん”と肯定しかできないし、そもそも事務所からの指示ならばそれに従うだけである。
後片付けはみんなでやって、恭弥くんの運転でやってきたのはこじんまりとした美容室。
外見はおとぎ話とかにでえてきそうな雰囲気のケーキ屋さんかと思ったのに、美容室らしい。
メルヘンでとても可愛い。
4人一緒に店内に入れば、可愛いを詰め込んだような外見の女性が待っていた。
「おはよう。いらっしゃい、恭弥くん、柊弥くん。」
「お久しぶりです、夏樹さん」
「おはようございます。夏樹さん。」
「ん?あれ??」
「え?」
女性からと思っていたら、ハスキーなお声で私と咲弥は驚いた声をあげてしまった。
「初めましてー。Angeの店長してます、灰谷 夏樹37歳、可愛いもの大好きな生物学上男でーす。ちなみにこの世で一番可愛いのは、奥さんです。」
とニコニコハイテンションで自己紹介をしてもらった。
「ごめんなさい。可愛い女性だと思ってたので…。初めまして。長谷川 梛月です。15歳です。今日はよろしくお願いいたします。」
「伊集院 咲弥です。同じく15歳です。よろしくお願いいたします。」
自分の思い込みと違ったことに謝罪をする。
事務所には可愛い男性がたくさんいるので私も咲弥も、どんな外見でも気にはならない。
「いいのよ〜。それで今日はどういうオーダー?」
「はい、これ。事務所から預かってきた2人の今回のカラー資料。メニューは予約の内容通りでお願いします
。」
「恭ちゃんは毎回細かい資料を持って着てくれるから助かるわ〜。それじゃあ、お席にご案内〜。」
と、私と咲弥は席に案内された。
私も咲弥も、カットとカラーをするらしい。仕上がるイメージは想像があまり付かないけれど、それも楽しみだとワクワクした。
私の担当は、夏樹さんではなくて夏樹さんの奥さんである莉央さんが担当をしてくれた。
夏樹さんと身長が同じで、美人さんよりの可愛いという雰囲気で、笑顔が素敵な方だった。
2人の雰囲気とか笑い方が似ていると思った。
夫婦ってやっぱり似るのかな?
とか、お仕事の話とかお話をしている間に、イメチェンは完了した。