夏恋
高1の冬におきた、気持ちの異変について少し様子を見始めて早一年半。
高校3年生の夏休み。少しっていう期間じゃないかもしれないけれど、仕事が落ち着いた時期にどうもイライラモヤモヤする傾向があると自己分析。
単純な私は、仕事が忙しければいいのか。と考え、学業に支障が出ない程度にぎゅうぎゅうに詰め込んだ。
今年の一月からはドラマにも出演をさせていただけるようになり、クラスの中では咲弥、桜我に続いて中々ハードな学生生活をしているな。と、自分でも思っている。
桜我が所属しているフロンティアがデビューして1年記念ということで、夏休みに入ってからフロンティアを見ない日はない。
今年のお盆は、フロンティア所属の従兄弟の昴くんと月都くんが合流できるかどうかわからないと先週連絡が来ていた事を思い出す。
そんな高校最後の夏休みは、普通かの愛美ちゃん達と映画やカフェ巡り、買い物に行く約束はしてるし、チェリームーン組でも、私主演の映画を観に行く事も予定している。
それは楽しみなのだけれど、三人の予定は中々合わないので学校の宿題に関してはチャットのやり取りや、ビデオ通話でしている。基本的に咲弥は直接聞いてくるので、ビデオ通話はしないし、私たちを成績順で並べるなら、私・咲弥・桜我の順番になる。
なので、基本的に私が質問される側になる事が多い。でも理系は少し苦手なのでそこは理系が得意な琥珀くんに教えてもらっている。
8月に入って数日、夏休みの宿題はほぼ終わらせて台本のセリフ入れも終わっている。
「こういう時は、贅沢ターイム!」
という事で外に出る準備をして、財布とスマホを持って玄関へ向かう。
玄関ドアを開けて、外に出ようとしたら遅くなると聞いていた咲弥と鉢合わせした。
「・・・っびっくりした!早かったね、おかえり。」
「最後の仕事がリスケしたから、早く終わった。で、どっか出かけるの?」
「カフェに甘いものとコーヒーを買いに行こうと思って。」
「いつもの所?」
「うん。」
「待って、俺も行くから。」
と、仕事用のカバンをシューズクロークに置き私と同じようにスマホと財布を持って一緒に玄関を出る。
「行こ。」
と玄関に鍵をかけて、学校近くのカフェに向かう。
「晩御飯作ってるの?」
「ううん。まだ。仕込みはしてる。」
「明日の朝じゃあ、いたむ?」
「そんなことはないよ?」
「じゃあ、ご飯食べて帰ろうよ。」
「いいね!ガチの贅沢dayだ!!」
と、咲弥の背中を叩きながら歩く。
咲弥と2人で並んで歩くことは毎日の事だし、週刊誌とか写真を撮られる事はなかった。お互いのファンの子達も声をかけてきたりもするけど、私と咲弥が一緒にご飯を食べる事も、行動が一緒にすることが多いことも知っっている為、何も言われないし、ファンが近づいてきたら少し離れた所でお互いまつという事が世間の認識である。
そこに桜我がいたとしても、問題はないだろうが、桜我と一緒にいるのは学内が多い。
去年デビューした桜我はデビュー直後から忙しく仕事をしている。
しかも私と咲弥はフロンティアに共演NGの人間がいるので、グループで一緒に仕事をする事は少ないし、ドラマで一緒になる事もない。
今度三人で映画観に行く時は平和に過ごせればいいなーと密かに思っている。
そんな事を考えていればいつもカフェに着き、ディナーメニューを頼んで甘いのも頼んだ。
テイクアウトでも甘い物を買っていつもよりテンション高めで帰宅した後、桜我のドラマを見る事になった。




