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「まぁ、その井上さんは、話聞いた限り大丈夫だと思うけど、他が分からないよね。俺と桜我と繋がるために梛月に話しかけた可能性もあるし。そこは様子見ようか。」
「うん。そこはお願い。」
そんな話をして、順番でお風呂に入り片付けは咲弥がやってくれた。
お風呂上がりに、こたつに入りながら今日授業があった場所のノートを写したりレポートを書いたりしてその日は過ごした。
咲弥も今日の撮影でひと段落はつくらしい。
後は、番宣が始まるが、それは年を明けてから開始になるそうなので大丈夫ということ。
期末テストに集中できるように事務所側も、ドラマ制作陣に交渉はしてくれているようだ。
そう考えると、うちの事務所は学生に優しいよね。
なんて、話しながらのんびり過ごした。
翌日学校に2人で行けば桜我も来ていて、久しぶりに3人が揃ったような気がする。
「2人とも久しぶり〜!寂しかったよ〜。」
と登校早々タックルをされた。
「ぐえっ!」
とつぶされたカエルのような声を出せば、すぐさま桜我は離れてくれて大丈夫?!と聞いてくる。
180の咲弥と188の桜我に挟まれれば、167しか身長がない私は潰れるに決まっている。
「感動の再会は男2人でしてくれる?私巻き込まれるのしんどいのよ。圧迫的に。」
「圧迫!大丈夫、桜我なんてひらりとよければいいんだから。」
「いや、今避けきれてなかったよね?」
「流石に後頭部に俺目はついてないんだわ。」
「誰だって付いてないよ。ついてたらびっくりだわ」
「という事だから、桜我。次から私がいない所でやってくれる?」
「なっちゃんが、冷たい。」
「冷たくない。毎回私をサンドするから私がいつか潰れる。」
「潰れてたでしょ。」
なんて会話をしながら私を真ん中にして席に座る。
席に座れば、両サイドで繰り広げられている会話を総無視をして、昨日知り合った井上さんに手を振る。
井上さんも気づいてくれたのか、手を振りかえしてくれて、嬉しくなる。
普通科のクラスの子達は、ドラマの話や歌番組、雑誌、バラエティの話をしてくれるし今の流行についても教えてれる。
そんな話をして過ごしていれば、咲弥と桜我は時々女の子達に呼び出される。
高校生になって、身長が伸びてきている咲弥はモテ始めた。
桜我も可愛い系の顔をしているので、女子ウケはいいだろう。
何より2人とも、俳優とアイドルなわけでファンとしてなら相手にはするだろう。
一応恋愛は禁止ではないはずだが、事務所には報告制となっている。
事務所は事務所で制限というかスキャンダルに繋がらないように防ぐための意味合いはあるんだろうな。
と、私は考えている。
でも、2人が呼び出されるたび少しモヤモヤする気持ちが増えてきたのも最近気がついた。
そのモヤモヤは、酷ければイライラにも変わるので正直どうしたらいいのか、感情を持て余している状態だ。
2人が他のクラスメイトと仲良くしてくれるのも、お仕事でたくさん頑張っていることも知っているし応援している。それは嬉しいのだけれど、でも、どうしてもモヤモヤイライラは減らないのでどうしようか正直悩んでいるのだ。
こんな、気持ち今まで沸いたことないし、イライラは良くないと考える私としてはどうにか解消したいと思っている。
咲弥とか桜我に話したところで解決できないだろうし、ここは声優仲間に相談してみようかなと内心決め、チャットでメッセージを送った。




