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事務所に学園祭の参加の件を伝えてから1週間。
双方の事務所での話し合いも行われ、事務所側的には他のメンバーと関わらないのであれば大丈夫という事だった。
その理由を理解しているのは私と咲弥だけだろう。
理由は簡単だ、桜我のグループメンバーに私の兄と従兄弟がいるから。
桜我的にはデビュー前だから。と勝手に自己完結をしたようだが、フォロンティアがデビューしたとしても歌番組等で一緒になることはしばらくないだろうな〜と正直思っている。
丁度学園祭の時期に私がセカンドシングルを発売予定である。
なので、歌う曲は、私のニューシングルと、フロンティアの持ち歌、あとルテラからの合計6曲で構成しようと話になっている。
なんなら、まだレコーディングすら終わってない。
フロンティアの曲は桜我に選んでもらって、ルテラの曲は咲弥に決めてもらう。
先に4曲分の振り入れと歌割りから始めようと決める。
「そもそも、なっちゃんの曲は決まってるの?」
「決まって入る。でも私まだ仮歌しかもらってなくて、レコーディングは来週です。」
「出来立てホヤホヤを学祭で披露するの?」
「する。らしい。」
「タイアップするんだっけ?」
「それは勿論。ただ、まだ秘密です。」
「情報解禁待ちだな。」
なんて会話をしながら、桜我が選んだフロンティアの曲は“漆黒の支配者”と“THE Color of My Heart”の2曲。
咲弥が選んだルテラの2曲は、“咆哮”と“誓いの絆”。
どちらも今流行っている曲で、全部アップテンポ。ダンスは本家の完コピをすれば良いと結論が出た。
「そうだよね、どっちのグループもバリバリのダンスアイドルグループだもんね。」
両手で顔を隠して盛大にため息をつく。
「でも、俺のグループアクロは入れないよ?」
「アクロが問題じゃないと思う。梛月一緒に走り込み増やす?」
「そうしよう。きっとそれが一番いい。」
「え?!どういうこと?」
「桜我はさ、フロンティアの曲でバリバリダンス踊ってずっと歌い続けて、んーこの2曲なら何回エンドレスで休憩なしで踊れる?」
「3回・・・・くらい?」
「それ、息切れなしでいける?」
「・・・・少し厳しいかも。」
「持久力の問題なんだよ。おそらくルテラのライブでずっと踊りっぱなしの体力に、歌を歌わないといけないからちょっと心配だよね。ダンスだけなら6曲くらい問題ないんだけど。」
「歌がねー。それぞれの持ちグループの曲はメインボーカルで歌うでしょう?ならば余計に持久力を少しでも増やさないと。」
「あぁ、そうか!歌割りが多くなるんだ!」
私が頭を抱えた理由をやっと理解した桜我が、声をあげる。
ミニライブというくらいだから、曲はフルで歌うことになる。
「なっちゃんの歌も激し目なの?」
「1曲はそんなにテンポは速くない?誓いの絆くらい。もう1曲がテンポかなり速い。それこそ咆哮とほぼ変わらないと思う。」
「よし、体力つけよう。」
「昼休みに振り入れをしてしまおうよ。」
「ご飯食べて30分くらいで一曲入る?」
桜我の質問に、私と咲弥は“ヨユー”と答え早速今日から振り入れを開始することにした。




