2
「よし、とりあえず窓開けよう。んで掃除!」
「了解。部屋はどうする?」
「ベランダはリビングからの窓からだけの出入りみたいだから、私はどちらでも良いよ?」
「じゃあ、俺手前の部屋でいい?」
「もちろん。さて、部屋も決めた事だし、恭弥くん達のところに掃除道具をまずは取りに行こう。大型家電関係と寝具関係は今日の夕方到着予定だし、細々したのは明日買いに行ったらいいよね。」
「そうだね。」
スマホだけをズボンのポケットに入れて、恭弥くん達の家に掃除道具を取りに行くと、2人はすでに掃除関係の荷物を先に開けてくれていた。
掃除は4人ですることになり、私と咲弥は自室から、柊弥くんがキッチン周り、恭弥くんが玄関風呂トイレなどの水周りを担当して手伝ってくれた。
その後は荷物搬入前、ただ掃除しただけの写真を撮り、父方親族グループと母方親族グループに写真を送る。
“只今引っ越し作業中。こっからの大変身楽しみにしてて〜”とコメントした。
咲弥が“梛月と同じ家ー”
とコメントもした。
掃除が終わった後、小休憩を挟み恭弥くんが休憩中に管理人室から借りてきた台車2台を使って私と咲弥の荷物を全部部屋に運ぶ。
水回りの最低限今日必要な消耗品も購入はしていた。
アメニティ系は家で使用していたものをそのまま持ってきたので問題ない。
なので、寝具さえあればなんとかなるとだけ思っている。
洋服と制服をハンガーにかけてクローゼットにしまう。
後は全部家具が届かないことには何も始まらない。
叔母さんの家にある家具をそのまま持って着ても良かったけれど、伊集院家に泊まりに行くこともあるだろうしと言うことで今まで使っていた家具は、三兄弟同様置いてきたのだ。
恭弥くんも柊弥くんも今日と明日の二日間は仕事を完全にオフにしてくれたらしく、明日は消耗品や食器などの日用雑貨を買いにホームセンターへ連れて行ってくれるそうなのだが、恭弥くんも柊弥くんも人気急上昇中のアイドルとモデル。
大丈夫なのかと心配はしたが、同じ事務所で幼少期から一緒にレッスンを受けてきた幼馴染みたいな関係といえば、問題なしらしい。
それは、うちの事務所が基礎コースで、ダンス、歌、演技、ウォーキングなど自分にあったモノを見つけるまで一緒に年齢関係なくレッスンを受けるから。
事務所のレッスン場入り口には、オーディションの張り紙などが随時されていて、気になるオーディションがあればレッスンをしてくれる先生または、事務所の人に相談をすれば対応してくれるというシステムだからだ。
寮の基本的なルールやゴミ捨て場などの場所を聞いたりして、過ごしていたら、家電や家具などが届いたと管理人室から連絡があった。
外部からの業者が来る場合、管理人室から連絡があり確認をされた上で、入館手続きをする。
もし仕事とかで受け取りができない場合は、管理人室で預かってくれるらしい。
セキュリティが高いので基本的に、外部からのストーカーや嫌がらせの類はない。
という事が、成人した後も寮を出ない人間が多い理由らしい。
家庭を持ったタレントは、ファミリータイプの寮に引っ越すことができる。
相手が同じ仕事をしていない限り、ファミリータイプの寮に引っ越す人が多いそうだ。
そんな説明を恭弥くんから聞いている間に、家具家電の搬入は完了した。
後は、各々荷解きを自分の部屋でするだけとなったので、一度解散をし、片付けがある程度終わったら連絡するのでそしたら4人でご飯を食べに行こうと、2人を誘った。
明日も買い物に連れて言いてもらうのに、車を出してもらう。
というのもあるし、せっかくのオフを私と咲弥の引っ越しで潰してしまったからだ。
解散した後、自室に戻る前にスマホでアラームをかける。
「咲弥、1時間ね。」
「了解。早めに自室の荷解き終わったらリビングの本棚やろうぜ。」
「もちろん」
スタートボタンを押して、それぞれの部屋に入り荷解きを行った。
お互い自室で使う荷物は多くなかったので、ベットメイキングと、組み立てもらった机に文房具、教科書類を収納し、早々に私はリビングに出てテレビ台と一体化した棚に、本を詰めていく。
そうして片付けていれば咲弥も合流し、スマホのアラームが鳴ったところで今日の作業は終了。
出かける準備をして、4人で外にご飯を食べに行った。