2
お昼の番組も問題なく終了させた私は最後の歌番組があるテレビ局へ移動した。
スウェットに着替えてリハ室に入ると、シーリオの4人が揃っていた。
「お疲れ様。」
「「「「お疲れ様です!今日はよろしくお願いいたします。」」」」
4人とリハーサル室で動きの確認をした後ゲネをする為に一度楽屋に戻ってくると、今日着る予定だった衣装がなんの汚れなのかわからないけど、まぁ破られているわ色々ベッタリ付着している。
「んーまぁ想定内と言えば、想定内・・・・?天音ちゃんに貴重品を預けていて正解だったね。」
「めっちゃ冷静ー。私ちょっとスタッフと話しつけてくるから。」
「あーい。」
パシャリと衣装の写真を撮り、ぽちぽちとメッセージを打つ。
桜組にメッセージを送り、梶原さんと柳沢さんにも写真を添付してメッセージを送った。
天音ちゃんにも同様のメッセージを送る。
天音ちゃんへは番組のプロデューサーとスタッフさんと話をしに行ってくれたし、シーリオの衣装は本人たちの私服に腰にスカートを巻くスタイルなので問題はない。
私は天音ちゃんが戻ってくるのを待ちつつ、衣装をどうしようかと考えていれば恭弥くんから電話がかかってきた。
「もしもーし。」
「梛月呑気だなぁ。今日はどこで収録?俺ら〇〇局なんだけど。」
「同じー、私4Fの東棟の楽屋にシーリオ達と一緒にいるよー。」
「チビちゃん達のメンタルは大丈夫か?」
「まぁ、大丈夫そう。私以上に顔顰めて怒ってくれてる。」
「今から行くから大人しく待ってろ。」
「あい、あーい。」
元気よく返事をすると電話が切れた。
恭弥くんがくるなら衣装はなんとかな理想な気がする。
「しかし、今どきこんな嫌がらせしてくるとか暇人もいるもんだねー。4人ともこういう事はしちゃ駄目だよー。嫌なことがあったらお兄ちゃん、お姉ちゃん達にいうんだよー?」
「はい。」
「性格がひん曲がってるんですよ。きっと」
「んははは。いいね。反面教師にするといいよ。うちの事務所は大きいからね。事務所の人に相談するのもありよ。」
これうちの事務所からクレームが入った場合、番組的にもスタッフ的にも大ダメージしかないんだけど。
一応うちの事務所大手芸能事務所よ?
そこまでは考えてないんだろうな。とは思うし、私が困ればいいななんて思っているんだろうな。
なんて考えてると、楽屋の入り口が開いた。
「梛月ー。」
「恭弥くん、と琥珀くん朝ぶり。お疲れ様。今日は2人で最後の仕事?」
「そう。雑誌の撮影。2人というよりルテラの4人で。んで、俺と琥珀が空き時間だったわけ。」
「なるほど?」
「僕らのいつものスタイリストさんだから、梛月ちゃんの事情を話して僕たちが着終わった衣装で組んでもらったよ。」
「ありがとう。着替えてくるね。」
「うん」
琥珀くんから衣装を預かり衝立の裏で、着替える。
その間2人はだめになった私の衣装をまじまじと観察しながら、普通に話している。
「これ、コーヒーと水性のインクだね。組み合わせ悪いし、誰にでも手に入れれる。」
「組み合わせの問題じゃないだろう?とりあえず今日は、雑誌の俺らの衣装とお揃いだけどそれ着てカマして来い。」
「あーい。」
着替え終わって、ヘアメイクしようとすると琥珀くんメイクボックスを取り出した。
「ほら、ヘアメイクしてあげるから梛月ちゃんここ座って。」
と琥珀くんから言われるがまま椅子に座れば、琥珀くんの手によって髪の毛はポニーテールに結われキャップを被る。
白のTシャツと水色のデニム腰にはシーリオとお揃いの巻きスカートをつける。スニーカーは履き慣れたもの。
その後ブレスレットとネックレス、左耳だけイヤリングをつけられる。
と、“完璧”とご満悦した琥珀くんがいた。




