単にバトルシーンが書きたかっただけの話
※間違えて連載として投稿してしまいましたが、一話完結の短編です。
元々身体が弱かった僕は、人が抗えない怪物を倒し世界を救う、そういう空想の物語や英雄譚に憧れていた。
だってそうだろう? 誰もが自分にできないことを羨ましく思い、嫉妬する。人の心理的生理症状とも言える欲望だ。僕の場合はそれが少し子供じみていたという、それだけの話。
病弱で家からあまり外に出れなかった僕を思ってか、両親は多くの本を買ってくれた。勿論、家は貴族でもなんでもなかったから、小さな本棚が埋まるくらいだったけど、僕にとってはそれが世界の総てだった。
そんな生活をしていたから、英雄に憧れるのは必然だったかもしれない。けれど、身体は夢を見ることすら許してくれないまでに弱かった。心が踊る夢想の世界を描く本のページを捲る度に、その力をかければすぐにでも折れてしまいそうな細い腕が視界に入り、現実を突きつけられるのだ。
だから、僕が悪魔に魂を売ったことも、必然だった。
元々身体が弱かった僕は、人が抗えない怪物を倒し世界を救う、そういう空想の物語や英雄譚に憧れていた。
だってそうだろう? 誰もが自分にできないことを羨ましく思い、嫉妬する。人の心理的生理症状とも言える欲望だ。僕の場合はそれが少し子供じみていたという、それだけの話。
病弱で家からあまり外に出れなかった僕を思ってか、両親は多くの本を買ってくれた。勿論、家は貴族でもなんでもなかったから、小さな本棚が埋まるくらいだったけど、僕にとってはそれが世界の総てだった。
そんな生活をしていたから、英雄に憧れるのは必然だったかもしれない。けれど、身体は夢を見ることすら許してくれないまでに弱かった。心が踊る夢想の世界を描く本のページを捲る度に、その力をかければすぐにでも折れてしまいそうな細い腕が視界に入り、現実を突きつけられるのだ。
だから、僕が悪魔に魂を売ったことも、必然だった。
単にバトルシーンが書きたかっただけの話
2025/07/05 23:08