13話 犯人たち
「東堂くん! こいつがカッターナイフで東堂くんの靴を傷つけようとしてた!!」
「俺は何も関係ない!」
俺は、同じく廊下に出てきた知らない女子生徒を指差し、その男子生徒に質問する。
「この子とは共犯?」
「誰だよ? そんな奴、俺知らねーよ! 俺は何もかんけーねぇんだって!!」
「しらを切るな! はっきりとこの目で見たっ! やっぱり東堂くん以外の男にはロクな奴がいない! この人でなしっ!!」
柚葉のその言葉に、男子生徒は怒りを露わにする。
「このっ!」
「きゃっ!」
「柚葉さん!」
その男子生徒は柚葉の手を勢いよく振りほどき、柚葉は吹き飛ばされ尻もちをついた。
また彼は廊下を走りだす。
俺は柚葉を心配して、急いで彼女の元に駆け寄る。
「ちょっ! 柚葉さん、平気?」
「これくらい平気! それよりあいつを追いかけないと!!」
しかし、俺が顔を上げた時にはすでに男子生徒は廊下の突き当たりの階段を降りて、どこかへ消えた後だった。
さらに、俺の背後で誰かの走る足音が、徐々に小さくなっていくのが分かった。
後ろを振り返り、気がついた時にはさっきの女子生徒はいなかった。
薄暗い廊下で、ただ呆然とすることしかできない柚葉と俺。
「いや、まだだ。二人を探してみよう」
「そうね。……ところで、さっきの女の子はなあに?」
言いながら、柚葉は立ち上がって、スカートに付いた埃を手で払う。
「ああ、俺の教科書やノートやらに水を掛けようとしてたんだ」
「っ!? 犯人は二人いたってこと?」
「……そうかもしれない」
その後、さっきの二人を探し回った。
校庭、靴箱、教室、図書室、あらゆる場所を回ったが、結局見つからなかった。
「もう7時だ。そろそろ帰ろう」
「まだ探すっ!」
柚葉は家族と遊園地に来て、閉園時間になってもまだ家に帰りたくない子どもが、親に対してごねるように答えた。
「そろそろ家に帰らないと妹が腹を空かせてるだろうから……今日も父さんは遅くなるらしいし……」
「……!? 東堂くんが夕食を作ってるの?」
「うん」
「ご、ごめんなさいっ! 私、東堂くんと、東堂くんの妹さんにも迷惑かけてっ!!」
「まあ、帰りが遅くなっても、一人で勝手になにか食べると思うけど」
「早く帰りましょう!」
「送っていくよ」
「大丈夫! 早く帰ってあげてっ!」
柚葉と途中まで一緒に帰って、その後、一人で歩く夜道になにか物足りなさを感じた。
自分の家が見えてくると、何故か玄関の明かりがついてることに気づき、不審に思う。
警戒しながら、そっと家に入る。
すると、沙耶が珍しく自分の部屋から出てきていて、玄関のところで布団を被って丸まっていた。
「お兄ちゃん、遅い……お腹すいた……」
沙耶の腹からギュルルと音が鳴る。
「今から作るから、自分の部屋に戻ってて。そもそもどうして、こんなところで丸くなってるの?」
「……あのね、さっきね、変な男の人たちが家の前に集まってて、もしもあの人たちがいつの間にか家の中に入ってきてたらと思うと、怖くて、こうして見張ってたの……」




