11話 再び、帰り道
校門から出ると見知った景色が薄暗く、少し不気味に見えた。
遠くの方の街灯が道を照らしている。家々の明かりは人の気配を感じさせる。時々、車の光がこちらを通り過ぎる。
隣にいる柚葉と共に歩き始める。彼女はチラチラと俺を横目で見ていた。
「ねぇ、東堂くんってもしかして妹さんがいたりする?」
「うん、いるよ」
「やっぱり、そうなんだ」
柚葉と沙耶は一度会ったことがある。言わずもがな、10年前のあの日だ。
3人で、あの場で、駆けつけた大人たちに囲まれながら、一緒に泣いたあの日……。
「妹さんは今、中学生かな?」
「うん。この春から、三年生になった」
「そっか……妹さんにいつか謝りに行ってもいい?」
「どうだろ。あいつはそんなの求めてない気がするしなぁ」
「……そう。……やっぱり空回りしてるかなぁ、私」
「え?」
「東堂くんに優しくしなくちゃ、と思って『あ〜ん』したら『付き合ってるの?』とかいっぱい聞かれちゃった」
「ああ、あの時の……」
「後でわかった。私、おかしなことをしてたんだって」
「そんな落ち込むこと……」
「妹さんに謝りたいっていうのも、私の身勝手だって本当は分かってたのに」
「柚葉さんはいい人だよ」
「……」
「柚葉さんが味方になってくれたこと、すごく感謝してるんだ」
「……それは……」
「絶対に犯人を見つけだそう。柚葉さんがいればきっとできる」
「……東堂くんこそ、すっごくいい人だね」
その後なんとなく気まずくなって、時々2人で顔を見合わせては、目を逸らしたりを繰り返しながら柚葉を家まで送っていった。
「ここが私の家」
「結構デカい家に住んでるんだね」
「まぁね。……また明日」
「また明日」
柚葉が玄関の扉を開けて中に入り、閉じるとさっきまで真っ暗だった家に明かりが灯る。
振り返り、柚葉が隣にいない寂しさを噛みしめながら帰路についた。
次の日の朝、学校の靴箱で履き替えるために自分の上履きを取り出すと、小さい金色のなにかが落ちた。
それはカランという音を立てる。
自分の上履きの中に入ってたらしい。
足元に転がった、小さい金色の物体の正体は画鋲だった。




