妻は夫の恋人に突撃される
「正仁さんを自由にしてください!」
日曜の昼間にそんなことを宣言にやってきたのは夫・正仁の恋人を名乗る人物だった。
「悩んでいたんです!奥さんが離婚を渋っているって!」
いや私、あの人と離婚の話したことないよなって思ったがこういった場面では言わないでおいた方がいいだろう。
「愛してないって言っていたんです!」
夫の恋人がそう力強く言うのに心動かされた。今までめんどくさいと思ってあの人とのことをなにもしてこなかったことを恥ずかしく思った。結婚している人間にあなたの相手は自分と浮気をしているから離婚しろ、と言うなんてとても私にできることではなかった。彼女の凄まじい熱量に私はその場で離婚をすることを承諾した。が、子供の養育費はしっかり払って欲しいという約束をつけた。支払い義務がない人に。
「ありがとうございます!」
そう元気に彼女は離婚することに感謝を示したのだろうけどきちんと夫に話を通して養育費の支払いまでしてくれるのだろうか。不安になったので後々に弁護士を通してきっちり話を詰めなくてはいけない。
そう思ってうまくことが進まなかった時のことを考えて色々と準備をしていたのだが、あっさり離婚が成立した。そして、難航するであろうと思っていた養育費や財産分与や慰謝料はスムーズに話が進んだ。
やったやった。よかったよかった。と胸を撫で下ろした。
だが、子供達に親の離婚というストレスを与えてしまった。しかも下の息子は今年高校受験だ。これからの子供たちに対する精神面のフォローをしっかりしていかなくてはいけない。そう、親としての心構えを持った。
がんばれ、私。子供達のために。
この妻は私なりに仕事ができる人というイメージです。バリバリ働いて、バリバリ家事育児しています。なので浮気しているような人たちにかまってられないのでしょう。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。