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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合短編

彼女は私の、ぬいぐるみ

作者: 転生新語

 他サイトでの企画で、777字ジャストの百合短編を書いてみました。

 昔から、ぬいぐるみが好きだった。子供時代、ベッドで一緒に寝ていた時の安心感は大きいもので、気が付けば私は十代になっても、ぬいぐるみが(となり)()ないと満足に眠れなくなっていた。


 このままだと大人になっても、ぬいぐるみに依存(いぞん)したまま私は生きていくのでは? それは何というか、恥ずかしい。ぬいぐるみ()しでも夜、眠れるようになりたい。そう思うのだけど、その方法が私には思いつかなかった。




「そうかー。そういう悩みがあるんだねー」


 私の悩みを聴いてくれている、古くからの親友である彼女が、(うれ)しそうに笑っている。何が、そんなに(うれ)しいの。(いぶか)しむ私に彼女が続ける。


「眠る時に、ぬいぐるみ以外の物があればいいんでしょ? なら今度の週末、私が(となり)で寝てあげる」


 つまり彼女が言うには。禁煙(きんえん)禁酒(きんしゅ)のような依存症(いぞんしょう)治療(ちりょう)は、段階的に少しずつ、他のものに()()えていくのが良いのだと。そういう事らしかった。


「最初は週に一度ずつ、私が貴女(あなた)の、ぬいぐるみ()わりになるの。そして最終的には、私が居ないと生きていけないようにしてあげる」


 冗談なのか本気なのか分からない。自信たっぷりの彼女を見ていると本当に、そうなりそうな気がする。実は彼女から「好き」と、私は告白されていて、その答えは保留中(ほりゅうちゅう)だった。そして、彼女が言うような未来も悪くなさそうだとは思っていた。




 そして週末、彼女は私の家に来て()まる事になって。就寝(しゅうしん)の前に、「先に、お風呂(ふろ)に入らせて。貴女(あなた)に取って最高の、ぬいぐるみになって見せるから」と言って(ゆず)らなかった。言われた通りにして、私もお風呂(ふろ)から上がる。私の部屋に行くと(すで)()かりは消されていて、すっぽりと彼女はベッドの中に()た。


 私もベッドに入る。「ねぇ、知ってる?」と彼女が言ってきて、(さら)に続けた。


「ぬいぐるみってね、服を()ないんだよ?」


 ……冗談だよね? 私は手を伸ばして、彼女の(ぬく)もりと感触(かんしょく)を確かめた。

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