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41話

頼みたい事。ネクロマンサーであるヒヲリにしかできない事。そして俺に関係ある事。

それはもちろん。


「俺のテイムモンスター、キョンシーの凛風についてなんだ」


「あ……前言ってた、キョンシーのユニーク」


「うん。凛風って言うんだけど、彼女についていくつか質問があって。ご飯を食べながら内容だけでも聞いてくれないかな」


「うん……私に出来る事なら……」


内容が内容だからか、いつもより楽しそう?はきはきと受け答えをしてくれている。


ご飯を食べ終わると授業。というわけで、翌日のお昼、午後休の時間に集合となった。





「こんにちは、と言ってもさっきぶりだけど」


「こ、こんにちは……」


翌日の午後。校門から少し出た路地にて。

相変わらずの黒ロリスタイルに身を包んだヒヲリに挨拶をする。


挨拶も早々に、まずは凛風を出す。


「……」


「紹介するね。この子が俺のモンスター、凛風。キョンシーのユニークだよ」


無言で佇む凛風を、ヒヲリはじっと見つめて呟く。


「ユニーク……ホントだ……服とか違うし……普通の子より格段に強い……」


「……分かるの?」


「う、うん……死体系とか死霊系の子は、大体……」


流石ネクロマンサーと言うべきか。

こらがツェルニ先生の様なとんでもない格上か、ルージュの様な物理系に特化した子なら凛風の見のこなしや姿勢で察せられるかもしれないが……ヒヲリに体術の心得はない筈だ。


「凛風との契約だけど、一部だけでも解除できないかなって。それが一つ目」


「二つ目は……この子が喜ぶものをあげたい……だよね」


「うん」


凛風には既に相談して、伝えてある。

ヒヲリにしかできない事を頼んで、仲良くなろう作戦である。凛風が死体系、キョンシーであった事は幸いだった。

解決すれば嬉しいし、解決できなくてももう少し仲良くなれれば成功だ。


「凛風ちゃんって言うんだね……私はヒヲリって言うの」


「……」


「そうなの?そっか……うーん……難しいね……」


「……」


全く喋らず、しかも表情も変わらない凛風相手に、積極的に話しかけてくれるヒヲリ。

思いの外饒舌で、話せている様だ……。


「すごいな、ヒヲリは。俺でもなんとなくの感情くらいしか分からないのに」


「え?す、すごい、のかな。これが普通だったから……」


少し照れているものの、分かる事を教えてくれた。


曰く、凛風本人にも契約の部分解除方法は分からない。

本気で戦って勝つという契約を結んだから、もしかしたら凛風に勝てずとも戦う事で何か分かるかもしれない。


……というのが凛風の考えだそうだ。

後半、俺と戦いたいだけでは?


「私のネクロマンサーは……強い子も呼び出せるけど、基本的に素材の前払いだし、おんなじ子が来る事もそんなにないから……」


「へえ……個体によっても好みとかはあるの?」


「う、うん。おんなじ動死体でも、素材の量によって来てくれる子とくれない子がいるの」


「じゃあ足りない時とかどうなるの?やっぱり何もこないままなのかな」


「え、えっと。足りないってなんとなく分かるから、素材を増やすか、諦めるかかな」


「へえ……面白いスキルだな、ネクロマンサーって。俺も使ってみたいよ」


「へ、変じゃないかな……?」


俺の言葉に、おずおずと聞いてくるヒヲリ。その目には怯えの様な感情が見える……気がする。


「変じゃないよ。むしろすごく良いスキルじゃん。そのお陰で俺は今助かってるし」


「……ありがとう」


片目しか見えないが、半泣きで笑顔を見せてくれるヒヲリ。可愛いんだがそれ以上に一体何があったんだ……?

詳しくは聞きにくいし、彼女が話してくれるまで待とう。


「じゃあさ、凛風の喜ぶものとか」


「うん……凛風ちゃん。何か欲しいものとか……え?うーん……」


凛風に少しばかり質問した後、困った様にヒヲリは答えてくれた。


「戦いって……ハルキとスパークリングするとかしたいって」


「いっつもやってるんだよなあ……」


と、いうか凛風は俺との戦いとイチャつく事しかしてない。他に何か興味のある娯楽でもあればと思ったんだが……。


「よ、よければ……案内しよっか?好きになるかもしれないもの……」


困った俺を見かねて、ヒヲリが助け舟を出してくれた。

折角だ。お願いしよう。


凛風を送還して、一緒にヒヲリと街を歩く。西大陸の文化も混じっているから、洋服や洋食も当たり前の様にあるが、それでもやはりヒヲリの見た目は異彩を放っている。傘差してるし。端の方を歩いて、なるべく目立たない様にしているが残念な事に努力は全く報われていない。


可哀想だから、人の視線を遮る様に横に立っておく。あんまり効果はないが……隣からありがとう、という声は聞こえてきた。







「ここ、凛風ちゃんも気にいると良いな……」


「ここは、お肉屋さん?」


ヒヲリに連れてかれた場所は、精肉店。それも大型のお店だ。人の賑わいも中々すごい。


「う、うん。一部の子は、お肉を触媒にするの。キョンシーもそれで来てくれることが多いから、生肉を食べてもらうのはどうかな」


「なるほど……ありがとう」


凛風や桜にはちょくちょくご飯をあげている。テイムモンスターは俺の生命エネルギーで維持できているらしく、ご飯は必要ない。

のだが、娯楽なしは辛すぎるしな……。桜はよくせがむが、凛風は俺が用意した時になんとなく食べてる、くらいだった。


「生肉はあげたことがなかったな。おすすめとかある?」


「えっとね、キョンシーの好みだと……」


いくつかおすすめされたものを少しずつ買ってみる。

今日帰ったら凛風に感想を聞いてみよう。大体の感情なら俺でも分かるしな。


ヒヲリにお礼を言って、2人で帰り道を歩く。


「ありがとう、ヒヲリ。俺1人じゃ分からなかったから助かったよ」


「う、ううん……特に何もしてないから……」


夕陽を傘で遮る彼女の表情は、こちら側からは読み取りにくい。目が隠れてるし。


「そんな事ないよ。お礼は……どうしよう、必要な素材を狩りに行って渡しても良いし、何か俺に出来る事ならお返しするけど」


「い、いいよ……ちょっと相談に乗っただけだから」


「そんな事ないよ。いくら友達同士でも、お礼はしっかりしておきたいな」


ぴたり。

俺の言葉に、彼女の足が止まる。

こちらから顔を逸らして、小さな声で聞いてくる。


「友達……?クラスメイトじゃなくて……?」


「え、うん。相談したり、買い物したりしてるし……まだ違ったとしても、俺は仲良くなりたいよ」


「そ、そっか……そうなんだ……えへへ……じゃあね、また今度買い物に付き合って欲しいな……ダメかな……?」


「そんなのお返しじゃなくたって別に良いけど」


「そ、そっか!ふふっ……」


心なしか声量も上がって、嬉しそうなヒヲリと一緒に帰路に着いた。

ちょっとでも仲良くなれたかな?連携のためって打算も0ではないけど、班員の2人とはなるべく仲良くしたいものだ。

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