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36話

ツェルニ先生の面談が終わり、ひとまず3人で集まって自己紹介も兼ねて、お互いのスキルを確認する事にする。


「俺はココノエ ハルキ。スキルはこんな感じ。刀術3とサモナー3、火魔法2だね」


「キョ、キョンシー……?」


ヒヲリさんが興味深そうに聞いてくる。★3モンスターだからかな。


「ああ、ユニークの子なんだけど……ちょっと条件を満たせていなくてまだ戦力にならないんだ。数週間以内にフェアリーを★2のハイフェアリーにするから、そうしたらサモナーも戦力になると思う」


そう言って、次にヒヲリさんに目線を向ける。


「ゎ、わたし……これ……」


ギルドカードを見せてくれた。


イデ ヒヲリ

★1

ネクロマンサー4

シャーマン特


「ネクロマンサー4……!」


驚いた様な声に、びくりと震える彼女。軽く詫びて、詳細を聞いてみる。


「★1〜2くらい、なら……パーティー枠使わないから……」


彼女から聞き出してみたが、★3以上となると準備とパーティー枠を埋める必要があるらしい。


ネクロマンサーは謎の多いスキルだ。なにせ激レアとでも言うべきスキル。

文字通り死体系のアンデッドを扱う事。召喚には死体粉をはじめとした材料がいる事……くらいは知られているが、詳細まではあまり俺も知らない。


「シャーマンも……そういう感じです」


続けて補足してくれるヒヲリ。心なしか先ほどより声がはっきりしている。慣れてくれたのかな?


これも根気良く聞いてみると、本来精霊系の召喚に長けているシャーマンのスキルだが、彼女は死霊系の召喚以外できないらしい。代わりにそちらは熟達しているとか。


「すごいね、おんなじ学年でそんなに強いなんて」


「そ、そうかな……えへ」


愛想笑いのようだがやっと笑ってくれた。これから半年くらい一緒するのだ。仲良くやっていきたい。


さて、残りはルージュさんだが……。


「私はこれ」


彼女が提示してきたのは双剣術3、剣術3、回避2。

気持ちいいくらい物理系に偏っている。これは彼女が前衛確定だろう。


「なら俺が中衛、ルージュさんが前衛、ヒヲリさんが後衛になるのかな……?」


「そうね。あと呼び捨てで良いわ。戦闘中にいちいちさん付けしてたら馬鹿みたいだし」


「え?じゃ、じゃあ私も……」


「分かった。俺もハルキでいいよ。今午前だけど、練習に狩りでも行く?」


「いいえ、悪いけど馴れ合うつもりはないわ。また授業で」


ルージュはそう言うと、すたすたと歩き去っていった。

所在なさげにしていたヒヲリも、


「わ…………たし、用事があるので…………」


申し訳なさそうに出て行ってしまった。

前世陰の者だったから分かるのだが、あれ多分2人だと何話して良いか分からないから帰ったやつだ……。


「うーん仕方がない。実習で連携をやっていこうかな……」


こう考えると今までのツーマンセル相手がミユキやナズナのような相手だったのはかなりラッキーだったのかもしれない。


「まあとりあえず、桜の強化だな!」






いつもの妖怪の山で狩りをする。狙いは木の葉天狗。風魔法を使う為魔法系の素材にできるはずだ。ハイフェアリーのために多めに狙って行く。


流石に中層に潜るのは厳しいが、浅層の中部を狙って行く。


「木の葉天狗は……浮いてる事が多いから、見晴らしのいい所だな」


高めの丘に登りながら集中して探して行く。察知を持つナツミにお願いしておけば楽だったかもしれないが、多分俺の班以外は交流してると思うんだよな。


その日は木の葉天狗3、火鳥1、大蜘蛛2が成果だった。目標分集まるまでとにかく音を立ててモンスターを誘っていたので、かなり疲れている……。


「正直普通に暮らす分には俺、もう十分強いのかもしれないな……」


ハンターって金食い虫だからね……武器にも防具にも金をかけないと結局死ぬのは自分だから……。


そう、死ぬんだよな、ゲームみたいなこの世界でも当然。

夏休みに鬼熊とやり合った時、一瞬死ぬかと思った。凛風とやり合った時はどこか高揚感のようなものがあったが、それも無く。


「すぐではないだろうけど……このままなら」


死ぬかもしれない。

ツェルニ先生の事だ、俺達3人でクリアできる依頼を調整してこちらに出してくる筈だ。

めちゃくちゃ仲良くなりたい!とは言わずとも、最低限連携ができる程度の信頼関係は欲しい……けど……?


「そうだ、このパーティーを組んだのはツェルニ先生だよな、なら」


まだ疲労が残るが、頭に浮かんだ疑問を解消するためにツェルニ先生を探す事にした。





「こんばんは〜、ハルキ君もご飯ですか〜?」


普通に食堂にいた。大皿に山盛りのサラダ、そしてそれ以上に粉チーズが大量にかかっている……。


「あ、はい。聞きたい事があって」


ご飯持ってきていいですよ〜、と言われ、晩御飯を注文して席に着く。

凄い勢いで食べ続ける先生に気圧されながら、疑問に思った事を聞く。


「一緒の班になった2人ですけど……強いは強いですけど、多分パーティー単位だと、あんまり……」


言外にどうしてこのメンバーにしたのか?という事をツェルニ先生に聞いてみる。

自分の決定に疑問を抱かれたツェルニ先生は、嬉しそうににっこりと微笑む。


「おや〜、ハルキ君はもう連携の大切さに気付いているのですね〜?夏休みに学びましたか」


「ミユキさんやナンバでできた友達と2人で狩りに行きました」


「ふふ、その学びに免じて教えてあげますね〜。あの2人、あのままだと大して強くもなれずに野垂れ死ぬと思ったので〜、そこら辺うまそうなハルキ君と組ませてダメそうならそれまでかなって〜」


無茶苦茶だ。


「無茶苦茶だ……」


あっ、やばい、声に出た。

しかし本当に滅茶苦茶というか……納得行っていない顔を見たのだろう。諭す様に言ってくる。


「あの2人は中途半端に周りより突出しているせいで〜、1人でやれちゃってるんですよね〜。壁にぶつかった後の事、今のうちに覚えておかないと死にますけど」


「その、俺も死にませんかそれ?」


「ふふ、大丈夫ですよ〜、ここまで聞いてきた以上、ハルキ君は合格です〜。ダメそうだと思ったらハルキ君は別の班に移動させて〜、2人には厳しめの宿題でも受けさせますかねえ……」


「……頑張ります」


2人の命を守るため頑張ろう……。

多分絶対死ぬようなものではないけど、協力しないと死ぬ様な宿題を出される事になるだろうし……ここまで知って見捨てるのは寝覚が悪すぎる。

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