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24話

なんか気持ちオオサカ合宿になってきた4日目。

凛風に起こしてもらい、お礼を言って朝ご飯を食べる。

前世だと朝はバイキング形式だったが、この宿では飽きが来ない様に客が日替わりのメニュー2種類から選ぶ形式になっている。


今日は卵粥定食。朝からお腹に優しい。

食べ終わりゆっくりしていると、厨房が暇になったからかヨモギさんが声をかけてくる。ヨモギさんとそのご両親で宿をやっているらしい。後はバイトの子が1人いるとか。まだその子には会っていないけども……。


「どうだった?今日は」


「美味しかったです!」


「良かった!料理担当の子も喜ぶよ!ハルキ君は1月も宿泊してくれてるからね。何か食べたいものがあったら言ってね!あんまり高いと追加料金かかるけど……」


「はい!あ、そういえば今日から狩りに行くので、もしかしたら夜遅いかもしれません」


「りょーかい!それにしてもハルキ君、本当に優秀なんだねえ。13歳でしょ?その歳でソロで★2を狩れるなんて……」


オウミ領のクラスメイトはみんな狩れるんですけどね……。ナンバ領の学校は違うのだろうか?


何かあってはいけないので、一応ヨモギさんには向かう狩場と層を伝えておく。

ちんどん獣道の浅層。

それが俺が狩りで向かうつもりの場所だ。

数日間情報収集をしたが、ナンバ領は狩場の数が少ない代わりに、それぞれの領域が異様に広い。

俺が今から行くちんどん獣道以外には無機物系の敵が集まる狩場が1つ、そしてもう1つは海になる。

実質向かえる狩場は2つだが、ちんどん獣道は中層まである程度雰囲気を掴んでいる。まずはこちらで腕試しと行こう。


ギルドで手軽そうな依頼……送り犬の素材3つを申請して向かう。

まだハンターとしての格が★1の俺は依頼を多く受けることができない。学生のうちは学校のカリキュラムに伴って上がる様だ。


周りをついでに観察してみると、俺と同じくらいの年齢は大抵パーティーだ。★1の依頼で美味しいものはあまりないから、そのチェックにでも来たのだろうか?


逆にベテランは嬉しそうな人と疲れてそうな人といるな。繁忙期と言っていたし、稼ぎ時でもあれば疲れる時期でもあるか。


満足して、ちんどん獣道に向かう。

巨大な狩場と言った通り、入り口も6箇所ほどある。

俺は宿に一番近い狩場から入り、周りを見ながら歩いて行く。


浅層は森と平原が混在している様な地形だ。中層は崖や小さな山などもあったが、こちらはそれほど歩きにくくはない。


見つけた旧鼠や餓鬼を切り捨てながら探索をする。奥へ奥へ。中層で★3以上に当たるのはまずいが、★2はある程度狩り回りたい。

森は広いし、送り犬が今日見つけられずとも明日も連続で入るつもりなのでいいのだが……っと、そんな事を言ってるうちに見つかったか。


3匹で襲いかかってくる送り犬に、丁寧に対処して行く。最初は速さに任せた連続突撃をしてきたが、2匹目までは防御に専念。3匹目をすれ違いざまに切り、バランスを崩して転倒した所にファイヤーアローを撃ち込む。完全に倒し切れてはいないが倒れたまま痙攣しているのを見て、一旦注意を残りに向ける。


残り2匹!

これなら……!

そう思い2匹に振り向いた瞬間、2匹がいた場所が爆発する。


「助太刀するで!」


そう言って茂みをかき分けて誰かがやってくるが、とりあえず残り2匹は重傷の様で、こちらに来るまでにとどめを刺す事ができた。





「ごめん!ほんまに堪忍!」


結局、送り犬を即座に倒したのを見たハンター……ではなく騎士の子らしい、は謝罪してきた。

この辺りは難しい話だが、基本的に騎士にしろハンターにしろ人の獲物を横取りするのは重大なマナー違反とされる。その場で殺されてもおかしくない。

しかし、実際に殺される様な事なんて滅多にない。大抵のハンターは善意で援軍に来る。俺がレッドキャップを倒した時は助けがいるか確認した。が、必要でない場合は経験値の横取り、無駄にしてしまった事を詫び、素材を取り分として要求しなければいい。


俺の場合、年齢もあれば確かに★2の群れに襲われる可哀想な初心者に見えるかも……。


「今パトロール中やったんや。別に騎士団の仕事って訳やないけど、見習いのウチらはこの時期自主的にそうしとる。言うて浅層だけやけどな」


「それで送り犬の声が聞こえて、見たらウチと同い年くらいの子が1人やろ?こらまずいと思ってなあ……全然大丈夫そうやったわ、あはは……」


「いえいえ、なんかごめんなさい」


「ううん、ウチも……あっ、名前言うの忘れとったわ。イエト ナズナ言うで。普段は騎士団におるから、なんかあったら言ってな」


「俺はココノエ ハルキって言います。オウミ領のハンター養成校にいて、ちょっと修行?用事?でここに来てます」


「ほーう!自領の外まで出るたあすごい気合いやな!それだけの実力はあるもんな〜!ウチより格上か?もしかして」


純粋な興味しか感じられなかったので、素直に自分のカードを見せる。ツェルニ先生の説明も思い出し、サモナーは使えないという事も併せて説明する。


「サモナーが使えんくても合計5かあ!強いなあハルキ君は」


ウチも騎士団見習いでは期待のホープなんやけどなあ、と言っていたので、折角なので見せてもらう。


イエト ナズナ

★1

盾術3

砲術2

食材ドロップ2


うわ、珍しいスキルがある。

食材ドロップはレベル以下のモンスターに限って、倒した時に念じる事でそのモンスターの食材がドロップする様になるスキルだ。高い等級のモンスター料理を食べれば恒久的に能力が上がる事すらあると聞くが、それこそ★いくつの話になるのだろうか?

このスキルは確かにレアだしお金を稼ぐには絶好のスキルなのだが、難点は2つ。

1つ目は、ドロップと調理が別な事。要するにドロップしても、料理を自分でするか、料理できる人を見つけないといけない。

2つ目は、このスキル自体は戦闘になんの寄与もしない事だ。

とはいえ盾術3、砲術2だ。単純に考えて俺と同じくらいの実力はあるだろう。

盾は多分、さっきから片手で持ってる俺の背丈くらいある大盾だろう。ん?よく見れば口の部分……これは砲なのかな?


それも聞いてみると、せやでと笑う。


「普段遣いの小筒も盾の裏にあるけど、大型にはこっちを使うんや」


と話しながら、折角なので入り口に向かう。

詫びに聞きたい事とかあったら教えるで、と言ってくれた彼女に、パトロールについて質問をしてみる。


この時期はどうやら俺以外にも外から大量の人が来る上に、金を稼ぐ絶好の機会である。

だから調子に乗って格上に挑んだり、調べもせずに狩場に入り込む初心者が増えがちになるとか。

俺を見た時も焦ったらしい。


「いやほら……大体ウチらの年齢で浅層でも安定して狩れるのなんてハンター養成校か騎士学校の生徒くらいやろ?地元のメンバーはお互い覚える様にしとるから、知らん顔の時点で初心者やと思ってもうたわ」


まあ、俺が言うのもなんだけど祭りの時期に他国に来た13歳が、祭りにも参加せずにソロで★2狩り回ってる方がおかしいといえばおかしい。


ナズナさんはホープというだけあり、1人で浅層に潜りながら狩りをしつつ声かけ。

他の騎士学校と養成校の生徒達もパーティーとシフトを組んでやっているそうだ。

これらは余裕のある生徒達が自主的に行なっているそうだが、修行にもなりトラブル防止にもなるため、軽く母校からお給金が出ているそうだ。


「逆にハルキ君はどうして狩りしとるん?夏休みに折角ここ来たんやし、もっと1ヶ月遊んだってええと思うで」


「あー、実は……」


ナズナさんにあらましを話す。

それを聞いたナズナさんは、なるほど!ならウチが手伝ったる!とニコリと笑った。


「え?いきなりそんな……」


「さっきの詫びや!言うて確かにな、こういうのはきっちりせんとあかんか……」


むむ、と考えた彼女は、騎士団の依頼を手伝うか、パトロールを手伝ってくれたらその分手伝うと言ってくれた。依頼もパトロールも無給としてもこちらが得する様な気もする、が。


「ええんやって!ウチ人の助けになる事好きやねんで。それに、ウチと同じくらいの歳でウチと同じくらい強い子、珍しいから……一緒に組んでみたいし、友達になりたいんや、どうや?」


後、後光が見える……!ナズナさんを拝んでいたら、顔を真っ赤にして怒られた。

彼女の提案はありがたい。その時は是非、そして何かあったら俺も手伝うからと言い、今日の狩りは終わった。

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