転生初日?
目覚めたときに目の前にいた少女と爺さんは不思議そうな、なんともいえないような顔をしている。当の僕はまさにここはどこ?わたしはだれ?状態なのに、こいつらでさえ何が起こっているかわかっている様子ではない。その時、少女が口を開いた。
「君は考え事がすきそうだね、とりあえずここは私の家だ。まあ、とりあえず君のことは君の方が知っているだろうし、名前を聞いてもいいかな?」
なにやら失礼なことを言われたでもしないでもないが、
「えっと、僕は小野駿也っていう名前です。」
「そうか、ここら辺ではなかなか聞かない名前だね。」
「ここら辺?」
新情報を聞き出せそうだ。
「ああ、どちらかというと漢帝国らへんの名前に聞こえるな。少なくともここら辺の名前じゃないね。」
「…漢帝国?」
以下にも某中国って感じの名前だ。
「うん、そうだよ、知らないのかい?」
「…はい。」
「そうなんだ、なるほど」
…?何を考えているのだろう。
「いいや、なんでもない。話すと長くなるんだけどね、君はそこのロボットの頭の中にあったcpuから復元したことで生まれたんだ。」
「、、、は?」
これまた新情報だ。何を言っているのか、言ってる通りなら俺は元ロボットだということになるぞ?いや、それどころかこの体も人間っぽいロボットってこと??
「まあ意味がわからないのも仕方ないよね、こちらもなぜ君にしっかりとした意思があるのか図りかねているところなんだ。だからできるだけ君の知っていることを教えてほしいんだ。」
「はあ」
作った側もよくわかっていないということか。
「しかたない、まあ今考えても分からないものは分からないから、とりあえずここでの生活に慣れてくれ。詳しいことはパフェから聞いてね。」
「失礼、儂がエマの助手のパフェじゃ。こんなジジくさいおっさんが君の世話係ですまんな。」
「はあ。」
「まあここで暮らしていく中でしっかりと頭の中を整理すると良い。今は何が起こっておるのか分からないだろうからな。」
「はい、そうさせていただきます。」
「さて、とりあえず飯にしよう。お主も生まれたばっかじゃがそこらの赤ん坊とは違って体つきは思春期男子そのものじゃからな。食えるじゃろ。」
「…よろしくお願いします。」
確かに生まれたばっかにしては体つきは中一ぐらいの成長期前のものだ。あと一年したら右手に謎の力が宿るころだから、期待しておこう。
食事シーン
何をいえばいいか分からない
無言の時間が続く
…きまずい、こういうときって何を話したらいいんだろう。僕は前世でもめったに人とご飯を食べたことがないっていうのに。
そう考えているとエマが助け舟を出してくれた。
「さて、これが私たちのご飯だ。食べながら少し話でもしようじゃないか。」
「はあ。」
「食べていいよ」
そういって二人は目の前の食事を貪り始める。
「そえにしえもさ、ここでのせいあつでふんやっていうなまえはすおしうかいいういんじゃない?(それにしてもさ、ここでの生活で俊也っていう名前は少し使いづらいんじゃない?)」
「そうなんですか?」
「ああ、例えば私たち二人の名前なんだけど、私はエマ、さっき聞いたと思うけど隣の爺さんはパフェだ。」
たしかに、西洋風の名前だ。
「確かにそうですね」
「まあ心配するな、この私がしっかりとお前の名前を考えてやる。」
「…え?」
「なんだ嫌か?」
「いや、、、」
「なんたって生みの親だからな、そこらへんはしっかりと考えてやる。」
「ありがとうございます。」
「ふむ、、、」
名前か・・・。確かにこの二人の言う通りならここら辺での生活には俊也って名前は不便なのかもな。というかこんな感じだと俺ってもしかして転生でもしたのかな。
「ああ、そのようだな。」
「・・・え?」
「えって、お前は今生まれたのだ。それにもかかわらずなにやら前世の記憶を持っている。転生というのが適切だろうな。」
「いや、そうじゃなくてなんで僕の考えてることが、、、?」
「なんだそんなことか?そんなの朝飯前だぞ。なんたって私は「賢者」だからな。」
「・・・賢者?」
「ああ、そうだ。」
「・・・すごい?」
「当たり前だ、なんたって私は三賢者のひとりなのだから。人の思考を読むくらいなんてことはない。」
「はあ。」
「まあ話を戻そう。なあパフェ、いい名前は思いつかないか?」
二人が相談を始めた。なんだ幼そうなこの少女が賢者?すごいなこの異世界は。もしかして成長してないだけで何年も生きてるんじゃないか?ありうる、大体この人は俺のような人を作れる天才なのだ。天才美少女、うおお。
なんて考えてるとエマからかなり鋭い目でにらまれた。
「ふむ、エロ餓鬼でいいんじゃないか?」
「なんでじゃ。」
「だってこいつ、、、」
「すみません。」
爺さんがとぼけたような苦笑いするような顔でこちらを見る。
「爺さんがとぼけたような苦笑いするような顔でこちらを見る。じゃない。お前今の私たちの会話全く聞いてなかっただろ。」
「ごめんなさい。」
「まあいい、お前の名前は今日からハーヴァストだ。」
「ハーヴァスト、ありがとうございます。」
「ああ、いい名前だろ。」
「そうですね、これからはハーヴァストとして、しっかりと生きていきます。」
「うん、そうしてくれ」
「ところで、ハーヴァストっていうのはどういう?」
「うん、ここらへんではよくある名前だが、まあかっこいい名前だろ。」
「んまあ、ありがとうございます。」
「うん。」
あまり読まれるから頭の中では考えたくないが、新しい名前か。まだ実感はないけれど、本当に転生したんだな。それにしてもハーヴァストってそんなに有名な名前だったか?まあいい、異世界だし。それよりちょっと名付け方適当な気もするけど。それにしても、、、
「あの、これをみんな食べるんですか?」
「当たり前だ、いままさにこうして食べているじゃないか。」
「そうじゃな、おいしいから一度食べてみろ。」
ジャックの目の前には泥と植物、そして適当に焼かれた固そうな肉がある。
「なんで泥を、、、」
「泥が一番大事だぞ、この野菜とステーキは今日は特別に出したが泥は毎日食べないといけないからな。」
「ええ、、、」
「なんだ、まあ騙されたと思って食べてみろよ。」
「わかりました、、、」
すこしたけスプーンでとって食べてみる。うわ、やっぱりじゃりじゃりして、ん?ほんのり甘い、、、?
「どうだ、おいしいだろ?」
「、、、はい。」
なんだこれ、泥って甘いのか?この中に砂糖でも入ってるのか?
「砂糖は入ってないぞ、そこらへんでとれた泥だ。」
「へえ」
泥が甘い異世界か、ますますすごいな。
「今日は爺が作ってくれた絶品のご飯なんだ、しっかり食べろよ」
「はい。」
こうして転生初日が終わった。