44:みんなで壊そうクソ故郷!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
――スクルド王子との決闘から小一時間後。
俺は幽霊メイドのレイアと共に、『魔城グラズヘイム』の地下牢にいた。
元城主のレイア曰く、ここは特殊な力場になっており、魔術が使えなくなるんだとか。
「よし。魔宝具の剣は取り上げたし、これで安心だな」
そう言って俺は、牢の片隅にある堅いベッドに目を向けた。
そこにはぐっすり――というよりブン殴られてぐったりと眠るスクルドの姿が。
「……にしても整った顔してんなぁコイツ。まさに理想の王子様って感じだな」
さらさらとした金髪に、雪のような白い肌。
ついでに白馬(※ユニコーン)に乗って現れたとなれば、もはや完全に絵本の王子様だな。
まぁそうなると俺はソイツをやっつけてしまった悪役になるわけだが。つーか魔王名乗ってるし完全に悪役だよな、うん。
「……さて、アホなこと考えてないで状況を整理するか。なぁレイア、初代魔王様として現状をどう見る?」
「悪くはないと思いますよっ! 王国騎士団に加えて宮廷魔術師の王子様まで打ち負かしたことで、こちらの士気はアゲアゲですからね~!」
ウッフッフと上機嫌に笑うレイア(かわいい)。
実際に彼女の言う通り、王族の魔術師をタイマンかつ無傷で破ったことで、魔物たちは大いに喜んでくれた。
新たに仲間になった地下ゴブリンたちの何割かも、これで俺の実力を信じてくれるようになっただろう。
「賭けは大成功だな。俺としても異能を使った本気の殺し合いに慣れたいところだったし、手に入ったものは大きいぜ」
「ええ。ユニコーンさんたちも仲間になりましたし、なにより王族の身柄を押さえられたのは非常にグッドですね! 盾にしてもいいですし交渉に使ってもいいですし、流石はエレン様ですよ~っ!」
「ははは……」
……地味に怖いことを言うレイアさん。こういうあたり、流石は世界に喧嘩を売った元魔王様って感じだ。
俺は改めて彼女を怒らせないようにしようと誓いつつ、再びスクルドのほうを見た。
ぶっちゃけると、スクルドを生かして捕らえようと思った理由は戦略的な判断からではない。
「……こいつ、こんなことを言ってたんだよ。
“せめてあと数十年の間だけは、魔物の地位を上げようなどと思うなよ……。それで暴力の矛先が一つ減れば、さらに黒髪の者が虐げられるではないか”――ってな」
「それ、は……なんだか、黒髪の人間を庇っているような発言ですね……?」
「ああ、数十年の間だけはって言ってたのも気になる。まるで『誰か』が死ぬまでは……って言ってるみたいじゃないか」
腕を組みながら考える。
黒髪の人間をストレス発散道具と呼び、魔物たちのことを散々働かせて滅ぼすつもりだと言った冷血王子が、なぜこんな発言をしたのか。
「っ、あぁ……そういえばシルのやつ。騎士たちが妙な噂をしていると言ってたな。『王子は実は妾腹で、しかも黒髪の女が母親かもしれない』って」
普通に考えればあり得ないデマだ。
名誉ある国王が黒髪の女性を抱き、さらには生まれた子供を王位後継者候補にするなど有り得ない。
そんな荒唐無稽な噂、酒場の酔漢だってしないだろう。
「……だけど事実だとしたら……。少しこのあたりは調べてみる必要があるかもな」
ま、それは追々だ。
どうせ今は確認する術もないのだ。王子もぐったり寝ていることだし、頭の隅に一旦追いやることにする。
「今考えるべきは、俺たち二代目魔王軍がどう動くべきかだよな」
「ええ。スクルド王子が戻らないとなれば、王国はさらなる兵力を送り込んでくるはずです。それまでにこちらも頭数を増やさないとっ!」
「あぁ……」
レイアの言葉に頷く俺だが、そう簡単に仲間を増やせたら苦労はしない。
つい先日、地下ゴブリンたちを勧誘しに他国に行って、向こうの宮廷魔術師とドンパチして寝込むことになったばかりだからな。
戦いの準備で戦いになって戦えないほど疲労する事態になったらアホの極みだ。
「う~んどっかにないかなー。魔物がたくさんいて、ついでに食料とかの物資も補充出来て、しかもしかも、戦うことになるかもしれない敵はせいぜい魔術師ケイズ以下の弱い奴に確定されるようなトコは……」
「え~そんなのありませんよぉ……」
首を横に振るレイアに、「だよなぁー」と返答しようとした――その時! 俺の脳裏に電流が奔ったッ!
「ハッ、あるじゃねーかよ! 魔物がたくさんいて、ついでに食料とかの物資も補充出来て、しかもしかも、戦うことになるかもしれない敵はせいぜい魔術師ケイズ以下の弱い奴に確定されるようなトコッ! しかもここからすぐ近く!」
「えッ、うそぉ!?」
「嘘じゃねーよ! よっしよっし、燃えてきたぜッ!」
俺は全身の闘志が湧き上がるのを感じながら、城中にいる全ての魔物にテレパシーを送る!
『――全ての魔物のみんなァアアアッ! 特にギルドの元仲間たちはよぉーく聞いてくれッ!
この森の近くに、俺を虐げて追放しやがった「ペインターの街」ってところがあるんだけどッ、みんなで今から滅ぼしに行かないかァーーーーーーッ!?』
そう叫ぶ俺の念話に、何百匹もの魔物たちが『いいともォオーーーーッ!』と返してくれたのだった!
『面白い』『更新早くしろ』『止まるんじゃねぇぞ』『死んでもエタるな』『こんな展開が見たい!!!』『これなんやねん!』『こんなキャラ出せ!』
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